数学を知らずに経済を語るな! の商品レビュー
難しい数式はほとんどない。タイトルは世に蔓延る数学音痴の経済学者への叱咤。中身は教授と生徒の問答形式で進められ非常にわかりやすい。今回も世の欺瞞をメッタ切りに捌いている。増税不要論に気持はぐっと傾いた。
Posted by
◎論点となる言葉の定義を最初にしてから議論せよ。 さもないと、議論が主観的な印象論で終わってしまう 【P91】
Posted by
「数学を知らずに経済を語るな!」この主題から連想してその主旨を堅く論述してあるのかと予想したのですが、蓋を開けてみると数学に詳しくない読者に対して数学的(関係式を読む、グラフを読む、要因毎に分類解析する、論理的思考をする、等)に捉えて理解する重要性を、特に数学知識がない一般向け...
「数学を知らずに経済を語るな!」この主題から連想してその主旨を堅く論述してあるのかと予想したのですが、蓋を開けてみると数学に詳しくない読者に対して数学的(関係式を読む、グラフを読む、要因毎に分類解析する、論理的思考をする、等)に捉えて理解する重要性を、特に数学知識がない一般向けに照準を合わせて詳細に語って聞かせるような切り口でした。 話の題材として、消費増税・東電・震災復興・金融政策等、具体的に現在の政治経済ネタを使用しています。様々な記事や書籍から著者の主張をご存じの方ならば、その主張の論拠を述べている過程にもなっていることに気づかれると思います。 さて、中身の問題ですが本書に記述されている内容について読者が十分にその正しさを検証するためには、経済的素養と数学的素養の両方が必要です。語り口が簡易なので、一見わかりやすく正しい主張のように見えますが、その記述の当否を判断するためには経済用語の意味するところが、逐一定義に従って適切に想起される必要があること、また数学的記述に対しては合理的だと腑に落ちる必要があるからです。まあ、これらの条件を差し引いて、特にいかなる専門知識を有していない場合でも、並みの読解力を前提とした読者全体に共通して得られる知見としては、数学的思考の必要性や言葉を定義しないで論議することの不毛さ、等に関して認識を新たにすることは間違いないでしょう。 また、インターネットを駆使して経済用語・概念の定義等を確認する手間や、様々な実在する経済データや記事を調査する手間を厭わず、高校数学レベルの数学的ものの見方(具体的な知識ではない、微分積分の基本定義の理解、数式を計算式と見なさず、データの相関を簡明に表現する手段としての言葉、等々、数学的記述のそれが意味するところを想像する力が重要)が可能な方ならば、経済的素養・数学的素養の壁を突破して十分に本書を堪能できると思います。しかし、本書はそこまでの内容なので、ある程度以上の知見を備えた方が本書を読むと内容が薄くて冗長に感じる可能性もあります。 本書に関して個人的な注文を付けくわえるなら、文章を縦書きの文学的なものにせず、横書きにし、もう少し数式や図表を徹底的に引用しつつ(そこだけを並べて読めば、文章を読まなくても著者の主張が解読できるくらいに!)、別途本書のような記述も併存させれば、数学を熱心に読む読者にとっては満足度が倍加(失礼ながら、「それとともに数学を知らずに経済を語るな!」のタイトルが見せ掛け倒しか、本当に著者にその力量があって主張しているのかの見極めにもなります。また、主張の妥当性の信頼性を高める効果もあります。)したと思います。 兎も角、現在進行形の政治経済の話が満載なので、著者の主張に対する賛否とわず手に取ってみてはいかがでしょうか?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
内容はとても面白いが、著者の持論を理解してないと話の前提条件が分からない点と上から目線の文章という点が少し気になった。読めば読むほど、それはストレスになった。内容は面白いと思うのだが。。。
Posted by
テレビや新聞で雰囲気だけでわかったつもりになってはいけない。増税が必要ない理由を数学を使って理論的に説明してくれる。
Posted by
頭の痛い題名です。 経済学=文系がまず間違いだと。 高校の数学は最低限マスターしろと。 本当に頭の痛い話です。
Posted by
かなり昔になりますが、私も理系の学部を卒業したこともあり、本のタイトルに「理系の~」と書いてあると目につくことが多いです。 この本の著者である高橋氏は元大蔵省の役人で、財務省が毎年発行している分厚い予算書(報道関係者用のダイジェスト版でなく)を読んでポイントを指摘でき、それを本...
かなり昔になりますが、私も理系の学部を卒業したこともあり、本のタイトルに「理系の~」と書いてあると目につくことが多いです。 この本の著者である高橋氏は元大蔵省の役人で、財務省が毎年発行している分厚い予算書(報道関係者用のダイジェスト版でなく)を読んでポイントを指摘でき、それを本で紹介してくれる数少ない方です。今回は、その高橋氏が日本経済のポイントを数学的視点から解説しています。 以下は気になったポイントです。 ・歳入=税収+税外収入(埋蔵金の取り崩し、資産売却等)+公債なので、増税以外にも歳入を増やす方法があることがわかる(p18) ・日銀が紙幣を刷ると、長期的には発行価額の99.8%程度の発行差益(政府の税外収入)となる(p23) ・日銀の国債引受枠は30兆円(2011)で決まっている額(日銀引受額)は12兆円で、余りが18兆円ある(p24) ・現在日銀が引受ている国債は全部で100兆円あり、2011償還は30兆円、市場のマネーがその分減ることになり、30兆円分の国債引受をして紙幣を発行しないと、一層デフレになる(p26) ・増刷した紙幣の総額は、将来の納付金を全部足した合計になる(p32) ・これだけ景気が悪い中で増税をすると、経済成長率がさらに悪くなるだけ(p49) ・ギリシアでは年金額が現役時代の所得比較で96%もある、日本は36%、日本以外のG7は48%程度(p56) ・各国の国債のCDS値(クレジット・デフォルト・スワップ)を見れば、財政破綻のリスクはわかる、ギリシアは2011.11現在で80%、日本は2011.9現在で1.3%(=80年払い続けても元はとれる、80年間は破綻しない)(p65) ・10年以内に本当に財政破綻すると認識しているなら、CDS保険をかければ10年間の保険額の合計が13%なので得することになる(p66) ・今後30年で地震が起きる確率:87%とは、P=1年間で地震が発生する確率とすると、30年間ずっと地震が起きない確率は、1-0.87=(1-P)^30となり、P=6.6%となる(p121) ・放射線被爆量で最も重要なのは「累積値」なのに、報道は時間当たりの数字しか発表されなかった(p127) ・一瞬値か累積値かは、経済学の「フローとストック」に対応する概念、この違いを瞬時に理解できるかは、数字を見るとき「単位に着目するか」にかかっている(p128) ・なぜ対数をとるかは、対数をとることで桁数の違いがわかる、桁が違えば明らかな変化と見なせる、それまでは測定誤差のようなもの(p131) ・乗数とは、C=消費性向(収入のうち消費に回される割合)とした場合、1/(1-c)としたもの。C=0.7の場合は、乗数は3.3となる、政府が公共投資等で新たに有効需要をつくると、投入額の3.3倍程度は需要が拡大する(p157) 2012年4月30日作成
Posted by
「テレビが言っているから、新聞が言っているからと、何の根拠もなしに納得したつもりになっていませんか?」そんな警鐘を鳴らす一冊です。増税、電気料金値上げと、扱うケーススタディもタイムリーで、非常に役立ちます。私自身、高校時代に数学がとても苦手で、それなのに経済学部に入ったため、理論...
「テレビが言っているから、新聞が言っているからと、何の根拠もなしに納得したつもりになっていませんか?」そんな警鐘を鳴らす一冊です。増税、電気料金値上げと、扱うケーススタディもタイムリーで、非常に役立ちます。私自身、高校時代に数学がとても苦手で、それなのに経済学部に入ったため、理論の勉強では非常に苦労しました。本書を読んでみると、学生時代にマクロ経済学で学んだことが出てきました。しかし、同時にうろ覚えの部分が多いことも気づきました。恣意的な報道や数字に騙されないためにも、もう一度数学とマクロ経済学を勉強し直そうと思います。
Posted by
これ面白かったです。高橋洋一氏は消費税増税反対論者。この本を読むとなるほど感心させたれますが、真実は如何に---
Posted by
数学が苦手なので、猛省。 いかに、メディア(後ろ盾は日本の政治家や官僚)からのある意味デマ的な、垂れ流し情報に翻弄されて生活をしているのか理解出来る。 マクロ経済学の復習や「思考の重要性」について再認識。ビジネスパーソンには持ってこいの良書。
Posted by