吸血鬼と精神分析 の商品レビュー
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矢吹駆シリーズ第6作。相変わらず分量的にも内容的にもすごいボリュームで、もはやミステリというより学術書。 女性が血を抜かれて殺されるという連続殺人にモガール警視をはじめ警察が翻弄される中、ナディアは前回の事件の後遺症に悩まされて精神医のもとを訪れる。そこで知り合った少女に奇妙なこ...
矢吹駆シリーズ第6作。相変わらず分量的にも内容的にもすごいボリュームで、もはやミステリというより学術書。 女性が血を抜かれて殺されるという連続殺人にモガール警視をはじめ警察が翻弄される中、ナディアは前回の事件の後遺症に悩まされて精神医のもとを訪れる。そこで知り合った少女に奇妙なことを頼まれたことから、彼女も事件に巻き込まれ… ラカンをモデルにした精神分析、ルーマニアのドラキュラ、キリスト教義などさまざまなピースが組み合わさって複雑な話を織り上げているが、もう少しシンプルに書いてくれないものか…と思うのはこちらが年をとったからだろうか。 今回はカケルの出番も多いし、イリイチもチラッと登場。ラストの黒幕(?)には驚いたが、ムーミントロールの存在感が(ストーリー上)すごいのにはちょっと笑った。
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今回はジャック•ラカンとジュリア•クリステヴァ。浮世離れした観念的議論ばっかりしてるカケルは毎度楽しそうでうらやまけしからん・・・というだけじゃなくて、猟 奇連続殺人事件の謎解明へと繋がっていく。過去作のような強烈な論敵がいないからイマイチ盛り上がりに欠けるが、思弁的な内容でリー...
今回はジャック•ラカンとジュリア•クリステヴァ。浮世離れした観念的議論ばっかりしてるカケルは毎度楽しそうでうらやまけしからん・・・というだけじゃなくて、猟 奇連続殺人事件の謎解明へと繋がっていく。過去作のような強烈な論敵がいないからイマイチ盛り上がりに欠けるが、思弁的な内容でリーダビリティが高いのは単純 にすごいし、地母神信仰のメタファーに吸血鬼もってくるとは恐れ入った。それはそうと前からちょっと 思ってたことだけどイリイチって若干ドジっ子属性あるように思う
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事件はテンポ良く起きるんだけど、どうも進まない。 飛ばし読みしようかと思ったけど分量が多いので挫折。 読んだのは1/5程度。。。 難解すぎたかな。私の気力が足りなかった。 評価は高いので自分が残念!!
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読了感満載。何度か理解不能に陥りましたが、今回も多くのことを学ばさせて頂きました。もはや学術書。想像するに難い笠井さんの知的情報量。
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『オイディプス症候群』でひさびさに復活した矢吹駆(カケル)とナディア・モガールが送る哲学ミステリー。怪異な要素を多分に帯びた連続殺人事件を現象学を駆使した「本質直観」よって解明するというスタンスは変わらないものの、『哲学者の密室』で極点に達した実存を巡る差し迫った危機感は和らいで...
『オイディプス症候群』でひさびさに復活した矢吹駆(カケル)とナディア・モガールが送る哲学ミステリー。怪異な要素を多分に帯びた連続殺人事件を現象学を駆使した「本質直観」よって解明するというスタンスは変わらないものの、『哲学者の密室』で極点に達した実存を巡る差し迫った危機感は和らいでおり、安心してページをめくることができる。題名から明らかなように、本作ではこれまで笠井潔が固執してきた観念論から距離を置き、身体論に重きを置く心理学に焦点を当てている。フロイト、ラカン、クリステヴァなどを批判的に検証することで、「神とはなにか」という命題に迫ろうとしている。そもそも現象学やそこから派生した実存主義も、コリン・ウィルソンが指摘しているように生々しい身体論に行き着くように思う。カケルの宿敵であるイリイチが『オイディプス症候群』でHIVに感染したという設定を複線として、笠井潔がどこに論点をもっていくのか。免疫疾患とは異物を「異物」と認識できない状態であり、他者性が曖昧になるという視点から、いろいろ転回できるように気がする。
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今回はジャック・ラカンを中心にした精神分析に、矢吹駆が挑みます。今回は現象学的推理がスムースに適応できず、どうなる事かと思いました。最後の犯人との対決部分のオチはちょっとびっくりしましたが・・・
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死をタブーととらえるか、一種の救済ととらえるかによって 死体の定義も、吸血鬼の定義も さらには人間の定義も180度変わってしまう そして、それぞれの定義を司る神々を 共倒れさせようとする人間もいる ところでオイディプス症候群は吸血鬼にも感染するのか?
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秋葉原ブックオフにて購入。十部作後半戦の緒戦たるこの6作目にして遂にイリイチ御大のご尊顔(横顔のみだが)とお声を拝むことができ、物語が佳境に入ったことを感じずにはいられない。一作につき一哲学者という従来の展開を覆し、ラカンとクリステヴァを向こうに回すというゴージャス感もナイス。思...
秋葉原ブックオフにて購入。十部作後半戦の緒戦たるこの6作目にして遂にイリイチ御大のご尊顔(横顔のみだが)とお声を拝むことができ、物語が佳境に入ったことを感じずにはいられない。一作につき一哲学者という従来の展開を覆し、ラカンとクリステヴァを向こうに回すというゴージャス感もナイス。思想戦とミステリパートの乖離は確かに顕著だが、本編の現象学探偵がアレな態度で事件に臨む以上、むしろ力業で融合を図らなかった点をこそ評価すべき。終盤絡みで『黒い仏』に言及している書評を見かけたけど、宜なる哉。こういうテイスト大好き。
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ふうっ、長かった。 因縁と宗教と精神分析。理屈っぽくて、横溝正史っぽいおどろおどろしさと、ほんの少しの胡散臭さ。
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