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ガイドツアー複雑系の世界 の商品レビュー

4.3

21件のお客様レビュー

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2013/07/05

ガイドツアーという署名の通り、複雑系科学の概観を紹介する内容。 はじめに「複雑系とは何か」について、明確な定義はまだ無いそうだ。逆にそれを知る事が目的とも言える。 とはいえ共通する特徴はある。 ・単純な個々のユニットが集合すると、予測不能な振る舞いをする ・ユニット同士が影...

ガイドツアーという署名の通り、複雑系科学の概観を紹介する内容。 はじめに「複雑系とは何か」について、明確な定義はまだ無いそうだ。逆にそれを知る事が目的とも言える。 とはいえ共通する特徴はある。 ・単純な個々のユニットが集合すると、予測不能な振る舞いをする ・ユニット同士が影響を与えあい、信号を伝達する ・硬直的ではなく、環境に適応して振る舞いを変える まとめると、「数多くのコンポーネントから構成されながらも、単純な運用規則を持つのみで中央制御機構を持たない大規模なネットワークから、集合体としての複雑な振るまい、複雑な情報処理や、学習、進化による適応が生じるシステム」となる。 複雑系科学は、こういった特徴がなぜ生じるのか、どのような法則があるのか、どのように制御する事ができるのか、について知る事を目的としている。 「創発的で自己組織化する振る舞いを示すシステム」の例は、 ・蟻のコロニー ・免疫 ・遺伝と進化 ・代謝 ・コンピュータによる類推 ・セルオートマトン ・遺伝アルゴリズム など、多岐にわたる。 複雑系の難しいところは、適応されるジャンルが多岐にわたる為、それぞれの分野の専門家同士が協力する必要があるところ。例えば、生物の代謝スケーリングに関する研究のため、生物学者と理論物理学者が協力するというに。しかし、この構造は「個々のコンポーネントの働きが、全体としてより大きな機能を生む」という複雑系の考えそのものである事が面白い。 自分が複雑系の何処に魅力を感じているのか考えると、つまり個々の単純なユニットが作り出す全体のパターンに、生命の息吹のようなものを感じるからではないかと思う。 本文中で紹介されている書籍で、読みたいものをメモ。 「サイバネティクス(ノーバート・ウィーナー)」 「自己組織化と進化の論理(自己組織化と進化の論理)」  この2冊は過去に途中で挫折したので、再挑戦したい。 「ゲーデル、エッシャー、バッハ(ダグラス・R・ホフスタッター)」  ずっとAmazonのほしい物リストに入っているので買いたい。 「遺伝アルゴリズムの方法(メラニー・ミッチェル)」  プログラムの実装で参考にしている「複雑系のシミュレーション」という本を書かれた伊庭先生が翻訳されているので、ぜひ読みたい。

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2019/06/02

[関連リンク] ネットワーク - なんて退屈。: http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20130610/1371087268

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2012/10/28

カオスー初期条件に対する鋭敏な依存性 一般的な複雑系の話は網羅されていると思う。 あとは数理的理解に挑戦したい!

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2012/10/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

複雑系がいかに未だ不完全な学問であり、魅力的な現象と可能性を孕んでいると感じた。生命がどのように適応し、進化していったのかがとても興味深い。生命にとっての適応と進化のルール(コード)はシンプルなものなのか、気になるところだ。

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2012/08/22

複雑系研究のメッカであるサンタフェ研究所に所属する著者による複雑系理論の解説です。本格的な入門書となっています。 人間を含めて生物がやっていることは突き詰めて言えば「計算」だといい、すなわち生物が持つ複雑さは計算が持つ複雑さに帰着すると書かれています。セル・オートマトンやチューリ...

複雑系研究のメッカであるサンタフェ研究所に所属する著者による複雑系理論の解説です。本格的な入門書となっています。 人間を含めて生物がやっていることは突き詰めて言えば「計算」だといい、すなわち生物が持つ複雑さは計算が持つ複雑さに帰着すると書かれています。セル・オートマトンやチューリングの計算可能性理論のところはやっぱり難しいですね。

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2012/07/03

円城塔作品を読んでから複雑系に関してぼんやりと興味を抱いていたので読了。そうか、複雑系も総合学問領域なのか、と目からウロコ。「講義ノート」とあるだけあって中身は門外漢からするとやや難解な部分もあり(第九章のアルゴリズム、わけわからん…)??となりましたが、高校までのぼんやりとした...

円城塔作品を読んでから複雑系に関してぼんやりと興味を抱いていたので読了。そうか、複雑系も総合学問領域なのか、と目からウロコ。「講義ノート」とあるだけあって中身は門外漢からするとやや難解な部分もあり(第九章のアルゴリズム、わけわからん…)??となりましたが、高校までのぼんやりとした知識だけで楽しんで読むことができました。満足。

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2012/06/10

初めて複雑系の概念に触れてから二十余年、本書を読む限り歩みは遅々として進んでいないように見える。 それでも数多の秀才がこの分野、概念の灯を守り続ける。 突破口を開いてくれる天才の出現を待ちながら。

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2012/05/01

自然・社会現象の理解を先人たちがどのように試みたかをまとめて読むことができる良書。一部難しいところがあるけれど、飛ばして読んでも十分楽しめる。

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2012/04/18

サンタフェ研究所の第一線の研究者が、複雑系の現在について自らのせいかを交えながら概論した最高レベルの一般向け書物。 セル・オートマンやフラクタル、ベキ乗分布など一般化しつつある複雑系科学の言葉だが、さらにそれを深く分かり易く掘り下げているのが他の書との一番の違い。

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2012/03/25

ヒトゲノムの進展があり、人間の細胞がアメーバやその他の単細胞生物の同程度または遥かに少ない数しかないのに遥かに複雑な進化と行動が生まれるのは単純な細胞の数の多さが生み出すものではなく、細胞間のネットワークとコミュニケーションの複雑性によるものとされる。 これに対してこれらの複雑...

ヒトゲノムの進展があり、人間の細胞がアメーバやその他の単細胞生物の同程度または遥かに少ない数しかないのに遥かに複雑な進化と行動が生まれるのは単純な細胞の数の多さが生み出すものではなく、細胞間のネットワークとコミュニケーションの複雑性によるものとされる。 これに対してこれらの複雑系を取り扱えることが人類の生物間での競争優位性を生んできたのであれば、これらの複雑系をより上手く扱えるものが生き残り繁栄していくと考えられる。 なおかつ単純であればあるほどどんなに大量のデータ計算も一瞬でコンピュータが実行できるようになったこの時代においては、より複雑な複雑系を取り扱える科学者やビジネスマン、ひいてはより複雑系を巧く取り扱える企業や国家を競争優位性を有していくと考えられる。 と思った。

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