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ゆみに町ガイドブック の商品レビュー

3.6

12件のお客様レビュー

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2024/05/18

小説家の「私」、システムエンジニアらしき「雲マニア」、川を渡って黒い森から白い森へ逃れようとする「プーさん」。三層の物語で描きだされる、どこにもないけれどありふれた町のすがた。 『世界の果ての庭』パターンのやつ!あらすじがすこぶる書きづらい。けど『世界の果ての庭』よりは構造が...

小説家の「私」、システムエンジニアらしき「雲マニア」、川を渡って黒い森から白い森へ逃れようとする「プーさん」。三層の物語で描きだされる、どこにもないけれどありふれた町のすがた。 『世界の果ての庭』パターンのやつ!あらすじがすこぶる書きづらい。けど『世界の果ての庭』よりは構造がわかりやすく親切になっている。 雲マニアがいじくっている町が「私」のいるゆみに町、プーさんがいるのは「私」の頭のなかにあるディスティニーランド、さらに彼らを"観察"しているのはだあれ?ということなんだと思う。 「私」のパートはわりと面白い。厳選した365冊の本を揃えたブックカフェ、というステキなところから始まって月並みな揉め事でバッサリ落とす。本を選ぶ仕事は全うしたのになんでお金を返さなきゃいけないんだろ〜最初から下心しかなかったんだな佐久間さん。そこから「私」の過去という地図のなかをうろうろ探索することになる。 「雲マニア」のパートはメタ落ちみたいなものなんだけど、上位存在とかでは全然ない。記憶子を使って町を設計している彼は、「私」の海馬と前頭葉前皮質の機能を擬人化したようなものだろう。新しい記憶がなかなか定着しないっていうのは「私」が自覚していないトラウマ的なものの影響があるのかな。 プーさんのパートは複雑だ。「私」が作りだした世界で遁走する存在だということは言及されるが、「私」が書く小説と接続しているキャラクターとかではない。というか「私」はどんな小説書いてるのか何も情報がないな。このパートはプーさんというよりクリストファー・ロビンが重要なんだと思う。父親が語るお話の聞き手であると同時にお話の登場人物でもあるクリストファー・ロビン。記憶が形作るアイデンティティにとって人はみんなクリストファー・ロビンであり、それは本を読んでいる最中に起こる意識のレイヤー分けとも同じだということだろうか。 こうして読解していくと面白かった気がしてくるな。読んでいるあいだに感じたのは村上春樹っぽさだった。ヤダ味の抜けた春樹。そのぶん印象もぼや〜っとしているのだが、この人は強烈なものを書きたいとは思ってないんだろう。一番最後のジョウロで家に水をかける男のたとえ話はエッシャーの絵みたいで好きだった。これをポンと置いて終わるのは良い。

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2017/10/04

おお~思いがけず難解であった。正直よくわからないけど、「フェンセンデンの宇宙」のような感じになってる? でもわかろうと思わずに読んでいれば、それはそれでいいのかなとも。なんの変哲もない町の皮を一枚はいだら、なんかわけのわからないことになってる、みたいな。そういうのはきらいじゃな...

おお~思いがけず難解であった。正直よくわからないけど、「フェンセンデンの宇宙」のような感じになってる? でもわかろうと思わずに読んでいれば、それはそれでいいのかなとも。なんの変哲もない町の皮を一枚はいだら、なんかわけのわからないことになってる、みたいな。そういうのはきらいじゃない。 あと、物語と詩についての考察がおもしろかった。 この話は「詩寄り」なのかな。

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2016/09/29

2016_059【読了メモ】(160929 19:57)西崎憲『ゆみに町ガイドブック』/河出書房新社/2011 Nov 20th/『鏡の中の鏡』と三崎亜記の本を思い出した。そして、これは「ひっくりかえる話」だ。大の中に小があるなんて、うそなのだ。

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2015/05/15

3人の目線から語られるゆみに町という町。それぞれから語られるゆみに町は本当に存在するのか。もしかするとゆみに町はそれぞれの心の中で存在するかもしれない。読んでいるととても不思議な感覚に襲われる。先が気になって思わず読み進めてしまう一冊。

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2013/04/22

小説家で翻訳者の女性、雲マニア、片耳のプーさんの3人の世界が交わったり入れ子になったりする話。幻想と現実、超越と親近、不条理と道理が頭の中でグルグル入り混じる。でも拡散し過ぎるわけでは無く緻密でもある。何とも言えない不思議さ。そして読後は心地良い。 未熟者のわたしにはわからない...

小説家で翻訳者の女性、雲マニア、片耳のプーさんの3人の世界が交わったり入れ子になったりする話。幻想と現実、超越と親近、不条理と道理が頭の中でグルグル入り混じる。でも拡散し過ぎるわけでは無く緻密でもある。何とも言えない不思議さ。そして読後は心地良い。 未熟者のわたしにはわからない部分もあるけどその謎を含めて凄く面白い小説だった。読後、このガイドブックを片手に<ゆみに町>の住人になったり、作る人になったり、彷徨う人になったり出来る。楽しい空想世界があれこれと...今後もそして何度でも。 現代小説、SF、ファンタジー、寓話などの要素が詰まっていてそれらが組み合わさり私にとっては斬新かつ新鮮な小説だった。どのジャンルの小説と聞かれてもわたしには答えられない。北原尚彦氏が<小説を読むのが好きという人すべてに強くオススメ>の言われる理由も納得。 小説家で翻訳者の女性が「本は何かにつづく扉であり、ほかの世界に通じる道である」とか<小説と物語の違い>といった本好き小説好きのわたしには嬉しいまた興味深いことを語っている個所があり、それも良かった。違いは一見拍子抜けするようでいて深くジワジワくる。

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2013/01/27

バラバラの三者の視点から描かれる、ゆみに町と幻想の世界。最終的にまとまらなかったのが残念だった。でも、デスティニーランドは良い感じ。

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2012/11/12

「新刊UP」の著者インタビューより抜粋。 「現代小説の要素には。詩と写実的小説と物語の3つがあって、その3つのバランスで成り立っているという気がします。(中略)その3つを統合してみたいというのが希望としてあって、それはこの作品でできるんじゃないかと思ってやってみました。」

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2012/03/10

ゆみに町という空想上の町をめぐる話。 書き手がいろいろ変わって、虚実が入り交じり、なかなか全貌がつかめない。 中断しては読み進み、挫折してはやっぱり手に取るということを繰り返して読了した。 不思議な小説。

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2012/02/12

架空の町「ゆみに町」を、そこに移り住んだ女性作家の目線から説明していくエッセイ風ファンタジー。退屈。まさにガイドブックといった様相で、なんら事件性のない町のスポットをひとつひとつ紹介する。語り手を変えるなどして変化はつくが、転がらない。途中棄権。

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2012/01/06

片耳のプーさん、雲マニアの孤独な生活、本の読めるカフェ、孔雀の庭、不在の妹、小暗い神社、地域資料館、幻のモノレール、観覧車の種子、倦怠したキング、茶色い犬、不死の樹…静かな町、恐るべき町、小さな町、無限の町、ゆみに町について語ろう。日本ファンタジーノベル大賞受賞者にして翻訳の名手...

片耳のプーさん、雲マニアの孤独な生活、本の読めるカフェ、孔雀の庭、不在の妹、小暗い神社、地域資料館、幻のモノレール、観覧車の種子、倦怠したキング、茶色い犬、不死の樹…静かな町、恐るべき町、小さな町、無限の町、ゆみに町について語ろう。日本ファンタジーノベル大賞受賞者にして翻訳の名手による新たなる現代文学、誕生(「BOOK」データベースより) 西崎さんの他の本を読んで面白かったのでこちらも借りてみた。 が、さっぱり理解できなかった。 新たなる現代文学かぁ・・・。 ものは云いようだな~。

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