原発危機の経済学 の商品レビュー
「福島第一原発の事故では何が起こったのか、事故はなぜ起こったのか」を説明した本としては、自分がこれまで読んだ中で最もよい本だと思います。 著者は経済学者ですが、技術的なところも可能な限りフォローしていますし、冷静に客観的に事象を見つめ、記述しようという姿勢を感じる本でした。 原...
「福島第一原発の事故では何が起こったのか、事故はなぜ起こったのか」を説明した本としては、自分がこれまで読んだ中で最もよい本だと思います。 著者は経済学者ですが、技術的なところも可能な限りフォローしていますし、冷静に客観的に事象を見つめ、記述しようという姿勢を感じる本でした。 原発に対する著者の態度としては、「反「反原発」」あるいは「反「脱原発」」という印象を受けました。 安易な「反原発」や「脱原発」の危うさに触れつつ、かといって、現状の日本の原発政策にはもろ手を挙げて賛成、というわけではなく、今、日本の原発が置かれた状況や、原発の経済性を丁寧に分析した上で、これから進むべき道を示している良著だと思います。 決して奇をてらった内容ではなく、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の際に福島第一原発で起こったことに対して、理性的、合理的、論理的にアプローチしていくと、自然と、著者の齊藤氏の思考にたどり着くように思います。 そんなわけで、「原発危機」に関する本ではありますが、読んでいて、安心感があり、信頼のおける内容だと思いました。
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原発の有益性、危険性を、冷静に分析。 そこから、原発推進、反原発の中間的な意見。 福島第一原発の古さ 寿命は40年程度か=技術者の寿命 東電経営者の判断を狂わせた 60年ルール。 1970年代原発はスクラップし、そこから、新しい原発で、どれだけリカバリーするか考えていくべき。
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原子力をめぐる議論においては、中途半端な一般論が多い中、社会科学者として、具体的に踏み込ん だ議論を展開しており、非常に興味深かった。よく歴史にifはないというが、本書では、「東電経 営者は、炉心溶融を回避することができたか」ということについて具体的に踏み込んで検証しており 、下...
原子力をめぐる議論においては、中途半端な一般論が多い中、社会科学者として、具体的に踏み込ん だ議論を展開しており、非常に興味深かった。よく歴史にifはないというが、本書では、「東電経 営者は、炉心溶融を回避することができたか」ということについて具体的に踏み込んで検証しており 、下手な推理小説よりよっぽど緊張感があった。 著者の「競争の作法」を読んで、その有言実行振りに感心したが、以下の文にも同様の責任感なり使 命感が感じられ、共感した。 「さらにつらいことは、将来の日本人を生んでいく若い東電職員や自衛隊員を、放射能で汚染された 原発現場に張り付けたことであろう。何ということであろう。責任者たちは東京の大本営にぬくぬく とし、若い人たちが危険な現場にあって、きっと若い人々をめぐる美談が作られているのであろう。 これでは、太平洋戦争末期と変わることがないではないか。」 責任感という意味では、原発が、国民全体で議論するべき問題であること、さらには、知らなかった ではすまされない重要な問題であると教えられた。また、知識レベルとしても、それなりに知ってい るつもりだった自分がいかに無知であるか、知っているべきポイントを何もおさえていないことに衝 撃を受けた。
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友人から貰ったので読んでみたけど非常に勉強になった。あれだけの大事故があったのにその詳細については全然知ろうとしなかった自分の無関心さを反省せずにはいられない。
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★経済学というより良い意味での原発入門書★経済学的な観点からは「高レベル放射性廃棄物を永遠に貯蔵する一方で、その管理は途中で放棄する」という発想はどうしても受け入れられず、地層処分はありえないとした。再処理・高速増殖炉事業のコストの高さを考えると、撤退の道筋としては全量を地上保存...
★経済学というより良い意味での原発入門書★経済学的な観点からは「高レベル放射性廃棄物を永遠に貯蔵する一方で、その管理は途中で放棄する」という発想はどうしても受け入れられず、地層処分はありえないとした。再処理・高速増殖炉事業のコストの高さを考えると、撤退の道筋としては全量を地上保存すると訴える。 ただし経済学的なもの言いは驚くほど少ない。むしろ、原発を理解していなかった時代の知識人としての反省と、次世代への熱い思いがたぎる。 同時にBWRとPWRなども分かりやすく説明し、入門書としての役目も果たす。本書の矩を超えるかも知れないが、図解がもっとあれば分かりやすい。
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原発技術について全く知らない読者にとっては、その「手触り感」を得られる貴重な書。人間のコントロールが難しい高度な技術と向き合う際に、忘れてはならない社会科学的な視点が提供されている良書。
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経済学というタイトルがついていますが、著者が述べているように経済学を用いた考察が最後になり、それまでは延々と原子力発電の関連知識となります。(とはいえ、自分も含めて多くの人が知らないと思われる事柄なので、記述が必要なのですが) 痛快な切り口でカタルシスが得られるといったことはない...
経済学というタイトルがついていますが、著者が述べているように経済学を用いた考察が最後になり、それまでは延々と原子力発電の関連知識となります。(とはいえ、自分も含めて多くの人が知らないと思われる事柄なので、記述が必要なのですが) 痛快な切り口でカタルシスが得られるといったことはないですが、やはり現実に向き合って学問的な知見を積み重ねていくとそうなるのでしょう。そういった著者の真摯な態度には好感がもてました。
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社会科学者の視点からの考察。 福島第一原発の型。人間のすることの不完全さ。安全性が求められているのに古いものを使い続け、尚且つ、当初の使用期限を延長するような動き(40年→60年)。 三分の一しか読めていなが返却期限がきたので、また借りて読了したいと思う。
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3.11をうけて原発について社会学者の立場からわかりやすく解説されている。 原発は無いに越したことはないが、既に存在する現状からどのようにするのがより良いのかが論じられている。 単純に賛成・反対ではなく冷静に現状を分析し問題点を説明している。 科学の知識がなくとも理解しやすいので...
3.11をうけて原発について社会学者の立場からわかりやすく解説されている。 原発は無いに越したことはないが、既に存在する現状からどのようにするのがより良いのかが論じられている。 単純に賛成・反対ではなく冷静に現状を分析し問題点を説明している。 科学の知識がなくとも理解しやすいのではないだろうか。
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マスコミに登場する”学者”らしき人たちのコメントの類には辟易としており、本書も最初は期待をしていなかったが、良い意味で裏切られた。意見の同異は別として、自分の考えを整理しなおすいい機会であった。
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