浮世女房洒落日記 の商品レビュー
21世紀に入って、ある家の天井裏から発見された日記は、江戸の文化文政、または天保の頃に書かれたとおぼしきものだった。 それは、神田で小間物屋を営む辰三の女房・お葛が元旦から師走の30日まで、こまめにつけた日記だった。 そこには、江戸っ子で気風はいいが、お気楽な亭主のために家計が火...
21世紀に入って、ある家の天井裏から発見された日記は、江戸の文化文政、または天保の頃に書かれたとおぼしきものだった。 それは、神田で小間物屋を営む辰三の女房・お葛が元旦から師走の30日まで、こまめにつけた日記だった。 そこには、江戸っ子で気風はいいが、お気楽な亭主のために家計が火の車になり、愛想をつかしながらも風物たのしみ、泣き笑いしながら、たくましく生きるお葛の人生が生き生きと綴られていた。 美顔の探求に余念がなかったり、実質的に店を切り盛りする住み込みの奉公人・清さんの恋路にやきもきしたりしながら笑いのつぼも人情の機微もおさえたお葛の姿がおかしく、また、愛しい。 割れた瀬戸物を拾い集めれば、修理してくれる焼接屋(やきつぎや)、灰を再利用する灰買いといった商売があったことでこの時代、いかに物を大事にしていたか勉強になった。 また、医者になるための資格試験がなく、勉強ができないやつは医者にでもなるよりしょうがないという、驚くべき記述もあった。 江戸期の生活、歳時、風物などに関する文献が多数引用されており、江戸庶民の姿を肩凝ることなく知れる歴史書にもなっている。 お葛以外の登場人物も、それぞれ味があり、長屋を舞台にした落語を読んでいるような味わいもあった。
Posted by
江戸時代の主婦、お葛さんの日記。 とても面白かった!やはり、江戸時代の市井の雰囲気、大好きです。みなそれぞれが、季節の行事事などをちゃんと楽しんでいる。忙しい現代ではなかなかできてないことですよね。登場人物も皆個性的、人間味あふれててとても良いです!
Posted by
この本は、長屋で小間物屋を営む二人の子供を持つ夫婦が主人公。この奥さんであるお蔦さんが、正月に日記を書くことに決めたというシチュエーションですすむ。 わけあって大店の手代を辞めることになった清さんが、居候で共に働く。亭主の辰三は、絵に描いたような江戸っ子。 祭りに目がなく、喧嘩っ...
この本は、長屋で小間物屋を営む二人の子供を持つ夫婦が主人公。この奥さんであるお蔦さんが、正月に日記を書くことに決めたというシチュエーションですすむ。 わけあって大店の手代を辞めることになった清さんが、居候で共に働く。亭主の辰三は、絵に描いたような江戸っ子。 祭りに目がなく、喧嘩っ早くお金が懐に収まらない。 商売はお蔦さんと清さんに任せっぱなし。 物知りで人情家の大家さんとケチなその妻。 隣は一人娘と夫婦もの。独り者の源さんと、年中質屋が良いの六さん。 1年間の日記をもとに、江戸の市中の人々の習慣や生き方、流行の物や本など色々なものが、織り込まれて進む。 夫婦喧嘩や恋愛まで盛り込まれていますよ〜。 実に楽しい1冊だ。 木内昇の書き下ろしだが、資料は多く丹念に調べ上げた上の日記仕立てなので、勉強してる気がしないうちに、知識も! 是非オススメの1冊ですよ〜!!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
江戸時代、 小間物屋の女房お葛さんによって書かれた日記。 長屋のご近所付き合いっていいね 温かくて落語みたいで楽しくて 。 どうやっても流れがこっちに向かない時は本でも 読んでゆっくりすればいい 。 そしたらいつかまた 風がこっちに巡ってくるんだよ。 富弥太さん、いい事言うなあ 乗り越えるんじゃない 、やり過ごすんだよ。 辰三さん、この後鏡作り上手くいったかなぁ。。 清さんとさえちゃん、、みょーとになったかなぁ。
Posted by
何やかやいうほどの事でもない小噺的な的なものです 江戸の風習が偲ばれて「ほう~」って感じ 「鉄漿をつけるのも憂鬱なこと。なにより、この臭いのひどさよ」・・・・少しは勉強になるかな?
Posted by
面白くて面白くてケタケタ笑いながら読んでしまった。正月から師走まで1年通して書かれた日記。作者は江戸で小間物屋をしているお葛さん。その亭主がとにかく笑える馬鹿。仕事に精を出さず、見栄っ張り、喧嘩っ早く、子供より子供。亭主の馬鹿っぷりに日記でツッコミをいれるお葛さん。言い回しや的確...
面白くて面白くてケタケタ笑いながら読んでしまった。正月から師走まで1年通して書かれた日記。作者は江戸で小間物屋をしているお葛さん。その亭主がとにかく笑える馬鹿。仕事に精を出さず、見栄っ張り、喧嘩っ早く、子供より子供。亭主の馬鹿っぷりに日記でツッコミをいれるお葛さん。言い回しや的確な指摘が最高に洒落ている。ツッコミながらも季節の行事や当時の風習が丁寧に書かれていて、まるで江戸にいるような気分を味わえる。亭主以外の登場人物も一筋縄じゃいかない人ばかり。だものツッコミも磨かれるわけだ。愉快で気分がいい1冊です! 積ん読たくさんあるにもかかわらず、ちょっと寄り道。すっこーんとそしてからりと乾いた気持ちいい読後を求めて再読。お葛と旦那とその周りの人々とやっぱ好きだな。お葛さんが旦那にあきれつつもなんだかんだ日記で話題にしているってことは、お葛さんが思う程枯れてないと思うよ笑。旦那が湯屋で喧嘩して、お葛さん一度は怒髪天になるも、でもその原因に筋が通っていると分かった時の褒め言葉「えらいぞ、旦那。日頃の短慮が実を結んだね」こんなこと、普通言えない。お葛さん、嫌かもしれないが似た者夫婦だよ。たった1年の日記じゃ物足りない!
Posted by
大正初年に建てられた古びた洋館の天井裏で見つかった江戸時代に小間物屋を営む女が描いた日記。昭和の初め頃、一人の男がその日記に興味を持ち現代語訳したものらしい。 面白い。本書の設定も日記の内容も。 日記の書き手はいつもぷりぷり怒りながらどんどん突っ込みを入れていく。その様が軽快で痛...
大正初年に建てられた古びた洋館の天井裏で見つかった江戸時代に小間物屋を営む女が描いた日記。昭和の初め頃、一人の男がその日記に興味を持ち現代語訳したものらしい。 面白い。本書の設定も日記の内容も。 日記の書き手はいつもぷりぷり怒りながらどんどん突っ込みを入れていく。その様が軽快で痛快でとても良い。自身も本を読むのが好きらしく文才ありなので登場人物がみんなイキイキと立ち回ってくれる。 と、面白く日記を読み終わった後に解説を読んだら現代語訳をした男の存在にも疑問が表れ尚面白い。 それにしても、あの洋館の戸袋が物凄く気になる。 そこに住む人の日記も是非とも読みたい。戸袋の世界をこっそりとお披露目してほしいなぁ。
Posted by
ただの日記と簡単に言ってしまえば、そうなのだけど江戸時代の一年の暮らしを垣間見れて、面白かった。なぜか心が和む。 きっちり一年で終わってしまうので、清さんの恋がどうなったのかがわからないのが残念!
Posted by
木内さんの作品はいつもその時代に引きこまれるけれど、これは長屋の3軒先くらいから眺めているような、絶妙な距離感で楽しめた。長屋の生活が生き生きと伝わってきて、もうお葛さんはじめ、明日はどうなる?と、だんだんさえちゃんや清さん、六さんたちが気になり始める。 ご近所とは適度に距離を置...
木内さんの作品はいつもその時代に引きこまれるけれど、これは長屋の3軒先くらいから眺めているような、絶妙な距離感で楽しめた。長屋の生活が生き生きと伝わってきて、もうお葛さんはじめ、明日はどうなる?と、だんだんさえちゃんや清さん、六さんたちが気になり始める。 ご近所とは適度に距離を置き、ここがお節介しどころと思えば、俄然張り切る。初鰹を食うためなら女房の着物を質に入れてでも。火事があればすっとんでいって火消しに見とれる。みんなで花見や花火を楽しむ。先のことは憂えない江戸っ子たちがどんなに生活を楽しんでいることか。江戸の風物詩も楽しい。
Posted by
1年を通した江戸の庶民の生活をある小間物屋のおかみさんの日記という形で綴った本。江戸風俗の入門書にぴったり。作者もそのつもりで書いたと思う。
Posted by
- 1
- 2