蜩ノ記 の商品レビュー
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奥祐筆の若侍、檀野庄三郎はちょっとしたことから友と刃傷沙汰に。その咎めで、山の村に幽閉中で家譜編纂の任務に励む元郡奉行・戸田秋谷の監視に赴く・・・。 出だしから、山の爽やかな空気が感じられる中で、気持ちのいい人物たちが登場し、これは気持ちのいい作品では・・と期待を持たせられる。 戸田秋谷は、殿の愛妾との不義密通の容疑で、10年後には切腹を申しつけられている身。妻と2人の子どもを伴い、山の中の一軒屋に蟄居中でありながら、穏やかに日々を送っている。 秋谷の妻、娘、息子とも、みな、好ましく、特に長男である郁太郎はわずか10歳であるにも関わらず、思慮深く、父を敬いつつ、村の子どもたちとも隔てなく付き合っている。 郁太郎の村の友だちの源吉がいいんですよ。(*^_^*) 幼い妹・お春を可愛がり、自然や武士による災厄をもおおらかに受け止める。 まだ子どもであり、武家でもない彼を人格者にしたところが面白いところですね。 秋谷の密通の真相は? 庄三郎が秋谷と暮らしながら成長していく様子。 そこここに、葉室さんらしい静謐さがにじみ出て、一気に読ませられました。 ちょい、ネタばれです。 ただ、余計なことながら、民話「べろ出しちょんま」を思わせる描写が出てくるところから、大事な人物の行く末が最初からわかってしまうのが辛いところだった・・・。 また、藤沢周平「蝉時雨」の終盤そっくりのところもあり、そこはね・・・、とつい突っ込みたくもなりましたが。
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内容紹介 鳴く声は、命の燃える音に似て―― 命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか? 豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を...
内容紹介 鳴く声は、命の燃える音に似て―― 命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか? 豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり……。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げる、感涙の時代小説!
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自らの心に背くことなく生きることが死によってのみ達せられるとしても、いささも志のぶれないその潔さに思わず背筋を伸ばさずにはおられない。 お前の生き方はどうだ、と、咽元に切っ先を突きつけられているようで。 正しく生きることは美しく生きることなのだと、葉室小説はいつも私に教えてく...
自らの心に背くことなく生きることが死によってのみ達せられるとしても、いささも志のぶれないその潔さに思わず背筋を伸ばさずにはおられない。 お前の生き方はどうだ、と、咽元に切っ先を突きつけられているようで。 正しく生きることは美しく生きることなのだと、葉室小説はいつも私に教えてくれる。
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