あの日、パナマホテルで の商品レビュー
学生の頃、夏休みを利用して1ヶ月ほど滞在したシアトルが舞台とあって興味深く読んだ。 チャイナタウンには何度か食事に出かけた。もう遠い記憶なので街並みなど覚えていないが、中国人の若いウエイターが帰りに数人出てきて、私たちを見て騒いでいたことを思い出す。 あの街が舞台なのか。 そして...
学生の頃、夏休みを利用して1ヶ月ほど滞在したシアトルが舞台とあって興味深く読んだ。 チャイナタウンには何度か食事に出かけた。もう遠い記憶なので街並みなど覚えていないが、中国人の若いウエイターが帰りに数人出てきて、私たちを見て騒いでいたことを思い出す。 あの街が舞台なのか。 そして同じようにジャパンタウンがあったとは知らなかった。 週末になるとベインブリッジアイランドに渡り、民家に宿泊した。 在住日本人は会わなかったけれど、あの島にはかつてたくさんの日本人が住んでいたとは! 片岡義男さんのエッセイなどで日系2世に興味のあった私、先生がコーディネイトしてくれて話を聞きに行ったことがある。 親世代が2世、その当時わたしと同じ世代が3世だった。 2世の方は日本語は少し分かる話せる程度で、3世はもうネイティブ。 収容所の話も写真を見せてくれながら話してくれた。 普通に暮らしてたよ、と言ってた気がする。酷い仕打ちをされた話はひとつも出て来ず、ただ行動が制限されて篭の中の鳥だったと。 中国系移民二世の目で語られる物語は初めてで、そうかそうなのかと新鮮な気持ちで読んでいた。第二次世界大戦中のアメリカ、中国系移民からは日系移民ってこんな風に思われていたのか。そりゃそうか。。 主人公のヘイリーという少年の心が真っ直ぐというか、曇りのない目で真実を見ようとする意識。魂の徳がそもそも高いのかな。 わたしだったら周りに流されてしまいそうだ。 ケイコとの友情がやがて淡い恋へ変わっていく、その純粋さも良い。 そして唐突に終わってしまう二人の仲。 ヘイリーの父親と後に妻となる女性が彼とケイコにした仕打ちには猛烈に腹が立ったし、わたしだったら許せない。よくもそんな女と結婚出来たなと思う。 過去と向き合うことに決め、行動を起こしたことで、息子との距離が縮まり、新たな家族が始まる。 余韻の残る終わり方が良かった。
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・ナショナリティとか国籍とかに縛られる価値観はもうダサいこれからは個の時代 ・時代が悪かったとか言わせないようにしていかなければならないね人類 ・初恋の人と結婚相手、どちらも誠実に愛しているという感覚、わからないけどわかってつらい どうしようもない
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WW2で引き裂かれた日系アメリカ人と 中国系アメリカ人の初恋のお話。 最後の結末はあんまり好きじゃなかったけど ずっと心に残る話。 シアトルのパナマホテル実際いってこれた! 入り口まで。 学校で唯一アジア系でいじめられてた 2人が友達になれたのに 太平洋戦争がはじまる事で 急...
WW2で引き裂かれた日系アメリカ人と 中国系アメリカ人の初恋のお話。 最後の結末はあんまり好きじゃなかったけど ずっと心に残る話。 シアトルのパナマホテル実際いってこれた! 入り口まで。 学校で唯一アジア系でいじめられてた 2人が友達になれたのに 太平洋戦争がはじまる事で 急にお別れ。 強制収容所は砂漠の中で 壁がないからプライバシーなくて 財産全部奪われて ドイツ人とイタリア人は強制収容されなかったのに 日本人だけ。 2人の初恋物語はフィクションみたいだけど、日系アメリカ人の強制収容や舞台は実際のもので、本当に2人がいたんじゃないかと思いたい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
恋愛的要素は君によむ物語に似てるなっておもった。 お父さんと嫁が仕組んだ場面は、めっっっちゃイライラした笑こんなに感情を一喜一憂されるのも珍しい本だった。 個人的に戦争時代のことは詳しくないから知らなかったけど日本人(日系)の方はあんまり、いろんな被害?というか差別的なものを受けてないかとおもった。 今はそんなに教科書自体で反感を買うような書き方はしてないけれど重要なこととそうでないことはどこで判断されて表記されてるのだろうっておもった。1人でも2人でもその地域で差別されたりなにか傷を負えばそれはとてもつらいことだし、何万人から教科書に表記されるようになるってのがあるのかな。有名な人沢山の人を動かした人ばかりが教科書にのってて覚えなくちゃいけないけど、本当はこういうことの方を学ぶことが大事なんじゃないかとすごくおもった。 今自分の意思を尊重できる時代ができたのもたくさんの人たちのおかげなのかとおもった。 パナマのホテルすごく素敵!いつかみてみたいな 最後のオアイデキテ…すごくいい〜
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【推薦者】 保健医療学部救急医療学科教員 中澤 真弓 【学生へのメッセージ】 救急医療学科・救急災害医療学研究科では米国シアトルで研修を行っています。シアトルの日本人街にあるパナマホテルには何度も訪れていますが、そこには悲しい戦争の歴史がありました。救急医療の最先端を学ぶことも...
【推薦者】 保健医療学部救急医療学科教員 中澤 真弓 【学生へのメッセージ】 救急医療学科・救急災害医療学研究科では米国シアトルで研修を行っています。シアトルの日本人街にあるパナマホテルには何度も訪れていますが、そこには悲しい戦争の歴史がありました。救急医療の最先端を学ぶことも大切ですが、その地の歴史を知ることはもっと大切だと思っています。 ▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00531528
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訳:前田一平、原書名:HOTEL ON THE CORNER OF BITTER AND SWEET(Ford,Jamie)
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太平洋戦争中の日系人強制収容をテーマにした、二人の中学生の恋愛の物語。 真珠湾攻撃の翌年に、シアトルの白人向け私立中学で出会った中国系二世のヘンリーと日系二世のケイコ。自分の力ではどうしようもない環境にありながら、一途に気高く生きる二人の姿には心を打たれるだけでなく、心を洗われる...
太平洋戦争中の日系人強制収容をテーマにした、二人の中学生の恋愛の物語。 真珠湾攻撃の翌年に、シアトルの白人向け私立中学で出会った中国系二世のヘンリーと日系二世のケイコ。自分の力ではどうしようもない環境にありながら、一途に気高く生きる二人の姿には心を打たれるだけでなく、心を洗われる。 フィクションではあるものの、強制収容は実際に行われたことであるし、この物語に出てくるパナマホテルやレコードショップも実在するもの。ヘンリーとケイコは実在したんじゃないか、と思えるようなリアリティが胸にせまる。
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本当の事を言えば、戦争と子供の両方が主の小説なんか娯楽では読みたくなく、且つ泣かせるなどと帯に書いてあれば尚更読む気も失せるはずなのですが、何故か手に取りぱらぱらとめくり”鯉の絵の傘”がくるくる回る映像が私の目に映り購入。 そんな風に訳もなく嗅ぎ当てる素敵な本もあります。 この...
本当の事を言えば、戦争と子供の両方が主の小説なんか娯楽では読みたくなく、且つ泣かせるなどと帯に書いてあれば尚更読む気も失せるはずなのですが、何故か手に取りぱらぱらとめくり”鯉の絵の傘”がくるくる回る映像が私の目に映り購入。 そんな風に訳もなく嗅ぎ当てる素敵な本もあります。 この本の主人公の中国系移民二世のヘンリー・リーが大層魅力的でとても12歳の小学生とは思えない男の子なんです。 自分の境遇、親(特に父親)の思想や態度に翻弄されつつも強く生きていく姿に感動します。そんな中に出会う日系移民二世のケイコ・オカベと心を通じ合わせます。そんな2人のほのかな恋の始まりと唐突な終わりを現在の1986年と当時の1942年を行き来しながら進んでいきます。 私の目に映っていた傘はほんのさわりでこの本の一番大切な小道具はオスカー・ホールデンとミッドナイトブルー・路地裏の野良猫ステップというジャズのビニール製レコードでした。 勿論アメリカのシアトルに実際日本町があったことなど知りはしなかったし、1941年に日本軍がハワイのパールハーバーを爆撃したのを契機に西海岸在住の日系人およそ12万人が強制収容所に連行されたことも知りませんでした。そうしてシアトルの日本人町は歴史の中に失われていったのである。 パナマホテルは実際にあるホテルですし、実際に37家族の荷物がそこにあるそうです。そんな舞台を小説の中の登場人物たちが生き生きと動いています。 歴史の動きとか人種差別等をなしには語れないのですがそれよりも12歳から13歳にかけてのヘンリーの成長の記録、また妻を看取った後の現在の息子との関係。どれをとっても前に進もうとするヘンリーの果敢なる努力に感動します。 母親に贈るスター・ファイヤー・リリーもとても素敵です。 ヘンリーの細かい善なる気持ちでとても心優しくなりました。 まだまだ素敵なくだりが沢山ありますがこれを書いてしまうとネタバレになりますので書けません。 ヘンリーを応援しながら優しい気持ちになれたら私と話が合いそうです。 泣くかな?と思いましたが泣きませんでした。ほんわかです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヘンリーとケイコの幼い恋物語は、とても切なかった。 戦時下という環境と、ヘンリーの父親の日本人に対する敵対心で思うように逢瀬も出来ず、相手への気持ちは募るばかり。 そんな幼い恋をずっと引きずってきたヘンリーは、ある日パナマホテルから日本人の荷物が見つかったことを知り、ケイコとの思い出の品を探す。 そして、ヘンリーの息子とその婚約者は、ケイコ自身を探す。 パナマホテルは実在するホテルだし、オスカー・ホールデンも実在の人物である。そして、当時の日本町にあった店もそのままの名前で登場する。 活気あふれる当時の日本町に思いを馳せ、彼らの過ごした時間を少しだけ味わうことができた気がする。
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物語は戦時中強制収容にあった日本・日系人の荷物が 戦後40年ぶりに日系ホテルの地下室で見つかったところから始まる。 ずっと蓋をしてきた苦くて甘い思い出が、その日から溢れ出してくるようになる。 読んだ居る間中、当時の大きな社会情勢に巻き込まれ、翻弄された沢山の人の運命を思うと涙が...
物語は戦時中強制収容にあった日本・日系人の荷物が 戦後40年ぶりに日系ホテルの地下室で見つかったところから始まる。 ずっと蓋をしてきた苦くて甘い思い出が、その日から溢れ出してくるようになる。 読んだ居る間中、当時の大きな社会情勢に巻き込まれ、翻弄された沢山の人の運命を思うと涙が出た。 シアトルには今もたくさんの移民の名残が現在進行形で残っている。 それは日系だけじゃなく、中国、フィリピン、韓国、ベトナム含めた様々。 けれど、それぞれの苦くて甘い記憶を思い出す縁(よすが)が無くならずに居てほしい。 そう願わずには居られなくなる本だった。
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