階級都市 の商品レビュー
後半の町歩きパートが1番面白かく、 様々な街の成り立ちも立体的になったが 階級都市というタイトルに比して 東京における格差の実態の部分があまり説得力をもって 描かれていないと感じる
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副題の印象とは違って、東京、それも23区内の地域別の住所地による住民の階級差(具体的には職業、収入、学歴の差)を詳しく見ていったフィールドワーク。 行ったことのある人でないとわからないくらい詳しく、具体的で面白い。
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第2章の生産/消費としての都市空間レビューは参考になった。本自体は都市=東京だけど、経済資本の差が都市の階層を規定するプロセスは下町や山の手においても同じ、特に新山の手の形成や下町の「ジェントリフィケーション」っていう内部格差が問題視されているらしい。格差が進めば階級間はますます...
第2章の生産/消費としての都市空間レビューは参考になった。本自体は都市=東京だけど、経済資本の差が都市の階層を規定するプロセスは下町や山の手においても同じ、特に新山の手の形成や下町の「ジェントリフィケーション」っていう内部格差が問題視されているらしい。格差が進めば階級間はますます対立が進展していくが、異なる階級や階層が共存する状態もまた都市の民主主義に貢献する。まあ「格差は小さいほうがいい」にこしたことはないが、地域やコミュニティ単位でどう括るかっていう問題でもありそう。
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様々な視点から東京23区内にある格差が説明されている。過去からの東京特有の構造上の問題が格差に影響しているという指摘がなされている。 後半では実際の光景を紹介している点も興味深かった。しかし、地域内格差を解消すべしという結論には納得ができない。最後にいきなり、”交雑都市へ”という...
様々な視点から東京23区内にある格差が説明されている。過去からの東京特有の構造上の問題が格差に影響しているという指摘がなされている。 後半では実際の光景を紹介している点も興味深かった。しかし、地域内格差を解消すべしという結論には納得ができない。最後にいきなり、”交雑都市へ”という主張がなされるが、安易すぎるだろう。社会学者が書いているのでこの点はしょうがないかもしれない。
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自分が一番気になっていた、都内での格差をデータから紐解いていて、とても説得力があった。 常日頃から、東京ってどうしてこんなに高級住宅街があれば下町もあって、そして東京に憧れを持つのか、不思議でした。 東京の歴史的生い立ちから説明したり、とてもワクワクしながら読めました。
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東京都心の格差を幅広い視点から解説した1冊。東京在住の東北出身者は他の出身者に比べて学歴が高くないなどショッキングなデータも紹介されている。「下町」「山の手」とされるエリアの変遷が面白い。台地と低地の所得格差はやはりあるようで、これまでの分析を補強している。
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地方出身の自分にとって、東京(23区)内で地域格差が歴史的にあるという事実は知らなかったので興味深く読みすすめました。
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東京の住人として漠然と感じていた格差の存在を数値の比較など客観的なデータ、そして明治からの文豪たちの書き残した著作などからより浮き彫りにされていて、大変興味深かった。台地と低地の持つ心理的な意味合いが差別につながる例など哀しい現実もあり、考えさせられた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 「格差」が問題視されるようになって、はや数年。 ついに格差は、風景にまで現出してきた。 小さな木造家屋が建ち並ぶ下町に、富裕層向けマンションが建設され、昔ながらの街の景観は破壊される。 同時に、地域間の格差は拡大し、富めるものは富める地へ、貧しいものは貧しい地へと、振り分けられる。 そして、「山の手」「下町」といった歴史的な境界線は、都市をより深く分断する。 まさに「階級都市」の出現である。 本書では、理論、歴史、統計、フィールドワークなど様々な視点から「階級都市」の現実に迫る。 [ 目次 ] 第1章 風景としての格差社会 第2章 なぜ「階級都市」なのか―都市構造と資本主義 第3章 異国の風景―「下町」と「山の手」の言説史 第4章 進行する都市の分極化―統計でみる階級都市 第5章 階級都市を歩く 第6章 階級都市から交雑都市へ [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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全般的に著者の楽観的というかやや情緒的過ぎる視点が気になり、肯ける部分は少なかった。 たとえば第五章「階級都市を歩く」での港・文京・足立のフィールドワークでは、それぞれの行程の最後で必ず庶民的な居酒屋に触れている。このことからも著者の下町(的)文化への愛着が見て取れるが、この下...
全般的に著者の楽観的というかやや情緒的過ぎる視点が気になり、肯ける部分は少なかった。 たとえば第五章「階級都市を歩く」での港・文京・足立のフィールドワークでは、それぞれの行程の最後で必ず庶民的な居酒屋に触れている。このことからも著者の下町(的)文化への愛着が見て取れるが、この下町文化こそが、著者が格差の再生産の原因として糾弾する「バリアを伴う混住化」の副産物ではないか、つまり、バリアを取り払えば格差とともに、著者をはじめとする知識層を惹き付けてやまない下町「情緒・らしさ」も薄れてゆくのではないか、という疑念が沸いてくる。 また貧困層への所得扶助について、地域内バリアとして機能しかねない公営住宅の供給よりも、家賃補助や持ち家奨励をすべきとしているが、現実的には、貧困家庭においてこれらの補助金が実質的に生活必要経費に充当され、住環境の良化に繋がらない可能性が高いのではないか。 そもそも、第五章までで幾度となく繰り返されるように、住環境の良悪には地形すなわち高低差が大きく影響しているのだが、最終章でそのことに殆ど言及することなく、いきなり都市空間を変化させて地域内格差を解消すべしと結論するのは、論理の断絶ではないかと思えてしまう。 総じて結論が凡庸で、よくある「格差本」という印象。
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