ちづる の商品レビュー
先日読んだ『数字と踊るエリ』は小学校低学年までの自閉症児について書かれていたが、この本は20歳超までの自閉症児の成長について書かれている。 千鶴の母親が立ち上げた「ちづるのスケッチブック」というHPの日記を中心に、また、ちづるの兄が卒業制作として撮影した映画「ちづる」についてなど...
先日読んだ『数字と踊るエリ』は小学校低学年までの自閉症児について書かれていたが、この本は20歳超までの自閉症児の成長について書かれている。 千鶴の母親が立ち上げた「ちづるのスケッチブック」というHPの日記を中心に、また、ちづるの兄が卒業制作として撮影した映画「ちづる」についてなど、自閉症児の日常の様子が書かれているので、自閉症を理解するのにはとても良い。 「数字と踊るエリ」は、必死で療育をする姿が鬼気迫る感じだったけれど、こちらはわりとゆる~い感じ。行きたくなかったら無理に学校には行かなくていいよ。とか、ちづるが心地よいと思える環境作りに終始している。もちろん、自閉症への対応としてどちらが良いとは言えない。自閉症児の個性にもよるし、親の考え方の違いもあるだろう。けれど、あとがきの最後の部分を読んで心があたたかくなった。 -これまでの人生、どんな瞬間にも「でも、自分は不幸せとは決して言えない」と思ってきました。千鶴についてはとても「不自由な人生」だと今でも感じていますし、…でも、それは幸せではないということとはちょっと違っていて、幸せなことも、数えればきりがないほどたくさんあるのです。とんでもない不自由さもどうしようもない悲しみもこれから先ずっと続いていくわけですが、そういうものを何もかもひっくるめて、私はなかなか「よき人生」ではないかと近ごろ思うようになりました。
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赤崎正和監督が重度の知的障害と自閉症をもつ妹千鶴を撮したドキュメンタリー映画「ちづる」は、 今まで妹の事を周囲に話すことができなかった赤崎正和監督が、 大学の卒業制作として自分の家族を撮り、一般上映された作品。 その赤崎監督と千鶴の母親 赤崎久美さんが家族の事、自閉症の娘のことを...
赤崎正和監督が重度の知的障害と自閉症をもつ妹千鶴を撮したドキュメンタリー映画「ちづる」は、 今まで妹の事を周囲に話すことができなかった赤崎正和監督が、 大学の卒業制作として自分の家族を撮り、一般上映された作品。 その赤崎監督と千鶴の母親 赤崎久美さんが家族の事、自閉症の娘のことを書いた一冊。 1歳4ヶ月で自閉症と診断された千鶴は、中学部で不登校となり引きこもりになってしまう…。 自閉症の子がなるべくパニック起こさないようにする対応などは色々と見聞きするのだけれど、 体調や、環境、その時々のこだわりも変わっていく中でどう実践するの? という疑問があったのだが、 それはやっぱり色々試行錯誤していくしかないんだなと理解できた一冊でした。
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著者の息子さんが撮ったドキュメンタリー映画を見たことでこの本の存在を知ったので、重度の知的障害を持つ自閉症のちづるさんとの生活をある程度の実感を伴って読むことができた。映画を見た時点では強く明るい母として認識した著者も、当然ながら初めから強かったわけではなく、ちづるさんの障害を知...
著者の息子さんが撮ったドキュメンタリー映画を見たことでこの本の存在を知ったので、重度の知的障害を持つ自閉症のちづるさんとの生活をある程度の実感を伴って読むことができた。映画を見た時点では強く明るい母として認識した著者も、当然ながら初めから強かったわけではなく、ちづるさんの障害を知った当初は死を考えもしたという。けれどその後の20数年、その中では夫(兄妹の父親)を不慮の事故で亡くすという経験さえしたにも関わらず、母も娘も(そして息子も)笑って生きている。人間の強さを感じる一冊(と一本のフィルム)だった。
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公式サイト:http://chizuru-movie.com/ 知的障害をもつ自閉症の千鶴さん(ちーちゃん、当時20歳)の一年間を、兄・正和さんと母親の久美さんがありのままに接し、ありのままの日常を映していくドキュメンタリー。 兄の赤﨑正和監督が、立教大学現代心理学部映...
公式サイト:http://chizuru-movie.com/ 知的障害をもつ自閉症の千鶴さん(ちーちゃん、当時20歳)の一年間を、兄・正和さんと母親の久美さんがありのままに接し、ありのままの日常を映していくドキュメンタリー。 兄の赤﨑正和監督が、立教大学現代心理学部映像身体学科の卒業制作として撮影・編集した作品。1歳11か月の時に自閉症と診断された妹を幼少時から見てきたが、自分の家族であり、人に妹のことをどう説明するかとなると難しい。「だから言葉で伝えるかわりにカメラを向けることにした」という。その率直な動機は、妹の自閉症をもつ生活者の姿を伝えるとともに、やがて家族とはという普遍的な問いを見るものに問いかけてくる。 オリンピックに買い物に出かけるのをはしゃいで喜び、大ファンのタレント・大友みなみから年賀状が届き「成人式おめでとう」との一言を見て、これまた大はしゃぎすちーちゃん。じつは母親が、成人式に行きたくないと言い出したため投函した年賀状だった。気を良くしたちーちゃんは、一転して成人式に行く気になった。 自分の思いのままに行動するちーちゃん。だが、家で犬を飼うことになった。母親といっしょにいって選んだ犬は、トイプードルで名前はバナナとつけた。はじめは待ち遠しくしていたちーちゃんだが、届けられる前日になると急に落ち込んだ。母親も気にかけていたことだが、バナナが家に着き、周囲の様子に慣れるとじゃれてくる。バナナとじゃれあううちにちーちゃんの機嫌もよくなってきた。何かにこだわり、家に引きこもりがちだが絵を描くのが好きなちーちゃん。その自由な行動に振り回されるような大変さも描かれていくが、屈託のない笑顔や不機嫌な行動を見つめるうちに、ちーちゃんその人の不思議な魅力にも引き込まれていく。 卒業制作として完成したドキュメンタリーに、心動かされた学生たちによって「ちづる」上映委員会が立ち上げられ、やがてキャンパスの中から、一般公開へと広がっていく。 10月29日よりポレポレ東中野、横浜ニューテアトルで公開中。公開当日は、ぴあ映画生活「映画満足度ランキング」の第1位になった。「勇気のいる行動だと思う。一緒に生活している姿を写し、日常の会話やケンカの場面など、カメラを意識せず撮られていて興味深い」「作品を観て初めてわかったことがあった。一歩前に踏み出す勇気をもらった」「自閉症とその家族という私の知らない世界を知ることができた。 学生が撮ったとは思えない作品で驚いた」「初めて出会う、知らない家族なのにとても愛おしく感じた。重いテーマのように感じるが、それを微塵も感じさせないユーモアもあり、幸福感に満ちていた」など、観劇後の感想は飾らないで向き合う家族の姿に好感をもつ声が多いようだ。そこには、“障害者をもつ家族”だからではなく、“問題が何かを見つめ関わり合って対峙する”家族のあるべき姿に気づかされる。
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お兄ちゃんが自閉症の妹のことを大学生になるまで周囲に語ろうとしなかった。父親を交通事後で亡くし、3人家族になった。卒業制作の映画で母親と妹を題材にして発表し、福祉の仕事に就くことになった。妹と向き合う決心がついたかに見えるお兄ちゃんであるが、母親は妹を連れて実家がある福岡で暮らす...
お兄ちゃんが自閉症の妹のことを大学生になるまで周囲に語ろうとしなかった。父親を交通事後で亡くし、3人家族になった。卒業制作の映画で母親と妹を題材にして発表し、福祉の仕事に就くことになった。妹と向き合う決心がついたかに見えるお兄ちゃんであるが、母親は妹を連れて実家がある福岡で暮らすことを決める。母親は、仕事は仕事として取り組むことを願って、就職を機にお兄ちゃんを関東に残して転居。母親から観た家族日記であり、子育て日記でした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
障害をもつ子供の母が自分の娘との生活をつづった本。 先に兄が撮った映画が話題になってたらしいけど私はこの本で知った。 もし自分の子供が障害をもっていたら、、、 身ごもったことのある女性なら一度は考えたことのある問いではないだろうか。そのことを受け入れ、自分は幸せだと言える著者はどういう女性なのだろう。本を読むと、母として奮闘するひとりの女性がリアルに現れて、自分の子育てと重なる。著者は、こどもの、そして自分のありのままをうけとめるとはどういうことなのか、教えてくれる。 読んで一番よかったことは、自分の子に対しておおらかに接することができるようになったこと。
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自身も兄弟に障害者がいるので映画「ちづる」を見て、 この本の存在を知り、読むこととなった。 本「ちづる」に加え、備忘録の為に、映画「ちづる」についても述べる。 まず、本「ちづる」について。 この本は母親の視点で書かれており、 8割が日々を綴ったブログからの引用である。 他2割は過去を振り返って考えたことや息子の事、父親のこと、 この出版に関係した人とのこと。 次に映画「ちづる」について。 同様にして家族の日常が7割、 母親の心情が2割、 きょうだい児の心情が1割といった作り。 またジャンル構成として、笑い20%、シリアス10%、ふ~んが70%。 本と映画、ともに言えることは、「少し物足りなかった」ということ。 【本】は母親の視点から書かれているため、 障害児を持つ母親にとってはおすすめできる部分が多いと思う。 しかし、内容としては【母親→ちづる】に関する考えが主であり、 【母親→きょうだい児】のに関する考えが少なかったように思う。 【映画】も、障害児関連の入門としての作りはとても良いと思うが、 私自身としては、もっと家族の、特にきょうだい児の心情が知りたかった。 日常に関しては私自身も同様に経験しており、 共感できる部分もあったが、私が知りたかったのは もっと深いドロドロした部分についてである。 全体として、【きょうだい児】に焦点を絞った物が見たいなーって思った。 例えば、きょうだい児として思った事、考えた事やこれからの事など。 本人が登場している分、難しい点もあるかもしれないが、 もっと本人にしか分からない「キモチ」が知りたかった。
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これまでの人生、どんな瞬間にも「でも、自分は不幸せとは決して言えない」と思ってきました。 千鶴についてはとても「不自由な人生」だといまでも感じていますし、夫の死については確かに「不運で悲しい人生」です。 でも、それは幸せではないということとはちょっと違っていて、幸せなことも、数え...
これまでの人生、どんな瞬間にも「でも、自分は不幸せとは決して言えない」と思ってきました。 千鶴についてはとても「不自由な人生」だといまでも感じていますし、夫の死については確かに「不運で悲しい人生」です。 でも、それは幸せではないということとはちょっと違っていて、幸せなことも、数えればきりがないほどたくさんあるのです。 とんでもない不自由さもどうしようもない悲しみもこれから先ずっと続いていくわけですが、そういうのも何もかもひっくるめて、私はなかなか「よき人生」ではないかと近ごろ思うようになりました。 母は強し。 自分が同じ境遇になった時、こんなにもあっけらかんと生きれるだろうか。 鬱になって死んじゃうかもしれないな。 でもこの人は生きている。 まだまだ自分が幼くて浅い人間なんだなぁと思った。
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借り物。 どうしても読みたかったので、職場で購入してもらった。 実際こういうパターンもあるんだよなー。 親の、家庭での面を見れるのが良い1冊。 あとは映画を見るだけだ。
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