心に雹の降りしきる の商品レビュー

香納諒一【著】

2012/08/24

私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない

2012.8.23読了

こういった小説はキャラクター勝負で、上手くキャラクターを創ることができればバッチリで、それに失敗すると残念ということになる。

この都筑寅太郎は、なかなかよく出来たんではなかろうか、名前はちょっと変だけど。

ハードボイルドの主人公に肝心なのは、ダメダメなところと、一本、筋の通った男らしいところ、弱々ぐずぐずなところと、強くカッコイイところのバランスにある。
寅さん、やっぱり名前が変だけど、そのバランスはなかなかに良いんじゃないだろうか。

周辺人物の造り込みがあまくて、それが、この小説を薄いものにしているが、その分、読みやすいのかもしれない。小池係長は、殆ど小池と呼び捨てだが、かなり、いい味を出していて、この人メインの話も読んで見たいと少し思った。

最後は、少しハラハラさせつつの、著者らしいハッピーエンドで、読後感は良い

でも、主人公の傷を遺して置いた方が、シリーズ化に繋がっていいのではと思うが、その辺は作品第一ということか。

やっぱり、スピンオフで係長小池の中間管理職のハードボイルドなんて、どうだろう。

2012/06/28

7年前に誘拐された少女の遺留品が発見され、その情報をもたらした興信所の探偵が殺される。

主人公の刑事が、被害者の父から詐欺まがいの要領で報奨金を掠め取るような悪徳刑事。しかし、過去に家族を持つことに失敗した傷を持ち、悪態を突きつつも、少女の捜査をひたむきに続ける主人公の姿を読んでいくと、だんだん情が湧いてきて愛おしくさえなった。
誘拐事件から興信所絡みで殺人事件が次々に起こり、収賄事件も更に加わってきて、事件は複雑化していくが、最後はすっきりと解決。終盤の主人公の打たれ強さには超人的な感も受けたが、ハラハラし甲斐はあったかも。最後、ここまでしなくても、、、、という展開もあったが、結局ハッピーエンドっぽく終わってヨカッタ、ヨカッタ。この主人公で続きがあってもイイかな、と思えました。著者らしいハードボイルド作品で面白かったです。

2012/06/09

この国は喫煙者を癌よりもストレス死の危険に晒している。（笑。スナック世代の人は共感するだろうけど、自分はわからない。

2012/04/08

アウトローな一見やさぐれ刑事が悩み苦しむ末に幾つもの事件を解決していく。盛り沢山過ぎるキライもあるが、主人公の半端なくせに優しい性格に惹き込まれて最後まで読んでしまう。ミステリーではなく１人の刑事の物語として読むと良い。

2012/04/05

ハードボイルドな雰囲気のミステリ。「雰囲気」というのは、一見ハードボイルドな主人公が、実はとっても女々しいから。悪ぶって強がって毒を吐いているわりには脆すぎるよこの人！　でもそれが逆に人間らしさを感じて、不快ではありませんが。
どうも事件の進行も鬱々とするものが多くってやりきれません。これ、果たして解決したことがあの人やあの人にとって幸せなのかどうか、ってのを考えさせられる部分もありました。だけど当然、これでよかったんだよねえ。ラストの展開にはひやひやしてしまいましたが。

2012/03/19

冒頭からとんでもなく嫌なヤツが登場。まさかその男が主人公とは！？全く共感出来なさそうな主人公なのに、いつのまにか引き込まれていき、最後は全く違う印象を持つことに。こんなキャラクターづくりはとても新鮮。映画化したら面白いだろうなぁ～と思い、この役にふさわしい役者は誰だろうと想像しながら一気に読んでしまいました。
主となる誘拐事件のほか色んな事件が絡み過ぎてわかりづらい部分もあるけれど、おもしろいミステリーでした。

2017/09/20

性格が破綻しきっていて、読んでいるこっちが
つらくなるような主人公ですが
どんどん物語に引き込まれます。

終盤、「お願い助かって！！」と手に力が入ってしまう程
集中していました。

人はすぐには変われないけど、ささいなきっかけと
ほんの少しの勇気で昨日とは違う明日を迎えられそうな・・
そんな気持ちにさせてくれました。

2012/03/14

刑事の物語、妙子の物語、弓子の物語は各々もっと深く展開できるはず。各々が物足りない形、詰めすぎている。妙子の物語は角田光代の世界が既にあるので作者には弓子の物語を書き込んでいけばよかったのではないかと思う。香納諒一らしく。

2012/03/10

いくつかの事件が絡み合っていてわかりにくい面もあったが、7年前に3歳で行方不明になった娘の消息が柱。ラストでは、えーっそれはないよと思わせておいて…。面白かったです。

2012/02/15

一言で言うと、一人の刑事の物語。
自分ではアウトローを気取っているが、実は情に厚い都筑。7年前の少女失踪事件を軸に物語は進んで行くが、ちょっといろいろ詰め込み過ぎかも。救いがないまま、終わってしまうのかと思いきや、ちょっとホッとするラストで良かった。