1,800円以上の注文で送料無料

大停滞 の商品レビュー

3.4

53件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    22

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/04/28

2017年になってやっと読む機会が得られました。2011年の発刊から6年が経っていますが、十分説得力があると思います。他のレビュワーの方も書かれていますが、本書のメッセージは大きく2つあると思います。 1.「容易に収穫できる果実」が少なくなってきた 2.近年のイノベーションの多く...

2017年になってやっと読む機会が得られました。2011年の発刊から6年が経っていますが、十分説得力があると思います。他のレビュワーの方も書かれていますが、本書のメッセージは大きく2つあると思います。 1.「容易に収穫できる果実」が少なくなってきた 2.近年のイノベーションの多くが「公共財」ではなく「私的財」の性格を帯びている 全体的な説得力はありますが細かい点は違和感を感じました。1点目については、容易に収穫できる果実として「無償の土地」「イノベーション」「未教育の賢い子供たち」です。イノベーションについては違和感を感じました。著者が言いたいことは、近年のイノベーションは漸進的でインパクトが小さいこと、また2点目に関係しますが、特定の人だけが恩恵を受けるものが多い、ということだと思いますが、そもそもインパクトが大きいイノベーションなんていうものは今も昔も「容易に収穫できない果実」であって、イノベーションの大半は漸進的なものです。ですからイノベーションに関しては1970年以降になって「容易に収穫できる果実」がなくなってきた、という著者の主張は間違っていて、現代社会は「容易に収穫できる漸進的なイノベーションだけ」を享受していて、社会に巨大なインパクトを与えるイノベーションは見られない、というのが正確な記述でしょう。 2点目の主張は説得力がありました。例えば10億ドルの価値を生み出すイノベーションであっても、それが10人かける1億ドルの価値を生み出すよりも、1億人かける10ドルで価値を生み出す方がよりマクロの経済成長に寄与するということでしょう。これは新しい視点を提供してくれました。 この手の書籍ですとMITのブリニョルフソン、マカフィーなどの本が代表的ですが、彼らはMITにいることもあって基本的にポジティブなことばかり書きます(彼らのレゾンデートルにも関わるからです)。その点コーエン氏はテクノロジーに対して中立的に書かれているので好感が持てました。本書、短時間で読めますし一度は目を通しておくべき本だと感じました。

Posted byブクログ

2019/09/05

技術革新が生活に与える影響が小さくなったという話。情報通信分野は例外とのこと。 19世紀末から20世紀前半の技術革新のインパクトに比べると小さい。生産性や世帯所得の中央値の伸びは小さくなっていることなどがあげられていた。 減税派と再分配派の対立のところで、財源の手当てがない減...

技術革新が生活に与える影響が小さくなったという話。情報通信分野は例外とのこと。 19世紀末から20世紀前半の技術革新のインパクトに比べると小さい。生産性や世帯所得の中央値の伸びは小さくなっていることなどがあげられていた。 減税派と再分配派の対立のところで、財源の手当てがない減税は長続きしないのはわかるが、再分配が長続きしない理由がしっかり述べられていなかったように思う。 あと、低成長時代の生き方の手本として日本があげられていた。 技術革新の生活への影響が停滞しているという主張をどう評価するか迷い中。

Posted byブクログ

2019/06/12

今年、話題の経済書だけのことはあり興味深い内容。 確かに米国の自信ありげな状況を招いているというのはわかる気もする。 著者が日本の政治、経済をうまく変化に対応しているという論評は日本ではほぼあり得ない内容だと思う

Posted byブクログ

2018/12/30

1.この本をひと言でまとめると  成長の時代の終わり 2.お気に入りコンテンツとその理由を3から5個程度 ・イノヴェーションの主な対象が公共財から私的財に移行した(p44)  →一部の人しか利益を得られないのはこのためというわかりやすい表現。 ・政府が経済で果たす役...

1.この本をひと言でまとめると  成長の時代の終わり 2.お気に入りコンテンツとその理由を3から5個程度 ・イノヴェーションの主な対象が公共財から私的財に移行した(p44)  →一部の人しか利益を得られないのはこのためというわかりやすい表現。 ・政府が経済で果たす役割が大きくなるほど、GDPの値は、生活水準の改善度を過大評価するようになる。(p54) →初めて知った。日本の成長はかなり政府に頼っている気がする。 ・ジョブレスリカバリー(p82) →インターネットは省人化、グローバル化が基本ということが本質。今後もこの傾向は続きそう。 ・理性と科学の重要性はこれまでになく高まっている(p132)  →空気に流されないことが重要 3.突っ込みどころ ・インターネット上に娯楽が豊富にあるせいで、消費がますます落ち込んでいるのだ。(p119) →インターネットショッピングは増えてるのではないか?消費が減るのは一部の娯楽だけてはないか? ・出口への提案が「科学者の社会的地位を高めよ」かなり拍子抜け ・日本は経済成長の鈍化に落ち着いて対処してきた(p130) →本当にそう言える? ・この内容の短さで1600円は高い。 4.自分語り ・本全体の内容は、日本ではよく聞く内容に感じる。 ・論点はとてもわかりやすい。

Posted byブクログ

2018/06/11

過去の発展の理由は、無償の土地、イノベーション、未教育の賢い子供たち、にあった。 イノベーションの主な対象が公共財から私的財に移行した。そのため、所得格差の拡大、世帯収入の伸び悩み、金融危機、の原因となった。 インターネットの多くは無料で提供されている。用意に収穫できる果実は簡単...

過去の発展の理由は、無償の土地、イノベーション、未教育の賢い子供たち、にあった。 イノベーションの主な対象が公共財から私的財に移行した。そのため、所得格差の拡大、世帯収入の伸び悩み、金融危機、の原因となった。 インターネットの多くは無料で提供されている。用意に収穫できる果実は簡単には売上を計上できない。その結果、イノベーションによる収入は一部の人のものになっている。

Posted byブクログ

2015/11/12

2011年発刊された本だけど、古さは感じない。 アメリカの経済学者で、オーストリア学派の流れを汲む意見だと感じた。 また、アメリカという一地域の分析で、彼らの特徴であるデータ分析に基づく仮説を述べているものだ。 容易に収穫できる果実は食いつくされた、大きなイノベーションは期待でき...

2011年発刊された本だけど、古さは感じない。 アメリカの経済学者で、オーストリア学派の流れを汲む意見だと感じた。 また、アメリカという一地域の分析で、彼らの特徴であるデータ分析に基づく仮説を述べているものだ。 容易に収穫できる果実は食いつくされた、大きなイノベーションは期待できない。 インターネットが今後経済社会にどのような影響を及ぼすのか。 大量生産・大量消費、大企業、大きな政府は今後の歴史で出現することはないだろう。 しかしながら、権力による市民・国民の締め付けは限りないものとなる。 大量の情報を瞬時に分析できる技術は限りがないものであるから。

Posted byブクログ

2014/12/05

経済成長が困難になっているのではないかという説。自分としては、政府支出の増大が豊かさにつながっていない、との指摘が興味深かった。

Posted byブクログ

2014/07/27

共感できる作品。 世界の主要国の政治は低成長の影に怯えて、実態のない景気を作り出していると思う。 政策や個人の考え方にも成長信仰から脱却する大転換が今後必要になってくるのでは。 結論はいまいちでしたが、さらっと読めてオススメです。

Posted byブクログ

2014/04/28

 日本が典型的だが、経済の伸びが止まって久しい。この大停滞を解説した本書だが、2011年に出版され2.5年経っても内容が陳腐化していないのは、本書の説が正しい証拠ではないだろうか。  宇宙時代のスタートと思ったアポロ月着陸は、大きな技術革新のゴールだったと言う。それまでの技術進歩...

 日本が典型的だが、経済の伸びが止まって久しい。この大停滞を解説した本書だが、2011年に出版され2.5年経っても内容が陳腐化していないのは、本書の説が正しい証拠ではないだろうか。  宇宙時代のスタートと思ったアポロ月着陸は、大きな技術革新のゴールだったと言う。それまでの技術進歩に比べれば、それ以降はインターネットも含め影響度は小さく、だから経済も拡大しないと説く。  筆者は、どうすればこの状況から脱することができるかを提案しているが、即効性はないし効果や実現性も疑わしく思ったが、逆に言うとそれほど深刻で行き詰った状態なのだ。  もう容易に収穫できる果実はないのだから、やるべきことは多いのだ。大筋で納得した本である。  

Posted byブクログ

2013/11/16

面白い。GDP の政府支出は市場価格でなく、コストを基準に加算されている=過大評価されている。とあるけど、税金を通して市民がサービスを購入してることにはならんのかな?難しい。他にもネットでの果実は我々の頭の中に移って容易に収穫できないとか。勉強になる。 技術革新が滞っているせい...

面白い。GDP の政府支出は市場価格でなく、コストを基準に加算されている=過大評価されている。とあるけど、税金を通して市民がサービスを購入してることにはならんのかな?難しい。他にもネットでの果実は我々の頭の中に移って容易に収穫できないとか。勉強になる。 技術革新が滞っているせいで、実質的な経済成長が鈍っている。情報技術の発展は雇用を代表とする経済指標を改善していない。という主張。凄く面白いし考えさせられる。そんな中アメリカでもお金より大事なものがある的なノリが生まれつつあるらしいのも興味深い。

Posted byブクログ