約束の地(下) の商品レビュー
何度も読み返したい一作。 初めて読む作者だったが、どんどん引き込まれてしまった。 ”父親”の目線でも、”男”の目線でも、”人間”という目線でも多様な視点で読むことができ、ページを繰る度に主人公に自分を投影していってしまった。 急展開や中だるみもなく、心地よいテンションがあり、...
何度も読み返したい一作。 初めて読む作者だったが、どんどん引き込まれてしまった。 ”父親”の目線でも、”男”の目線でも、”人間”という目線でも多様な視点で読むことができ、ページを繰る度に主人公に自分を投影していってしまった。 急展開や中だるみもなく、心地よいテンションがあり、気が付けば読み終わっていた。 あらすじや印象に残ったシーンを紹介するのは野暮なので、ぜひ一度手に取ってもらい、読んだ感想を教えてもらいたい。
Posted by
下巻も読み終わりました! 山に棲む野生動物たちが人間の畑を荒らしてしまったり、不運にも人間と遭遇してしまって人が怪我をすると動物が殺処分されるという、現実でもたまに目にするニュース。 元はと言えば人間が山を切り拓いて、動物たちの住処を奪ってしまったことが原因だから、こういうニ...
下巻も読み終わりました! 山に棲む野生動物たちが人間の畑を荒らしてしまったり、不運にも人間と遭遇してしまって人が怪我をすると動物が殺処分されるという、現実でもたまに目にするニュース。 元はと言えば人間が山を切り拓いて、動物たちの住処を奪ってしまったことが原因だから、こういうニュースを見ると悲しくなってたんだけど。 人間も生きていかなきゃだしね。 難しい問題よね。 前に聞いたことある話で、自然との共存で一旦人間が手を出してしまったものはずっと手を出し続けなければいけないっていうの。 アメリカの国立公園の狼再導入の時に聞いたんだっけな?? ちょっとうろ覚え…。 そういうのを色々思い出すお話だった。 そして読んでる時、途中からずっと動物は乙事主さまで再生されてた。熊もね。 『もののけ姫』好きな人は好きじゃないかと。 色々な問題がギュギュギュッと盛り沢山のお話だったなー。 こちらのお話、読み切りだと思ったら続きもあるのね! そちらも気になる。 K-9の方でもまだ読んでない巻があるから、徐々に読んでいきたいな。
Posted by
南アルプス山麓に居を構える著者ならではの自然描写が、書中様々な場面で詳述される。 読者は、迫真の物語をしばし忘れ、主人公たちとともに八ヶ岳、南アルプス近辺を辿っているかのような寄稿文的臨場感を味わえる。 もちろん、この小説の主題はそんなところではない。 人と動物の棲み分け、人と自...
南アルプス山麓に居を構える著者ならではの自然描写が、書中様々な場面で詳述される。 読者は、迫真の物語をしばし忘れ、主人公たちとともに八ヶ岳、南アルプス近辺を辿っているかのような寄稿文的臨場感を味わえる。 もちろん、この小説の主題はそんなところではない。 人と動物の棲み分け、人と自然の共生を問う意欲作であり、著者自身の生活体験から紡ぎだされた告発の書でもある。 その思いを、古参猟師に語らせる。 「・・・開発開発で山がどんどん切り崩され、必要もねえ大規模林道をあちこちにこしれえて、森はズタズタに切り裂かれる。人間の暮らしが作り出した有害なものをあちこちに埋めて、土や水は汚染される・・・」 山の怒りを体現する化身として巨グマ、巨イノシシが登場する。とりわけ、次々と繰り広げられる三本足の巨イノシシとの死闘の場面は、書を置く能わずの感。 その一方、人と犬の絆、人と人との絆は、心温まる描写となっている。 また、登場人物たちはそれぞれ家族や仲間を喪うことになるが、生者と死者の絆も描かれており、再三語られる言葉が印象に残る。 「死というものは忘れたり、克服したりするもんじゃない。共に生きていくものなのです」
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
スペンサーシリーズに同名の作品があるが、全く別物。 本作は八が岳や南アルプスの自然を舞台に、環境と獣害問題をテーマにした家族小説。 とにかく、やたらとテーマを盛り込んでくる。狩猟の問題、獣害からのモンスター、食物連鎖、地方行政の怠慢、環境汚染、いじめ、またぎの老齢化、気候変動…こんなに盛り込んでどう収拾するねんと読みながら危惧していたんだけど。 ネタバレしてもしょーもないので、多くは語らないが大丈夫。力とテクニックを上手くミックスさせた筆運びで見事収拾させてくれる。ある程度予想がつく、悪く言えばベタな展開にはなってるけど、安定度は抜群。むしろ巧みな捻りは無用だろうと思わせるぐらいのストレートな描写で、自然と向き合う人間の、動物の姿を読ませてくれる。 狩猟の趣味はないし、鉄砲みたいな危ない物を持つつもりは毛頭ないけど、山歩きを趣味にしている俺にとって、この本に書かれていることはとても関心があり勉強にもなった。自然や山に対しては、常に謙虚であろうと思った次第。 難しいことは考えなくても、小説として十分オモロい一級の出来。 八が岳行きたいぞ、黒戸尾根行きたいぞ。
Posted by
今年は去年に比べてかなりの本を読んでいる(去年は受験期)が、その中でもこの作品は上位に入る。 読み応えがあるのに、さらさらーと読めてしまうのはひとえに作者の実力だろう。 最近ラブコメが必ず含まれている本ばかり読んでいて、そんなときにこの作品に出会えて良かったと思う。 自然と人を取...
今年は去年に比べてかなりの本を読んでいる(去年は受験期)が、その中でもこの作品は上位に入る。 読み応えがあるのに、さらさらーと読めてしまうのはひとえに作者の実力だろう。 最近ラブコメが必ず含まれている本ばかり読んでいて、そんなときにこの作品に出会えて良かったと思う。 自然と人を取り扱う良作。
Posted by
下巻は怒濤の展開で物語が収束していくのが気持ちいい傑作ですね。それにしても、頑固親父にダメ息子、典型的なパターンだけど、実際に良そうで、結局人間が一番ダメな動物で、怖ろしい動物だといういつもの結論になっちゃいますね
Posted by
論点多すぎ!つめこみ過ぎ! 社会派小説、自然系、ミステリー、どの要素も持っているけど、とにかく的を絞って掘り下げて欲しかったな。 まあ、その複合的な複雑さが、環境問題や社会問題の本質そのものなのかもしれないけど。
Posted by
ハンティングはおろか登山にも縁のないこの身ですが、猟の緊張感や冬山に吹く風の身を切る様な冷たさをリアルに感じつつ、ページを繰る手が止まりません。 面白さもさることながら、生と死という普遍のテーマを深く深く考えさせる太い筋が一本通っています。
Posted by
樹皮が剥がされた木々、電気柵に挟まれながらの登山道など…、私みたいな初級者の山好きにも本書で描かれている鳥獣による森林被害を目にする機会は少なくない。長い共存の歴史でかろうじて住み分けがされてきた(それすら人間本位の住み分けだけれど)ものが壊れつつあり、死、怒りを超えた動物たちの...
樹皮が剥がされた木々、電気柵に挟まれながらの登山道など…、私みたいな初級者の山好きにも本書で描かれている鳥獣による森林被害を目にする機会は少なくない。長い共存の歴史でかろうじて住み分けがされてきた(それすら人間本位の住み分けだけれど)ものが壊れつつあり、死、怒りを超えた動物たちの絶望が伝わってくる。『ベアドック・ハンドラー』、そして『ピッキオ』の活動が知れただけでも感謝。
Posted by
面白かったけど、ちょっと長い。 日本では、VS野生動物といえば熊が定番。これも熊ものかと思って読み始めたら、熊も出るけど実際の相手は大イノシシ。これに、猟銃規制やら、環境問題やら、教育問題やら、家族問題やら、いろいろ絡んで、それぞれ上手く書いていて興味は途切れないけれど、やはり本...
面白かったけど、ちょっと長い。 日本では、VS野生動物といえば熊が定番。これも熊ものかと思って読み始めたら、熊も出るけど実際の相手は大イノシシ。これに、猟銃規制やら、環境問題やら、教育問題やら、家族問題やら、いろいろ絡んで、それぞれ上手く書いていて興味は途切れないけれど、やはり本筋のVSイノシシの部分が薄まった感あり。 やはり、大イノシシとの対決をもう少し盛り上げて頂いた方がエンターテイメントとしては良かったと思う。
Posted by
- 1