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現代シリアの部族と政治・社会 の商品レビュー

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2014/12/12

本書の刊行は2011年末、元になった論文は2010年度の博士論文で、その研究対象は前年までのシリア。だから2011年アタマから今までつづくシリア騒乱〜イスラーム国への一連の情勢を直接取り扱ったものでは無い。が、「どうしてこうなってるの?」を理解するために読む必要のある文献である。...

本書の刊行は2011年末、元になった論文は2010年度の博士論文で、その研究対象は前年までのシリア。だから2011年アタマから今までつづくシリア騒乱〜イスラーム国への一連の情勢を直接取り扱ったものでは無い。が、「どうしてこうなってるの?」を理解するために読む必要のある文献である。元々シリア騒乱が激しくなった2012年に「全く基礎知識もないし読んどくか」と手に入れたのだが、一章読んでタフな本だったので積読になってたもの。ここへ来て情勢がますます進んでおり、置いてかれないうちに読まないと、と重い腰を上げたのだが…。 本書が取り上げているのは、特にユーフラテス川沿岸、ジャジーラ地域の、主に遊牧を営んでいたところに端を発する部族と、近現代シリア政治史の関わりを分析し、さらにアメリカが諸悪の根源と見ていたイラクへの義勇兵(ムジャヒディン)の潜入経路となっていた同地域における、部族の役割を浮かび上がらせようとした試みである。この地域は現在のイスラーム国支配地域の中核を為している。なぜ今の状況が起きたのか、そして我々の理解の何が正しくないのか、正確に理解するためには必読。 とはいえ、久しぶりに手こずった。読了まで2週間強。忙しかったと言うのも有るけど、何より久しぶりの横書き本。そしてフィールドワークに加え、多数の一次資料を緻密に読み込んで解析した完成研究、しかも博士論文がもとになっている。普段割と頭使わない本ばかり読んでるから、まあ進むペースの極度に落ちること落ちること。文章は読めば良いってもんじゃないと深く反省しました…。その点でも良い経験。

Posted byブクログ