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丸山眞男集(第15巻) の商品レビュー

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2026/02/01

1888年から、1996年8月15日に著者が死去するまでに書かれた、最晩年の文章が収録されています。 「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」という文章では、戦後民主主義を代表する思想家としての著者の位置を決定づけた「超国家主義の論理と心理」の執筆にかんして、「あの論文を原稿用紙に書...

1888年から、1996年8月15日に著者が死去するまでに書かれた、最晩年の文章が収録されています。 「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」という文章では、戦後民主主義を代表する思想家としての著者の位置を決定づけた「超国家主義の論理と心理」の執筆にかんして、「あの論文を原稿用紙に書きつけながら、私は「これは学問的論文だ。したがって天皇および皇室に触れる文字にも敬語を用いる必要はないのだ」ということをいくたびも自分の心にいいきかせた。のちの人の目には私の「思想」の当然の発露と映じるかもしれない論文の一行一行が、私にとってはつい昨日までの自分にたいする必死の説得だったのである」と語られています。福沢になぞらえて「一身にして二生を経た」ということができる著者の思想的な転換点が、なまなましいことばで語られているように感じました。 すでに身体の不調もあって、著者の活動はかなり制限されていたため、本巻に収録されている文章も、自身の過去の仕事についての解説や、先にこの世を去った師友への追悼文などがめだちます。そうしたなかにあって、著者の講演の記録である「福沢諭吉の人と思想」は、一筋縄ではいかない福沢の思考のスタイルが、比較的くだけたことばで解説されており、著者の福沢解釈を知るうえでの手がかりになるように思います。

Posted byブクログ