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大衆食堂パラダイス! の商品レビュー

3.7

10件のお客様レビュー

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2017/10/28

本書に登場する、とある町のとある食堂でハムエッグでビールという飲み方を覚えて仲間に「食堂飲み」を啓蒙しています。と言いつつ、どんどんお店が無くなっていくのも感じて、大衆食堂レッドデータブックとしてこの本をチェックしました。でも、そういう記録の書ではなく極私的記憶が炸裂している文庫...

本書に登場する、とある町のとある食堂でハムエッグでビールという飲み方を覚えて仲間に「食堂飲み」を啓蒙しています。と言いつつ、どんどんお店が無くなっていくのも感じて、大衆食堂レッドデータブックとしてこの本をチェックしました。でも、そういう記録の書ではなく極私的記憶が炸裂している文庫でした。なにしろ主語「オレ」だもの。「俺たちの旅」「俺たちの朝」みたいなオレオレ俺は、まさに団塊の世代である著者の大衆食堂フォークソング。この熱さ、別に嫌いじゃありません。でも、昔は良かったで終わっちゃうのももったいない。多分、社会の二極化が進み、「大衆芸能」「大衆文学」「大衆運動」が死語になっている今、「大衆食堂」の果たしてきた「大衆」の食がコンビニという個別データに分散化していることに対してのメッセージもっともっと感じたかったです。たぶん「立ち飲み」が女子たちに再発見されたように著者言うところの「俺メシ」は新しい人と人の繋がりを生むと思っています。分断社会だからこその新しいパブリックとしてのメシを!

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2017/09/26

私と同じさいたま市見沼区に在住の遠藤哲夫(通称エンテツ)さん「大衆食堂パラダイス!」、2011.9発行です。1960年代、1970年代、確かにたいがいの駅前や街角には「大衆食堂」がありました。新潟県生まれの著者は、大衆食堂は上京者の居場所であり、望郷の場所だと。望郷、人それぞれに...

私と同じさいたま市見沼区に在住の遠藤哲夫(通称エンテツ)さん「大衆食堂パラダイス!」、2011.9発行です。1960年代、1970年代、確かにたいがいの駅前や街角には「大衆食堂」がありました。新潟県生まれの著者は、大衆食堂は上京者の居場所であり、望郷の場所だと。望郷、人それぞれに望郷食がありますね(^-^) 私の場合、広島菜、デベラ、酔心でしょうかw。十条「天将」では、マグロを注文すると、娘さんが「マグロおいしいところ一丁」とw。味噌汁2杯だと「はい、おいしい味噌汁を二丁~」(^-^)いいですね!

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2012/10/23

「メシは力」 ものを食う、ということ。 それに伴う記憶。 どこで、だれと、なにを食ったか。 そういうことを、疎かにしない、こういう姿勢が好き。 ものを食う、ってのは、「命」と直結してるもんなぁ、そういえば。

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2012/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「大衆食堂」…上京者にとっては、消えてしまった故郷に最も近い場所。 サバ味噌定食と、うどんとカレーとステーキと、ジュースが平気でならぶその場所はまた、日本人が近代このかた何を食べてきたのかを示す、記憶の一大集積所でもある。 そんな日本の「大衆食堂」の数々をめぐって紹介し、その魅力、愉しみ方、めしくう快楽を語りつくす。 日本人よ、今こそ、気取らず力強く飯を食え。

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2012/04/14

今や文化的遺産になりつつある大衆食堂についての考察を通じて、地方から上京して多くの大衆食堂と深く関わった著者ならではの熱い思い入れが伝わってくる好著。それは懐古趣味的になりがちな題材をしっかり突き放して論じてみせるという、難しい作業が丁寧に行われた結果でもある。

Posted byブクログ

2012/02/24

「男なら大衆食堂でメシを食え」というキャッチコピーも勇ましく、グルメ文筆界でストロングスタイルを貫くエンテツ師匠のライフワーク集成。いまや店主の高齢化や流行の波に乗りきれずに廃れつつある、町の大衆食堂という文化に光を当てた充実のレポート。 日本各地に存在していた食堂は、その町に暮...

「男なら大衆食堂でメシを食え」というキャッチコピーも勇ましく、グルメ文筆界でストロングスタイルを貫くエンテツ師匠のライフワーク集成。いまや店主の高齢化や流行の波に乗りきれずに廃れつつある、町の大衆食堂という文化に光を当てた充実のレポート。 日本各地に存在していた食堂は、その町に暮らす人、働く人々の胃袋を支えるばかりか、心の拠り所となっていたのです。そんな過去や現在を描きだすエンテツの筆致は無骨なのに詩情豊か。 昭和の面影を残す大衆食堂、少し前はそういう店が残っていた気もするけど、そういえば最近見ない… とりあえず、しっかりと米の飯を食わないとはじまらないな、という気にさせられる。

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2012/01/17

 エンテツさんの最新作。  いわゆるグルメ本ではない。  新潟から上京したエンテツさんの成長譚と日本の高度成長、そしてその中での、大衆食堂の有為転変。  優れた文明論とでも言えましょうか。    「気どるな、力強くめしをくえ!」  至言であろう。 

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2011/11/16

「気取るな!力強くめしを食え!」。 軽佻浮薄なグルメブームをぐしゃっとつかんで、道ばたにポイッと捨てる小気味よさ。「おれ」という一人称を多用する文体のド迫力。「大衆食堂の詩人」(←この形容詞だけはいただけないけどね・笑)、エンテツの大衆食堂論は、職業的ライターにはおよそ到達でき...

「気取るな!力強くめしを食え!」。 軽佻浮薄なグルメブームをぐしゃっとつかんで、道ばたにポイッと捨てる小気味よさ。「おれ」という一人称を多用する文体のド迫力。「大衆食堂の詩人」(←この形容詞だけはいただけないけどね・笑)、エンテツの大衆食堂論は、職業的ライターにはおよそ到達できない高みにまで達している。本書は単なる大衆食堂ガイドなどではない。大仰にいえば、日本という国、社会の変容をも提示するものだ。いいなあ、エンテツ。なので、私も言ってみる。 「気取るな!力強くこれを読め!」

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2011/11/13

ぼっち飯を怖がるのはゆとりの悪癖であり、1人で食堂に入り、酒を飲みながら飯を食う、そういう大人に私はなりたい。

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2012/02/11

ある日道を歩いていると、「この辺に食堂はありませんかね?」と聞かれたことがあった。新しい家の建設作業に来ているおっちゃんである。丘の上の団地でスーパーすらなかなかないような場所なので、「ちょっと下に降りないとたぶんないです」と答えた。しかし、答えた後、このおっちゃんが望むような食...

ある日道を歩いていると、「この辺に食堂はありませんかね?」と聞かれたことがあった。新しい家の建設作業に来ているおっちゃんである。丘の上の団地でスーパーすらなかなかないような場所なので、「ちょっと下に降りないとたぶんないです」と答えた。しかし、答えた後、このおっちゃんが望むような食堂は果たしてこのあたりにあるだろうかとも思った。 例えば、こういう力強いおっちゃんがめしを食らう場所が大衆食堂と呼ばれるのだろうと「大衆食堂パラダイス!」を読んでいて思った。 「おれ」の一人称で語られていく様々な大衆食堂とそこに集う人達は、本当に魅力的である。そして、大衆食堂がやや時代の波にさらされ、姿を消していっていることも書かれている。著者エンテツさんは、そのことを複雑な思いで見つめているのかもしれないが、文章としてはとても抑えられていて、言葉が不思議に読者に印象付けられる結果となっているように思う。「大衆食堂の詩人」と呼ばれているのもうなずけるところである。 「自慢じゃないが、おれだって、肩書には「フリーライター」とあって、大衆食系の本を二、三冊書いてはいるが、これがプロの文章か、ただのアル中じゃないか、と、よく言われている。 うふふふ、いいのだ、それで。」

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