精神保健・医療・福祉の根本問題(2) の商品レビュー
発狂人の看守を怠り、路上に徘徊せしめたる者は違警罪に処せられる。1880年、刑法に精神障害者に対する監督責任を明文化したのが保護者制度の始まり。1950年には精神衛生法で精神障害者の私宅監置が禁止され、これ以降家族の義務は精神病院に入院させることとなる。また、1887年の精神保健...
発狂人の看守を怠り、路上に徘徊せしめたる者は違警罪に処せられる。1880年、刑法に精神障害者に対する監督責任を明文化したのが保護者制度の始まり。1950年には精神衛生法で精神障害者の私宅監置が禁止され、これ以降家族の義務は精神病院に入院させることとなる。また、1887年の精神保健法では、入院の決定をまず精神保健指定医が行い、保護義務者はこれに同意を与えるという立場となる。精神障害者の面倒は身内が看るという家族主義的発想が現在の保護者制度の基本にはあるのだが、保護者である家族が退院支援の機能を果たさず、寧ろ退院の阻害要因となっているケースが少なからずある。最たる原因は保護者の負担のあまりの大きさ。対立・葛藤関係にある家族が保護者になるケースもあったりする。著者は家族に依存した保護者制度はなくし、公的機関がその役割を担うべきと訴える。健全なる精神保健行政の第一歩に激しく同意。
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