独裁者の教養 の商品レビュー
いわゆる独裁者と呼ばれる人々の人格形成に影響をおよぼしたものは何だったのか。 彼らの少年期から青年期にかけて、どのような環境に置かれどのような教育を受けた(あるいは受けなかったか)に絞って俯瞰してみる試み。 リー・クアン・ユーの知的タフさはスゴイな! それからやっぱりメロン記念日...
いわゆる独裁者と呼ばれる人々の人格形成に影響をおよぼしたものは何だったのか。 彼らの少年期から青年期にかけて、どのような環境に置かれどのような教育を受けた(あるいは受けなかったか)に絞って俯瞰してみる試み。 リー・クアン・ユーの知的タフさはスゴイな! それからやっぱりメロン記念日のニヤゾフ面白すぎる。 加えて平行して語られるワ州潜入レポも非常に興味深い。独裁者のいる日常を疑似体験できる。 これだけで一冊書けるくらい話題のボリュームはあったのだろうが、筆者がそれを良しとしなかったところに覚悟を感じた。 最終章の強烈なメッセージがそうさせたのかもしれない。 久々に熱い文章を読んだ。 よし、ひとつ世間様の空気に抗ってみるか!
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「「阿Q」的人間は、社会的地位や当人の知的水準にかかわらず存在する」本書の結論は、僕がここ数か月思っていたことを代弁してくれている。読み始めた動機と読後感がまったく違うのも読書の楽しみ。もっと読まれるべきだと思う。
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ミャンマー北東部のワ州への密入国記と世界の独裁者の紹介本。 とはいえ、独裁者の章とワ州の章が乖離気味である。 全体を通して、筆者の様々な意気込みが伝わってくる。 (ワ州に入った興奮、この本で一旗あげたいという思い) このようなパトスを含んだ文章を読むのは面白い。 各独裁者の紹介については筆者との比較からある種の嫉妬心が垣間見えて面白い 最後の日本人論は「若さ」故の言葉か。 メインのワ州のレポートについては、戦闘状態にある地域とはいえ、現地の若者の生態が万国共通であることと、IT技術の浸入は興味深かった。ケータイ/コギャル文化も万国共通。 ただ、もう少し深くルポできたのではなかろうか。 せっかく密入国できたのだから、口利きの兵士や、オネーチャンらからもう少し踏み込んだ話を聞くとか。 ボトムアップの取材だからこそ経済や政治/行政などについて記述がほしかった。 知的好奇心への刺激剤となる本。 自分を売り込もうとする筆者を読む本。
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旦那から勧められて読んだ。作者の若さがあふれる意欲作だと思う。ワ州潜入記は、もっと突っ込んで取材出来たらよかった。
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世の中には独裁者が多くいる。 独裁者にどのようなイメージを持つだろうか? 抑圧?虐殺?蓄財? どれも当てはまるであろう。 しかし、それらは独裁者によって少しづつ違うのだ。 また独裁にはプラス面もある。政治や経済、治安の安定がもたらされている国も少なくない。 独裁者の生い立ち、国の状況といったものによって、独裁者や支配のやり方は一人一人違う。 この本は、そうした独裁者の生い立ちから性格、国の状況から独裁者とその国についてみている。 その合間に、筆者が中国国境付近の小さな独裁国家(鳥取県ほど)に潜入したルポがある。これが大変面白い。 最後に独裁者の共通点をまとめ、日本を支配する「独裁体制」について批判している。日本は世間の空気というものに支配されているというのだ。空気を読めではないが、空気を読むことを強要し、皆と合わせることが正義だという傾向はある。 それに対して、自分で考え自分で行動することで日本の独裁体制を打破しようという主張で終わっている。 毛沢東やカダフィーなど10人近くの独裁者が登場するが、参考文献の多さからもわかるように、しっかりと調べて書いている。一通り知識を得たいならこれは最適の本だ。ただ、内容の深みと言う点ではやや弱いか。 総括すると、楽しく読めて中身も濃い、新書にしては良い本であろう。
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ワ州密航記凄く面白く、興味深く読んだ。 この部分をもっと詳しくまた別の本で出して欲しい。 他の部分、有名な独裁者たちがどんな人物だったか、生い立ちと受けた教育や影響という視点で書いてあるというのも、よかった。そんなに特別な人たちではなくて、その役割を時代が呼んだんだなと思った。 ...
ワ州密航記凄く面白く、興味深く読んだ。 この部分をもっと詳しくまた別の本で出して欲しい。 他の部分、有名な独裁者たちがどんな人物だったか、生い立ちと受けた教育や影響という視点で書いてあるというのも、よかった。そんなに特別な人たちではなくて、その役割を時代が呼んだんだなと思った。 最後の日本へ行き着くのがまた素晴らしい。言いたくてもなかなかここまではっきりと示してくれるものはなかったと思う。 著者が一気に好きになりました。
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1)中国とミャンマーの狭間にある「ワ州」という地図にものらない、一党独裁政治が敷かれている不思議な国?(と呼べるかどうかも怪しい地域)への密航記。 2)様々な国や時代に存在した独裁者たちの生い立ちや、 若い時代の人生にスポットをあて、どのような境遇や教養を重ねて、独裁者になっていったのか。その考察。 この二つが入れ替わりながら進んでいく不思議な構成の本。 しかし最後まで読むと、この構成に納得させられる。 ワ州への密航記は著者の”ノンフィクション運”というか、 ”ネタを引き寄せる運”とでもいうか。 色々なハプニングがありつつ、現地の人達との交流もあり、 読んでいる側としては、まったく想像もつかない 遠い世界であるのに不思議と親近感の湧く、 読んでいてとても引き込まれる内容。 一方の独裁者の考察はスターリン、毛沢東、ポル・ポト、ヒトラーなど教科書で良く見る面々から、フセイン、カダフィーなど、 まだ記憶に新しい独裁者達も登場する。 さして勉強家ではなかった自分にとっての独裁者というのは、 沢山人を殺して、権力を独占し、民衆に圧制を敷いた人達でしょ? という程度の知識しかなかった。 しかしここで描かれる独裁者達は、どのような出生で、 どのような幼少時代を過ごし、その時々に激動する社会の中で、 何を考え、どんな思想を持つようになり、 独裁者へなっていったのかが深く、広く、丁寧に描かれている。 そして圧巻は最後の章で日本の現状についての考察。 「本のタイトルが”独裁者の教養”なのに、なぜ日本? 日本に独裁者なんていないのに!?」 [引用] 「われわれの社会は、常に、絶対的命題を持つ社会である。(略) 常に何らかの命題を絶対化し、その命題を臨在観的に把握し、 その”空気”で支配されてきた」 山本七平『「空気」の研究』一九七七年 最後の章については、とても共感する事が多かった。 ワ州への潜入記、独裁者達の生い立ちを丁寧に考察する事は、 昔の出来事でなく、遠い国の出来事でもなく、 まさに今この瞬間の日本を考える上でも非常に大切な事を 考えさせられるきっかけを与えてくれる一助になっていると思う。
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過去の独裁者について解釈がなされてるけど、そんなのどうでもよくて、ミャンマーと中国の国境に存在するワ州への筆者の訪問記が面白い。最終章で日本人にも触れていて、日本人は、空気をよみすぎることにより世間の目で監視されまくっている変則的な「独裁国家」という見識は面白いと思った。
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『日本人という名の、独裁者どもを打倒せよ』――という言葉が強く印象に残った。この本で紹介されてきた独裁者たちのことを振り返ると尚更。大胆なタイトルに興味を引かれて買った者からすれば意外なまとめ方ではあったものの、言葉には説得力があり、やはり打倒すべきは歪んだ全体主義的な思考――&...
『日本人という名の、独裁者どもを打倒せよ』――という言葉が強く印象に残った。この本で紹介されてきた独裁者たちのことを振り返ると尚更。大胆なタイトルに興味を引かれて買った者からすれば意外なまとめ方ではあったものの、言葉には説得力があり、やはり打倒すべきは歪んだ全体主義的な思考――"空気"であるのだなということを再確認出来た。 独裁者についての記述や国の歴史背景、育った環境などが書かれていたのが大変興味深かったが、『世界史』の勉強から離れて久しい身からすると、歴史用語についてもう少し注釈のようなものがあるとよかった。歴史的事件の内容や政策の中身など、「名前は聞いたことがあるが、それがどういうものだったか思い出せない」ことが少なからずあってもややどかしかった(自分の浅学さが悪いのだけど)。 ページもあまり多くなく文章も読み易いため、自分と同じく本の題名が気になった人は読んでみても良いかもしれない。
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29歳の中国ネットウォッチャーが語る、体験的独裁者入門! 悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たちは、若い頃にいかなる知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に反映させたのか、それらを考察したのがこの本だ。 これを読めば、自由で平和な資本主義国・日本にいては理解しづらい、国家社会主義や共産主義、民族主義なども「わかる」ようになるはずだ。 だが、堅苦しい本 にはしたくない。そこで筆者は、独裁者がいる社会を等身大で体験するため、中国雲南省奥地の「秘境」に足を踏み入れた。なんとそこにはアヘンを資金源とす る「アヘン軍閥」と「鮑有祥」(バオ ヨウシャン)という謎の独裁者が割拠していて……。 独裁者の姿から人生の成功を考える「革命の書」、ここに登場! ▼試し読みは以下から http://ji-sedai.jp/book/publication/dokusaisha.html
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