日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか の商品レビュー
日本の凋落が問題視されている現代において、日本的価値観の否定と西洋的価値観の輸入に傾倒していると言える。しかし、著者は日本の価値観が持つ文脈を無視して、日本の否定にひた走るのは愚策であるということを述べており、感銘を受けた。災害が起ころうとへこたれない日本人なのだから、もっと日本...
日本の凋落が問題視されている現代において、日本的価値観の否定と西洋的価値観の輸入に傾倒していると言える。しかし、著者は日本の価値観が持つ文脈を無視して、日本の否定にひた走るのは愚策であるということを述べており、感銘を受けた。災害が起ころうとへこたれない日本人なのだから、もっと日本人が持つ良い側面を用いて、日本を世界随一の国に返り咲かせるのが得策であると感じた。
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東日本大震災、阪神淡路大震災などの災害の際、被災者の人々は争いやいさかいを起こすことなく、そのマナーの良さは世界中の人々から驚かれている。その背景となる日本人の思考について、諸外国の人々の考え方と比較して書かれている。 他の国と地続きの国境を持たず、他民族の侵略をほとんど受...
東日本大震災、阪神淡路大震災などの災害の際、被災者の人々は争いやいさかいを起こすことなく、そのマナーの良さは世界中の人々から驚かれている。その背景となる日本人の思考について、諸外国の人々の考え方と比較して書かれている。 他の国と地続きの国境を持たず、他民族の侵略をほとんど受けなかった日本と、常に紛争に晒されてきた大陸の民族。 災害死の多い日本と戦争による死の多い欧米や中国などの国々。 災害で人の命が奪われても自然そのものは恨むことはできない、そのため日本人は死を忌むもの、早く忘れようとするものという感覚になり、戦争で人の命が奪われることの多い欧米などは、殺した相手を徹底して恨み続ける、その感覚がまず違うということをいわれていた。 記述に関して、日本人と欧米や中国の比較の部分がとても多く、何故日本人は災害時に、お互い協力して助け合うことができるのか、という部分の記述が少なかったので少し物足りなかったのですが、興味深い内容です。
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『国土学再考』で述べられた思想をさらに推し進めて論じています。いわゆる日本人論の中では出色のもののひとつではないでしょうか。 日本人論はあまたあるものの、本書の「紛争史観」「自然災害史観」という中核となる発想は画期的で、目から鱗が落ちるとはこういうことかという気分を味わわせてく...
『国土学再考』で述べられた思想をさらに推し進めて論じています。いわゆる日本人論の中では出色のもののひとつではないでしょうか。 日本人論はあまたあるものの、本書の「紛争史観」「自然災害史観」という中核となる発想は画期的で、目から鱗が落ちるとはこういうことかという気分を味わわせてくれます。 日本人論は「だから日本は駄目なんだ」という批判一方のものが多いですが、本書は日本人の思考の弱点を指摘しつつも日本人としての矜持を持つことの重要性を主張しています。 ただひとつだけ気になったのは、日本に比べると外国人は合理的な思考をすると言う部分。外国人が本当に合理的であればアメリカのサブプライムローンのバブルも、中国の不動産バブルも、ヨーロッパのギリシャ危機も起きなかったと思うのですが。ミクロ的には合理的であっても、マクロ的には明らかにおかしい行動を取ってしまうのは世界共通だと思います。
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世界と日本の違いというのは大震災時しかり、学生のころから先生たちが口を揃えて自慢げに言っていたのを思い出します。それに似たようなことはこの本の中にも入っていましたがもっと詳細に知れて、なるほどーといった感じでした。 そして自分もなんだかんだ日本人なのだなと思いました。基本的に受身...
世界と日本の違いというのは大震災時しかり、学生のころから先生たちが口を揃えて自慢げに言っていたのを思い出します。それに似たようなことはこの本の中にも入っていましたがもっと詳細に知れて、なるほどーといった感じでした。 そして自分もなんだかんだ日本人なのだなと思いました。基本的に受身で事が起きてからどうにかするか考えよう、人の生に達成すべき目的などもない、というのも日本人の気質そのものだそうで。 自然とそれを抱える国土に起因するのだというお話でした。 以下は自分用。 島国の集まり問いはいえ面積の大きな国、日本。けれど人が住める場所はヨーロッパ諸国に比べるとずっと狭い、というのも高い山々があり、そこから流れる無数の川。大都市に鳴りえる平地というのは国土の割りに面積は少なくて、小集団・小部族的生活がずっと続いていた。「和をもって尊しとなす」、「喧嘩両成敗」などは日本特有の考え方で、地域の決まりごとは、地域の小集団が全員仲良く納得するまで話し合って決めていた。今でもルールよりマナーという柔らかい表現を使用することを好む風潮は、誰か一人をバッシングor賞賛するような強い脚光を浴びせ個性を浮き上がらせることを好まないのに由来する。 大陸では隣り合う国との戦いの歴史で、日本は自然との交わりの歴史。 大陸は争いに勝つために明確な言語を用い、細かなルールを定め、犠牲を払ってまで達成しなければならない正義があり、周りは皆基本敵であると考える。 日本は景観が一変するような大災害に何度も見舞われ、人の死を受け入れざるをえず、将来の予測が立てられず、小集団との和を尊ぶ風潮から個性を強調する明確な言語を持たず、周りは皆基本仲間であると考える。 英語について、成毛さんと同じように日本の立位置、歴史、経緯、特性を 最後に知りそれらを用いて論理的に言葉を組み立てられる言語(日本語)力を鍛えた上で、英語という手段を持たないと大陸の人間(世界)に呑まれてしまう、というようなことを言っていたと解釈します。
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