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刑務所の経済学 の商品レビュー

3.4

13件のお客様レビュー

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2023/01/25

経済学がテーマの本ではあるが、日本における犯罪者への処遇、刑罰や刑務所の内情、そして元・刑務所収容者への更生支援の実情も分かりやすく記載されていて法律を学ぶ人間にも大変勉強になる本である。 少額の窃盗でも繰り返せば懲役刑になる可能性がある。300円のパン1個を何度も盗んだ窃盗...

経済学がテーマの本ではあるが、日本における犯罪者への処遇、刑罰や刑務所の内情、そして元・刑務所収容者への更生支援の実情も分かりやすく記載されていて法律を学ぶ人間にも大変勉強になる本である。 少額の窃盗でも繰り返せば懲役刑になる可能性がある。300円のパン1個を何度も盗んだ窃盗犯を刑務所に収監し、半年間懲役刑に就かせ、釈放までにかかる費用は約130万円ほど(本書刊行時、2011年)そのお金は税金から支払われる。 犯罪を犯した人間が社会に与えた損害とその犯罪者を収監し、懲役刑を科して何年も刑務所で生活させるために必要な費用。後者が前者よりも重くなれば刑罰の意味を考えなければならない。しかし日本の司法は犯罪被害者への救済が不足している。そのため傷つけられた被害者の感情は加害者へのより一層の厳罰を求める声へと変化し、結果として費用はさらに増えてしまう。それだけの費用をかけて、出所した人間が本当に更生できているのか。 刑務所に収監された人のうち、知的障がい者や低学歴の人間の数は非常に多い。それらの人々が犯罪に手を染めた原因にはそういった障がいや経歴が関係していることも多いという。 犯罪者が同じ犯罪を二度と犯さないように自分自身を理解し、自尊心を回復し、反省して更生するには刑務所での手厚い支援が必要になる。しかし刑務所は常に手一杯で、刑務官という仕事もインセンティブを得られるような仕事ではなく本人達のモチベーションも保ちにくい。 このような現状に対して、経済学の観点から評価し改善点を提案しつつ、日本の更生支援について様々な活動や機関も紹介されていて、非常に勉強になった。 ニュースで犯罪者が懲役刑になり刑務所に収監されたのを見て、やれやれ一安心だ、もう自分には関係がない。そう考えることも多いだろう。しかし本書にも書かれているが、刑務所はゴミ箱ではない。見たくないものを刑務所に押し込めておけばそれで終わりではないのだ。 10年近く前の本なので、紹介されている内容が現在と少し違うこともあると思われるが、非常に有用な本であると思う。

Posted byブクログ

2021/09/03

排除するとかえってコストがかかりますよ、という観点から、失敗を赦す社会、再チャレンジを認める社会を構築していきましょうよ、と呼びかける本。 逮捕、送検、懲役6月の実刑、満期出所、この流れの間、概算で130万円の税金がかかる。受刑者一人当たりの年間収容費用は300万円。他方、年間の...

排除するとかえってコストがかかりますよ、という観点から、失敗を赦す社会、再チャレンジを認める社会を構築していきましょうよ、と呼びかける本。 逮捕、送検、懲役6月の実刑、満期出所、この流れの間、概算で130万円の税金がかかる。受刑者一人当たりの年間収容費用は300万円。他方、年間の生活保護費は単純計算でおよそ170万円。刑務所に入れてはいおしまい、ではなく、確実にかかっているコストも意識すべきだということ。 キーワードは「比較優位」。他人と比べるのではなく自分自身の能力を相対的に比べ、各人の比較優位を生かして生産活動を行う方が、全体として社会の利益は大きくなるという経済学の考え方です。比較優位の考え方からすれば、どんな人でも、排除するのではなくその人の比較優位の点を生かして社会を成立させていくほうが、社会にとってプラスです。こういうアプローチで、優しい社会を目指そうという主張、新鮮でした。 少年犯罪とともに取り上げられていたサイコパスへの主張も面白かったです。反省を求めても特に意味のないサイコパスは、それを生かせる分野で犯罪と縁なく活躍してもらいましょう、と。 応報はその存在意義かやむをえないと思うけど、社会復帰した人たちに対しては、比較優位を活かして受け入れていく社会でありたい、と思いました。

Posted byブクログ

2020/12/13

軽犯罪の場合は、刑務所にいれるよりも、社会奉仕活動をさせた方が良いといのには賛成。 無駄な金使わなくてもよいし。 産業廃棄物を山の中に捨てたやつには、社会奉仕活動として、その100倍回収させるとかをさせればよい。 https://seisenudoku.seesaa.net/ar...

軽犯罪の場合は、刑務所にいれるよりも、社会奉仕活動をさせた方が良いといのには賛成。 無駄な金使わなくてもよいし。 産業廃棄物を山の中に捨てたやつには、社会奉仕活動として、その100倍回収させるとかをさせればよい。 https://seisenudoku.seesaa.net/article/472425865.html

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2020/07/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

no one left behind(SDG)という意味では、確かに、元受刑者の問題は、考えなければいけない問題ですね。integration、難しい。 後半、刑務所の経済学、と言いながら、単なる各論の読み物になってしまってない?!と思いながらつらつら読んでいたのだけど、最後の最後で、経済学で重要な「比較優位」の原則に照らすなら、総合職ばかり雇ってる場合じゃないし、技能別にしてそういう人も入りやすいようにすべき、という論に戻ってきたので、溜飲が下がりました(笑)。 一番の衝撃は、更正制度回りの諸々が、まさかのボランティアの方々や寄付金で賄われてやっと回っているという点。 篤志家すぎる...。 お金...こんだけ赤字出してても、日本、全然足りてないねんなぁ(国家予算)

Posted byブクログ

2019/04/29

「300円の万引きの後始末には130万円の税金がかかっている」。それだけの費用をかけ裁判所や刑務所に任せさえすれば、犯罪者は更正するのだろうか。本書は、わが国では刑事犯罪を対象とした経済分析が手薄・遅れているという。施設運営や社会復帰・更正にも経済学でいうインセンティブの理論を用...

「300円の万引きの後始末には130万円の税金がかかっている」。それだけの費用をかけ裁判所や刑務所に任せさえすれば、犯罪者は更正するのだろうか。本書は、わが国では刑事犯罪を対象とした経済分析が手薄・遅れているという。施設運営や社会復帰・更正にも経済学でいうインセンティブの理論を用いて当たるべきことを説いている。触法者であれ障害者であれ、どんな人間でも社会から排除して「無力化」(閉じ込めること)こそ何の利益にもならないのである。比較優位の理論を使って社会の一員としてとり込むことが合理的なはずであるという。

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2012/06/12

 経済学帝国主義って言葉があるらしい。社会のいろんな分野に経済学が口を出すこと。でもそういう観点からの分析も確かに重要だな。刑事司法だって,正義とかだけじゃなく,経済合理性も無視しちゃいけない。  犯罪の内容とか裁判の経緯とか,判決がどうなったとかで普通人々の関心は終ってしまい,...

 経済学帝国主義って言葉があるらしい。社会のいろんな分野に経済学が口を出すこと。でもそういう観点からの分析も確かに重要だな。刑事司法だって,正義とかだけじゃなく,経済合理性も無視しちゃいけない。  犯罪の内容とか裁判の経緯とか,判決がどうなったとかで普通人々の関心は終ってしまい,刑務所での処遇とか,出所後のことなど,殆ど注目を集めない。著者はそれを大変憂慮。刑務所の事なかれ主義とか,矯正の実効性とか,保護観察の問題とか,一向に改善しないのは世間が関心を寄せないからでもある。  本書は,経済学者が書いた(主に刑務所の下流の)刑事政策の本。そんなに具体的に経済学を適用しているわけではないけれど,犯罪を犯してしまった人たちや障害者など,社会から排除され,不可視化されている人たちに,居場所が必要なことを,比較優位の原則を援用して訴えている。  実際に刑務所に収容されている人って,高齢者,知的障害者がかなり多くを占めるようだ。凶悪犯罪とかばかり報道されるからって,受刑者がみんな怖い人たちってわけではないんだよね。あたりまえだけど。そういう人たちに,犯罪者の烙印を押して社会から排除するのは,結局社会のためにならない。  ただ,第五章「少年犯罪とサイコパス」の後半で,世の中には極めて冷静で戦略的,自己中心的で良心をもたない先天的脳障害「サイコパス」が結構な割合でいると言っている。こういった人たちへの対処として,その特性を社会に活かすような仕組みが必要だと言うが,いったいどうすればいいのだろう?この部分だけ異色な内容で違和感があった。

Posted byブクログ

2012/06/11

はじめてこの手の本を読む者にとっては有用だろうが、そうでなければあえてこの本を読む意味は無い。私にとっては、新規な情報は全くなし。一般向けの本だったのだ。手にとった私が間違っていた。 「法と経済学」のことが頻出するが、引用されている文献や議論の仕方に偏りがあるように思う。アメリ...

はじめてこの手の本を読む者にとっては有用だろうが、そうでなければあえてこの本を読む意味は無い。私にとっては、新規な情報は全くなし。一般向けの本だったのだ。手にとった私が間違っていた。 「法と経済学」のことが頻出するが、引用されている文献や議論の仕方に偏りがあるように思う。アメリカ本国では、すくなくともこの手の議論は、筋が悪いとされつつあることを指摘できるように思う。 「法と経済学」の文献ばかりが挙げられていて、抑止等の犯罪学的な視点を述べながら、いわゆる一般的で単純な経済モデル(個人的にはこれらがなくても説明できると思う、こうしないと「経済学」にならないのだろうか?)による説明ばかりがなされており、かなりの蓄積がある英米の実証的な犯罪学ついて引証が挙げられていないのはどういうわけだろう、いまいち合点がいかない。 日本では、実証研究する際の前提条件となるデータが、制度およびその恣意的な運用によって研究者にさえも明かされないという情報公開の問題点を、法学者や社会学者らが問題にしているのだから、これらの問題点を強調して欲しかった。例えば、本文中の受刑者(「犯人」ではないぞ!w)一人あたりの費用は、総予算から単純に頭割りしただけの推論である。つまりは、日本の刑事行政は、英米並みに「経済学」的に事の是非を論じる以前の状態なのである。

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2012/04/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者は、お寺や大相撲など一般的には経済学とは無関係だと考えられている分野を、経済学を使って検証する本を出版してきている。本書はその刑務所バージョン。 300円のパンを盗んだ犯人に対して130万円をかけて後始末、厳罰化の犯罪抑止効果、刑務官のインセンティブ、刑務作業の問題点など、これまでの著者と同様に、経済学的視点から、刑事政策を批判的に検討している。 また刑務所は身近な存在ではないため、豆知識本としても楽しく読めた。 ただ経済学的な分析は前半だけで、後半は仕組みの解説にとどまっていて退屈だったのが残念。

Posted byブクログ

2012/03/20

【読書その35】内閣府の村木厚子統括官が、国家賠償金を長崎県雲仙市の社会福祉法人「南高愛隣会」に寄付し、障害を抱える累犯者の社会復帰支援や刑事司法制度の見直しに充てるための基金が創設されることになり、3月10日(土)にそのシンポジウムがあった。そのシンポジウムに参加し、改めて勉強...

【読書その35】内閣府の村木厚子統括官が、国家賠償金を長崎県雲仙市の社会福祉法人「南高愛隣会」に寄付し、障害を抱える累犯者の社会復帰支援や刑事司法制度の見直しに充てるための基金が創設されることになり、3月10日(土)にそのシンポジウムがあった。そのシンポジウムに参加し、改めて勉強しようと思って手にとった本。著者は、「障害者の経済学」で有名な慶応大学の中島隆信氏。 人生に挫折はつきもの。人は、挫折を繰り返し、それを乗り越え、その都度、自分自身を見直し、人生をやり直していく。 しかし、犯罪を犯した人は、それが一度であっても一旦「前科者」のラベルを貼られると、人生のやり直しをするのは非常に難しくなる。つまり、前科者は、社会から排除されてしまう。 著者は、「前科者」であっても、社会から前科者を排除するのではなく、彼らの居場所を見つけることが可能であり、そうすべきであるという。それを、経済学の「比較優位の原則」から、社会的に失敗(犯罪)を赦すという考え方を論じる。 「比較優位の原則」とは、ある優秀なスーパーマン(絶対優位)が、「あれもこれも」となんでもやってしまうよりも、そのスーパーマンとそうでない人がそれぞれ自分の中で得意な方に特化して(比較優位)、お互いに交換した方が、社会全体の厚生が高まるという考え方。失敗を赦すとは、失敗をしても、やり直しができる仕組みが社会に備わっていることを意味するのだ。 社会で居場所を見つけて生活するため、重要なのは、やはり、仕事である。出所者の雇用に協力的な雇用主は全国8600ほど。その半分が建設業。次に製造業、サービス業と続く。ほとんどが中小企業であり、不況下で厳しい経営状況。自分が上越市で担当した出所者のケースも同様であった。協力雇用主はやはり建設業が中心。なかなか雇用には踏み出せない状況。 また、山本譲司氏の「獄窓記」により世に明らかになった刑務所の福祉施設化。刑務所の中の約3割は福祉的支援が必要と言われる。自立が困難な高齢者あるいは障害を持つ受刑者は、生活に困っては窃盗や詐欺を繰り返す。彼らにとっては塀外は厳しく、塀の中の方が優しいという。そのため、彼らの中には刑務所に戻りたいがために犯罪を犯すものもいるという。 では、社会から前科者を排除するのではなくて、彼らの居場所を見つけるにはどうするればいいのか。最近やっとそのための取組が進んできた。更生保護と福祉の連携である。 高齢や障害により自立が困難な出所者が、退所後、直ちに福祉サービス等につなげ、地域生活に定着できるよう、各都道府県に地域生活定着センターが設置され、センターと保護観察所が協働で支援を進めている。センターは現在47箇所に設置され、今年度中に全ての自治体で設置される予定である。さらに、民間レベルでは上述した長崎県の南高愛隣会で平成21年から社会福祉法人として初めて更生保護施設の運営に乗り出すなど、先進的取組を進めている。 特にこの本を読んで感銘を受けたのは以下の文である。以下引用する。 人々を感動させることは重要。感動は社会を一時的に望ましい方向へ振り向かせる効果がある。しかし、振り向いた先に一定の合理性が存在しなけれ時間の経過と共に再び元の方向に戻る。「人間ドラマ」の効果は局所的。一過性のものでしかない。引用終わり。 やはり、合理的に説明できないと、世の中を変えられない。これを心にとめて、いかに合理的に説明できる能力を磨くか、自己研鑽に努めたい。

Posted byブクログ

2012/02/15

経済学では当たり前の視点で世の中を眺めるといかに不合理なことが多いものか、著者は刑務所をテーマに考察をすすめる。 とくに犯罪し服役したものを出所後も隔離する社会は、実は経済的にも見合わないことを明らかにする。 同じ事象を異なる分野から眺める意義を痛感。

Posted byブクログ