灘校・伝説の国語授業 の商品レビュー
私立のカリキュラムは学習指導要領に依らなくても良いものなのかという疑問はあるものの、橋本先生と同じように生徒が関心を持つことができればそれは楽しい国語授業になることだろう。 そこまで生徒の興味関心を引き付けたものは何だったのだろうか。3年間を通して『銀の匙』を読み進めていくという...
私立のカリキュラムは学習指導要領に依らなくても良いものなのかという疑問はあるものの、橋本先生と同じように生徒が関心を持つことができればそれは楽しい国語授業になることだろう。 そこまで生徒の興味関心を引き付けたものは何だったのだろうか。3年間を通して『銀の匙』を読み進めていくということだから、作品の良さだけでは引っ張れないと思う。 色々な寄り道が紹介されていたが、それらを教師が話すだけなら生徒はついてこないと思うし、生徒が時間内に調べるのは難しい。課題で調べる→授業で共有し、次へ読み進めて新たな疑問を見つける→課題とする、というサイクルだろうか。だとすれば文学ゼミみたいな進め方である
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以前、書評で見てからいつか読みたいと思っていた1冊。 さくっと読めます。 久々に『銀の匙』をまた読んでみたいなと思いました。 作者の先生は、101歳でなくなられていたのですね。知りませんでした。 ご冥福をお祈り申し上げます。
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「伝説」は少し言い過ぎの観があるが、一行一行に出てくる言葉へのこだわりと逸脱は、矢張り教育とは「教師の教養」如何でどうともなる、あるいは、それが一切の問題だということを思わせる。現在の教育の惨めな状況をもたらせたのは、教科書やシステムや政治の問題ではない、教師が徹底的に学問的にア...
「伝説」は少し言い過ぎの観があるが、一行一行に出てくる言葉へのこだわりと逸脱は、矢張り教育とは「教師の教養」如何でどうともなる、あるいは、それが一切の問題だということを思わせる。現在の教育の惨めな状況をもたらせたのは、教科書やシステムや政治の問題ではない、教師が徹底的に学問的にアホになった、或は、学問的な向上心に乏しいというに尽きる。まあ、労働者・サラリーマンにそんなことを求めても、と日教組は言うかもしれないが、世間のサラリーマンの方が(最低でも教師と同等の給料を得ているサラリーマンは)、その辺の教師よりずっと勉強しとるということはもう少し強調されてもよい。著者は、諸橋先生について大漢和辞典の編纂に関わった。矢張り、格が違うというしかない。もう一点、本著が示唆しているのは、著者の講義が、しょうもない道徳的な国語教育とは全く別次元のものであるということだ。つまりは、あほな教師ほどやわらかい道徳教育として国語を教えている(つもりになっている)ということだ。
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寄り道は楽しい。寄り道できる知識や経験がなければ寄り道はできない。 一番は子ども自身が寄り道できること。
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一気に流行ってしまったので読みそびれていたが、職場に参考図書として届いたので早速読ませてもらった。はじめは灘中だからできることだろうと思っていた。しかし、どうやらそうでもなさそうだ。まだ、灘中が無名の私立校で、戦後やっと併設の高校ができたころからスタートした授業なのだから。「銀の...
一気に流行ってしまったので読みそびれていたが、職場に参考図書として届いたので早速読ませてもらった。はじめは灘中だからできることだろうと思っていた。しかし、どうやらそうでもなさそうだ。まだ、灘中が無名の私立校で、戦後やっと併設の高校ができたころからスタートした授業なのだから。「銀の匙」を題材にしたスローリーディング(寄り道三昧)の授業についてはずいぶん有名になったけれど、本書を読むとその雰囲気を味わうことができる。干支の話とか、節句のこと、虫がつくことば、国字や呉音・漢音・唐音のことなどなどおもしろい話題が満載だ。そして、その中でも一番自分として感動的だったのは連声の話。いま「れんじょう」と打って変換すると一発で「連声」と出てきたから、きっと「恋情」よりも一般的な言葉なのだろう。しかし、私はこの年までそれを知らなかった。「銀杏」はこれで「ぎんなん」と読むのだと単に暗記していた。それが「ぎん+あん」から来ているとは、ちょっと考えれば分かるはずなのに、まったく思いが及ばなかった。「反応」にしても「天皇」にしても同じこと。結局、どの段階でも一度も習わなかったということなのだと思う。反して、外国語ではそういう例があることをきちんと教わった記憶がある。「リエゾン」なんていうことばも知っている。「レゾンデートル」なんて典型的な例だって言える。理科の授業で「天王星」を「てんのうせい」と読むのか「てんおうせい」と言っておいた方がよいのかいつも迷いながらごまかしていた。漢字で書いてしまえば分からないし、ふりがなを打つこともまずない簡単な漢字だから何とかなっていた。しかし、これで「てんおうせい」は完全に間違いだと分かった。変換すると「天旺盛」となってしまうのだから。まことにお恥ずかしい限りです。
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実際に授業を受けてみたかった! 自分の心掛け次第なのかもしれませんが、これは本として読んでもなぁ、というのが正直な感想です。 スローリーディングの4つのポイントには文句なく同意できますので、その例が書かれた後半の2/3を、今後の読書に生かせればと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
チェック項目3箇所。スローリーディングのポイント……寄り道する、追体験する、徹底的に調べる、自分で考える。1868年に起きた戊辰戦争も「戊辰」の年に起こった出来事なので、こう呼ばれているのです。平均寿命が50歳にも満たなかった時代、40歳をすでに「初老」と称した感覚からは、60歳は驚異的な長寿であったろうと思われます。長寿社会により行われるようになった長寿の賀で、新しく加えられたもの……茶寿(108歳)、「茶」を分解し、草かんむりは「十」が並んで、「二十」、その下が「八十八」となり、合わせて「百八」となります、皇寿(111歳)、「皇」の下部の「王」の上の「一」を「白」の上につけると「百」となり、あとに「十一」が残るから、大還暦(120歳)、2度目の還暦に当たる年です。 「NEXT READING」 (スローリーディングの効果は……?)語彙が増える、自分で考える力がつく、文章向上、記憶力アップ、調べる力がつく、言葉に敏感になる、読み解く力が強くなる、好奇心が刺激され学ぶことが楽しくなる。 (スローリーディングとは……?)薄い文庫本を3年かけて読み解く、寄り道(キーワードを調べる)、追体験(本の中のことを実際にやる)、徹底的に調べる、自分で考える。 (スローリーディングは1冊とどれ位で読むのか……?)「ぺんぺん草」について2週間費やすこともある(1ページ)。
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私は神戸市出身なので、残念ながら縁は無かったのですが、灘高がいかに凄い学校かということは知っているつもりです。 私が物心ついた時から灘高の東大合格者数は日本で一番を争うほどの学校でありながら、ガリ勉だけではない集団のようです。この本では、その灘高で伝説の授業と言われている国語の...
私は神戸市出身なので、残念ながら縁は無かったのですが、灘高がいかに凄い学校かということは知っているつもりです。 私が物心ついた時から灘高の東大合格者数は日本で一番を争うほどの学校でありながら、ガリ勉だけではない集団のようです。この本では、その灘高で伝説の授業と言われている国語の教師が、その授業内容を解説しています。 本の帯に書いてある通り、「奇跡の授業が体験できる本」であり、縁のなかった、さらに国語があまり好きでなかった私が、とても興味深く、その授業を疑似体験することができ嬉しく思いました。 このような素晴らしい授業を受けた灘高校生は、日本をより良くするために活躍してほしいものです。 以下は気になったポイントです。 ・暗記だけで得た知識は、試験が終わるとすべて忘れてしまうが、興味と好奇心を持って見聞きしたことは、一生忘れることがない(p22) ・春の七草が食用を主とするのに対して、秋の七草(藤袴、桔梗、萩、撫子、葛、女郎花、尾花)は鑑賞を主とする(p24) ・追体験することは、それほど生徒の心に強い印象を残す、例として、駄菓子を食べたことや凧揚げをしたこと(p28) ・とくに有名な節句(季節の変わり目)を五節句という、人日(1/7、七草)、上巳(じょうし、3/3桃)、端午(5/5菖蒲)、七夕(7/7星祭り)、重陽(9/9菊)(p29) ・字を入れ替えても、字の読みは同じだが意味が異なるものとして、社会・階段・外車・名人・身長等がある(p71) ・十干は、10語ある、五行を兄(え)と弟(と)の2つに分けて、10通りとなる、甲乙丙丁戊(ぼ)己(き)コウ、辛(しん)、壬(じん)、葵(き)(p85) ・十二支と十干を組み合わせたのが干支、干が幹、支が枝となる(p86) ・長寿の祝いとして、初老:40、還暦:61、古希:71、喜寿:77、米寿:88、卒寿:90、白寿:99、茶寿:108等がある(p89) ・七福神の一つである毘沙門天は、別名多聞天といい、仏教で崇拝される四方の守護神のひとつ、東の持国天、南の増長天、西の広目天とともに、北の多聞天として並び称される(p105) ・訓読みとは、伝来してきた漢字に同じ意味、あるいは似た意味の日本言葉の音をあてはめた読み方、音読みとは、伝来した漢字の音を、その文字とともにそのまま受け継いだ読み方、 ・音読みには3通りある、1)呉音(最も古いもの、中国南方の呉地方のもの)、2)漢音(遣唐使、遣隋使により北方の音)、3)唐音(鎌倉以降に、新しく伝えられたもの、宋・元以降)、一般的には漢音だが、呉音のケースもある(p112) ・正月と盆の16日に奉公人が暇をもらうことを「やぶ入り」という、奉公人に自由と休息を与えて、閻魔堂にお詣りさせて悪い行いをしないように戒めた(p119) ・女房ことばとして、おかず・おでん・おなか・おなす・おひや・かもじ(髪)・こうこ(たくあん)・しゃもじ(杓子)すもじ(すし)・ゆも(浴衣)がある、多くが語頭に「お」、語尾に「もじ」がついた(p125) 2012年7月1日作成
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仕事、勉強に活かせるノウハウが凝縮された1冊。 ここに書いてあるスローリーディングを、時間をかけて実践してモノにすれば、本物の思考力が身につくわけだ。…と痛感。
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ようやく「伝説の授業」の御本人による著書が出た.これで「灘中 奇跡の国語教室」も「奇跡の教室」もいらなくなったのではないか.著者が授業で大切にしている事は「寄り道をする」「追体験をする」「徹底的に調べる」「自分で考える」の四つ.これが具体的に書かれていて,どういう授業だったのが,...
ようやく「伝説の授業」の御本人による著書が出た.これで「灘中 奇跡の国語教室」も「奇跡の教室」もいらなくなったのではないか.著者が授業で大切にしている事は「寄り道をする」「追体験をする」「徹底的に調べる」「自分で考える」の四つ.これが具体的に書かれていて,どういう授業だったのが,これまでよりよくわかる.(呉音,漢音,唐音とか連声なんてのは,私はこれまで知らなかった.)時間があって(なんと三年間も),優秀な学生がいてという仮定の下で成り立った授業だとは思う.でも自分で何かを学ぶときにこの4つを実現すれば良いわけで,そのためのヒントがたくさんあると感じた.
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