1,800円以上の注文で送料無料

歌謡曲から「昭和」を読む の商品レビュー

4

5件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2016/11/13

藤圭子のインタビューから,歌謡曲つながりでこの本を. 著者の定義によれば歌謡曲は「ヒットをねらって売り出される商業的な歌曲」=流行歌.そしてその始まりは大正3年の「カチューシャの唄」であって,音楽の嗜好が拡散し全国的なヒットがなくなった昭和の終わりで歌謡曲の時代も終わるというのが...

藤圭子のインタビューから,歌謡曲つながりでこの本を. 著者の定義によれば歌謡曲は「ヒットをねらって売り出される商業的な歌曲」=流行歌.そしてその始まりは大正3年の「カチューシャの唄」であって,音楽の嗜好が拡散し全国的なヒットがなくなった昭和の終わりで歌謡曲の時代も終わるというのがその説.なかにしさんは昭和13年の満州生まれ.引き揚げを経験した世代として国民歌謡としての軍歌の功罪もきっちり取り上げている. 私は昭和20年代,30年代の曲で知っている曲が多いのに驚いた.たぶん両親の若かった時代とかさなるのだろう.逆になかにしさんが活躍しはじめた30年代後半から40年代の曲はあまり知らない.私たちの世代が歌謡曲を一生懸命聞いたのはアイドルの時代の始まる頃.著者と同世代の阿久悠の曲は今思うとたくさん聞いている.そして昭和の終わる頃から興味がなくなり他のジャンルを聴くようになった. 私の記憶が確かならば,そのころ,歌謡曲の作詞をやめたなかにしさんはFM fan 誌に連載で自分をそだててくれた音楽のことを書いていて,読むのが楽しみだった(のちに「音楽への恋文」という単行本になった.)同じころか,芥川也寸志,木村庄三郎といっしょにN響アワーの司会をやっていて,毎回三人の雑談を聴くのが楽しみだった(芥川さんの笑顔!). こういう本を読むと,いろいろ昔のことを思い出す.音楽というのは過去を思い出させる力があるな.

Posted byブクログ

2016/08/12

2016.8.6市立図書館 BS再放送でハマっている朝ドラ「てるてる家族」の原作者にして作詞家のなかにし礼による著作。「カチューシャの歌」にはじまった、詩、曲、歌手の三拍子が揃ってマスコミやレコード会社がヒットを狙って売り出す「歌謡曲」の時代は、CDが普及した昭和の終焉とほぼ時を...

2016.8.6市立図書館 BS再放送でハマっている朝ドラ「てるてる家族」の原作者にして作詞家のなかにし礼による著作。「カチューシャの歌」にはじまった、詩、曲、歌手の三拍子が揃ってマスコミやレコード会社がヒットを狙って売り出す「歌謡曲」の時代は、CDが普及した昭和の終焉とほぼ時を同じくして終わったというメディアを中心とした昭和史になっている。 戦時下の身の処し方と戦後の作品の雰囲気が対照的な服部良一と古賀政男を比べた第5章が印象深い。第6章からは「てるてる家族」の時代となり、第7章は先ごろ読んだ「安井かずみのいた時代」とも重なる。「演歌」という言葉がそう古くからあるわけではなく「歌謡曲」には人が思うよりずっと多彩なジャンルが含まれていること、歌へのあこがれが薄れ歌の力が弱くなってきた理由、メディアと音楽出版社の関係など、勉強になることも多かった。 紹介されている歌の多くが、曲名と歌詞のイントロだけでだいたいわかるのがわれながらすごいと思った(昭和歌謡を多く取り入れた「クインテット」や「てるてる家族」を楽しんでいるおかげだと思うが)。

Posted byブクログ

2013/02/18

なかにし礼の歌謡曲史に関する考察をまとめたものです。Eテレの"佐野元春のザ・ソングライターズ"に出演した時の話がベースになってます。歌謡曲の歴史や産業など多面的に書かれています。歌謡曲シーンの第1線で活躍していた人だからこそ、ここまで書けるんだと思います。本書...

なかにし礼の歌謡曲史に関する考察をまとめたものです。Eテレの"佐野元春のザ・ソングライターズ"に出演した時の話がベースになってます。歌謡曲の歴史や産業など多面的に書かれています。歌謡曲シーンの第1線で活躍していた人だからこそ、ここまで書けるんだと思います。本書の定義である"歌謡曲=ヒットをねらって売り出される商業的な歌曲"という前提であれば、特定のターゲットだけを狙った昨今の歌曲は歌謡曲ではないし、これらを培ってきた土壌が崩壊してしまった今、新たな歌謡曲が生まれる可能性もないというのは同意です。

Posted byブクログ

2012/08/02

昭和から平成へと時代が変わって二十余年、日本の音楽業界は激変した。なかでも象徴的な例は「歌謡曲の衰退」である。自身のルーツもあわせてヒットメーカーの筆者が語る『歌と昭和』について記されたものです。 現在では表現の活動を作詞から小説などにシフトしている筆者ですが、もともとは作詞家...

昭和から平成へと時代が変わって二十余年、日本の音楽業界は激変した。なかでも象徴的な例は「歌謡曲の衰退」である。自身のルーツもあわせてヒットメーカーの筆者が語る『歌と昭和』について記されたものです。 現在では表現の活動を作詞から小説などにシフトしている筆者ですが、もともとは作詞家としてヒットメーカーの一人であることはいうまでもありません。筆者が作詞をしていた理由というのは「昭和」という時代に対する愛憎から来るものだ。それが昭和の終焉とともに自分の中で終わってしまったのだそうです。 そんな筆者が「うた」という観点から「昭和」と言う時代を読み解くというものでございます。そこには「歌謡曲」をはじめとして「軍歌」や「演歌」などその時代時代を反映した歌の数々が筆者の解釈とともに提示されていて、「人は世につれ、世は歌につれ」でという言葉を頭の中で思い浮かべながら、ページをめくっておりました。 筆者自身の作詞観や「名曲」が生まれる瞬間のエピソードはもちろん、現在はなぜ「国民歌」とも呼べるような、誰もが知っている歌がないのか。さらに、歌手や作詞家と大手レコード会社との楽屋裏などの話も読んでいて『なるほど、こういう裏話があったのか』ということを知って、思わずうなってしまいました。特に音楽番組とテレビ局が所有しているレコード会社との関係については考えさせられましたね。 僕はここまで『うた』について筆者のような思考を重ねたわけでは無論ないわけではありますけれど、古代からひとの心に寄り添ってきた歌の変遷というものを振り返ってみるということで、読んでいて意義のある本でございました。

Posted byブクログ

2012/02/10

プロの作詞家の観点から昭和の歌を評価している意見を読めて楽しかった。 57調を使わないという著者のこだわりもなるほどと思えたし、歌は詞・曲共に足りない部分を補う、完璧な詞は詩であるという話もなるほどと思えた。 時代が変わり、老若男女を問わず皆で口ずさめる歌が出来なくなったから作...

プロの作詞家の観点から昭和の歌を評価している意見を読めて楽しかった。 57調を使わないという著者のこだわりもなるほどと思えたし、歌は詞・曲共に足りない部分を補う、完璧な詞は詩であるという話もなるほどと思えた。 時代が変わり、老若男女を問わず皆で口ずさめる歌が出来なくなったから作詞家から身を引いたというのは潔く思えるが、些か残念に思える。

Posted byブクログ