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あの日、パナマホテルで の商品レビュー

4.4

22件のお客様レビュー

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2016/07/23

1年ぶりの翻訳物です。 舞台は太平洋戦争さなかの1942年のアメリカ・シアトル。 中国人2世のヘンリーは非白人は2人だけという中学で、一部の生徒から謂れのない迫害に会う。もう一人の非白人は日本語もしゃべれない日系3世の少女・ケイコ。二人は一目で相手を気に入ってしまう。 しかしや...

1年ぶりの翻訳物です。 舞台は太平洋戦争さなかの1942年のアメリカ・シアトル。 中国人2世のヘンリーは非白人は2人だけという中学で、一部の生徒から謂れのない迫害に会う。もう一人の非白人は日本語もしゃべれない日系3世の少女・ケイコ。二人は一目で相手を気に入ってしまう。 しかしやがてケイコの一家は、日本の血を引くというだけの理由で日本人強制収容所に送られることになり・・・。 著者のあとがきに「私は一作家として、この歴史のひとこまを再現することに最大の努力を払い、善意であれ悪意であれ、当時この出来事に関与していた人々の意図を判断することはしませんでした。(中略)むしろ読者の正義と善悪の感覚にすべてを委ね、事実にありのまま語らせることでした。」とあります。 著者自身が言うように、当時の世相が淡々と、しかし、しっかりと描かれます。一部の人間によるアジア人に対する迫害。ジャパニーズ・タウンの店々に掲げられた「I'm AMERICAN」の看板。黒人差別。ジャズ。そして日本人強制収容所(ちなみに日本の血を引く者を強制収容するという行為や、収容所内で思想信条を変えさせるという考え自身が非常な迫害ではあるけれど、収容所の生活自身は快適とは言えないもののそこそこ保障されたものだったようです)。 物語はその1942年と40年後の現在を交互に描く形で進みます。 1942年では、主題となるヘンリーの初恋はもちろんの事、日本人を憎む父親との確執。当時のジャズの様子、見え隠れする黒人差別。そして現在ではヘンリーと息子のすれ違い。息子の白人フィアンセとの暖かな交流。1942年当時からつづく黒人サックス奏者との友情。 登場人物も皆、見事な造形です。 やや冗長感はありますが、読み応えのある良い作品でした。

Posted byブクログ

2012/01/14

「あの日、パナマホテルで」読了! ビター(苦味)=(苦い記憶より)の中にスイート(甘味)=(甘い思い出)が見つかる小説で、爽やか。 ヘンリーとケイコのとっても甘く苦しい物語は、特に最後の100ページ、読みながら『グッ』とこらえる場面が連続してすばらしい。 Happy Endなのも...

「あの日、パナマホテルで」読了! ビター(苦味)=(苦い記憶より)の中にスイート(甘味)=(甘い思い出)が見つかる小説で、爽やか。 ヘンリーとケイコのとっても甘く苦しい物語は、特に最後の100ページ、読みながら『グッ』とこらえる場面が連続してすばらしい。 Happy Endなのもいいな。 時間の空白は距離を作ってしまう! 確かにその通りだな。

Posted byブクログ