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マインド・イーター 完全版 の商品レビュー

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17件のお客様レビュー

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2024/02/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

水見稜。1980年代のみに活躍し、作品数も10作に満たない作家でありながら、今でも名前を見ることがある。 特にこのマインドイーターは良いニュアンスで名前が出されているのを目にし、一度読んでみたいと思っていた。 読んでみた感想は「これが30年以上前の作品なのか」というもの。 MEとの壮絶な戦いを期待していた私には肩すかしではあったが、決して期待外れでは無く、人間の内面、特に弱い部分や気持ちの移ろいの描写はすばらしいものがあった。 近年のSFでは忘れられている感もある「地球を離れて人間は生きられるのか?」というテーマも含まれていて、宇宙から俯瞰して見た「生きる」とはどういう事かを考えさせられる。 また、評価の割に作家としての活動期間が短かったので、「もしかしたら早世されているのでは」と思っていたが、2011年の完全版出版時のコメントが載っており安心した。

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2018/10/08

129:ついったで飛浩隆さんが解説を書いておられると話題になっていたので購入。難しかったですが、神林作品と同じニオイがするので読み返すごとに自分の中で解釈が変わってゆくような、そんな気もします。M・Eとの戦闘に始まり、M・E=「Me」の暗示、ヒトの誕生で終焉を迎えるこの作品に込め...

129:ついったで飛浩隆さんが解説を書いておられると話題になっていたので購入。難しかったですが、神林作品と同じニオイがするので読み返すごとに自分の中で解釈が変わってゆくような、そんな気もします。M・Eとの戦闘に始まり、M・E=「Me」の暗示、ヒトの誕生で終焉を迎えるこの作品に込められたものはあまりに多く、一度読んだだけではとても理解が追いつかない、というのが本音。ただただ圧倒的。大切に、何度も読みたい。

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2015/10/16

宇宙へ進出した人類に襲い掛かり精神を破壊し、その肉体を異質なものに変化させる鉱物意識体マインド・イーター(M・E)と人類との攻防を基本設定に8話から成る短編は、宇宙と人間、感性と感情、生と死という哲学的テーマを通して、人はなぜフィクションを求めるのか?、SFとは何か?という問いを...

宇宙へ進出した人類に襲い掛かり精神を破壊し、その肉体を異質なものに変化させる鉱物意識体マインド・イーター(M・E)と人類との攻防を基本設定に8話から成る短編は、宇宙と人間、感性と感情、生と死という哲学的テーマを通して、人はなぜフィクションを求めるのか?、SFとは何か?という問いを読者に投げかける。 1980年日本SF小説の全盛期において小松左京、筒井康隆らも盛んに作品の題材に取りあげたテーマ。その≪文系SF小説≫の中においても本書は今なお傑作を謳われる一作であり、30年前の作品とは思えない全く古さを感じさせない文体と構成は見事。 1984年にハヤカワJA文庫で刊行され長い間絶版になっていた本書に未収録の2話を加えた「完全版」。

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2014/04/27

1984年に刊行された短編連作の完全版だが、著者は現在、作家としての活動は全く行っていないようだ。 面白かっただけに新作が発表される気配すら無いのは残念……。

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2014/04/09

読後感がすっきりするってわけじゃないのだけど、もう一度読み返したいと強く思える作品。 マインドイーター、M.E。それってつまり「私」なのだ、という後書きに痺れた。

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2013/09/07

幕切れがあまりにも唐突な作品群だった。意図してそう書かれたものなのだろうが、描かれていない部分が多くてなんとももどかしい。あとがきに至ってその理由らしきものが書かれているが、つまり物語そのものは収斂させず、切り取られた場面の雰囲気やその瞬間のキャラクタたちの感情、そこから想起され...

幕切れがあまりにも唐突な作品群だった。意図してそう書かれたものなのだろうが、描かれていない部分が多くてなんとももどかしい。あとがきに至ってその理由らしきものが書かれているが、つまり物語そのものは収斂させず、切り取られた場面の雰囲気やその瞬間のキャラクタたちの感情、そこから想起されるイメージを楽しめばいい感じかね(その構成で損してるな、とも思う)。短編らしいとも言えるか。M・Eが「なんでわかってくれないんだ!?」って苛つくシーン全般と、ケインが作ってるのがキリスト像だと気付いたときが自分の中でのハイライト。 ハイテンションで解説書いてる飛さんの『象られた力』未読の人がもしいたら、ぜひ読んでみてほしいな。

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2013/06/05

当時歴史ものばかり読んでいた私にSFの面白さを知らしめた一冊。 「前宇宙の残滓」たるマインド・イーター(以下M・E)という鉱物のような得体の知れない小天体とそれが人類にもたらす恐怖を軸に展開される連作短編集。 宇宙艇に搭乗した人間とM・Eのドッグファイトや月面探索、宇宙船の船長と...

当時歴史ものばかり読んでいた私にSFの面白さを知らしめた一冊。 「前宇宙の残滓」たるマインド・イーター(以下M・E)という鉱物のような得体の知れない小天体とそれが人類にもたらす恐怖を軸に展開される連作短編集。 宇宙艇に搭乗した人間とM・Eのドッグファイトや月面探索、宇宙船の船長とそのコンピュータとの対話など、様々な雰囲気のSFが楽しめる。 かく言う私はいわゆる「ゆとり世代」に属する人間だが、この『マインド・イーター』と神林長平の『戦闘妖精・雪風』の世界観は、幼少より親しんできたファミコンののゼビウス、スターフォース、グラディウスといったSTGの世界観を想起させるものがあり、心が踊る。この手の「人類VS何か」というSF要素を含むものが80年代に集中しているのも興味深い。

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2013/04/20

六割わからないけど好きです! いやマジでSF用語以前に、誰の台詞なのか、誰が何してるのかが分からない 元来『夢の浅瀬』が好きな浅瀬の読者のため、宇宙船は女性人格に限るという浪漫くらいしか語れません

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2012/10/09

久々に、ずっしりと重厚感のあるSFを堪能。 R-TYPEのバイドを彷彿とさせるような(時間順序的には逆) 宇宙からの異物「マインド・イーター」との邂逅を通して描かれる、 人とは何か、我々はどこから来てどこへゆくのか。 人は涙を流すことをやめた時に人でなくなるのか? とかそんな感...

久々に、ずっしりと重厚感のあるSFを堪能。 R-TYPEのバイドを彷彿とさせるような(時間順序的には逆) 宇宙からの異物「マインド・イーター」との邂逅を通して描かれる、 人とは何か、我々はどこから来てどこへゆくのか。 人は涙を流すことをやめた時に人でなくなるのか? とかそんな感じ。 ある意味で、SFとして不滅のテーマ。 物語というよりは作者の叫びや足掻きに近く、その意味で個人的には フィリップ・K・ディックを想起する。。。あちらのねっとり感に比べると、 多分にソリッド感が強いですが。 なお、小松左京「ゴルディアスの結び目」必読の模様。

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2012/06/21

30年前の作品。画期的。つぎはぎだし、破綻プロットも多いけれど、シューベルトの未完成ってな感動があるね。連作によるマインド・イーターという架空の存在に対する人類の位置づけを描いている。  「野生の夢」は読みやすいが、あまりインパクトがない。「サック・フル・オブ・ドリームス」は音...

30年前の作品。画期的。つぎはぎだし、破綻プロットも多いけれど、シューベルトの未完成ってな感動があるね。連作によるマインド・イーターという架空の存在に対する人類の位置づけを描いている。  「野生の夢」は読みやすいが、あまりインパクトがない。「サック・フル・オブ・ドリームス」は音楽が生命の証であるという印象が新鮮。「夢の浅瀬」ではあまりに強烈なエンディングが続く作品の影を薄くしてしまう。  「おまえのしるし」で一気にマインド・イーターとはってなところに進むが、「緑の記憶」では植物を題材にして新しい局面にトライするものの消化不良に終わり、「憎悪の谷」では新しい試みがあるが不発。「リトル・ジニー」に飽きた頃、エンディングの「迷宮」でひとつの結論に至る。  マインド・イーターとはなにかは関係ない。人類が先か宇宙が先か。知性か生命かってなところが掘り下げられるのだが、とにかく未完である。惜しい。

Posted byブクログ