日本の魚は大丈夫か の商品レビュー
はじめと終わりに三陸の壊滅的漁業についてと、放射性物質の影響について触れられているが、それらは必ずしもメインの内容ではない。 先に読んだ、同じ一次産業である農業に触れた「日本は世界5位の農業大国」では、グローバル化への積極対応と農業関連の統計数値のおかしさ、農水省の害悪をはっきり...
はじめと終わりに三陸の壊滅的漁業についてと、放射性物質の影響について触れられているが、それらは必ずしもメインの内容ではない。 先に読んだ、同じ一次産業である農業に触れた「日本は世界5位の農業大国」では、グローバル化への積極対応と農業関連の統計数値のおかしさ、農水省の害悪をはっきり指摘している。いっぽう本書では、農水省・水産庁の統計自体に対しての疑義ではなく、むしろ国が資源管理をしっかりやらなければ駄目だ、という提言である。もっと縮めて言えばノルウェーの真似をしちゃえという。組合、というのが適正な機能を果たしているかというと疑問もあり、ぜひ三陸の特区から日本の漁業の未来を見たいし、魚を食べ続けたい。 巻末の水産物の放射能汚染の項は、正直な印象で、食品選択の参考になる。
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東日本大震災で被災したからこそ、三陸の漁業を生まれ変わらせられるという意気込みを感じる。ノルウェーの漁業が、かつては補助金漬けで今の日本のような産業であったのに、今では生まれ変わって後継者が一杯集まっている例を指摘。全く知らなかった。今の利益ではなく、後々の利益を求めるべきという...
東日本大震災で被災したからこそ、三陸の漁業を生まれ変わらせられるという意気込みを感じる。ノルウェーの漁業が、かつては補助金漬けで今の日本のような産業であったのに、今では生まれ変わって後継者が一杯集まっている例を指摘。全く知らなかった。今の利益ではなく、後々の利益を求めるべきということは正論である。利益が上がれば、後継者が集まるのは、徳島の葉っぱの村と同じ構図である。
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日本の漁業の問題をこれほどまでに辛らつに晒してくれたことに感謝する。 獲れるだけ獲る。早いもの勝ちで根こそぎ幼魚を含めて獲る。 そんなことしていたら資源が尽きるのも当たり前だ。 ノルウェーを見習って捕獲枠を定めて親魚を残して資源を保存していく。
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筆者のお話は、TBSラジオの「麻木久仁子のニッポン政策研究所」で、すでに震災前と震災後に聴いていた。本書はそのレビューとして読むことができた。筆者の考えについて、より理解を深めることができた。 わが国の漁業の問題点をデータに基づき、かつ外国の事例と比較しながら論理的に分析し、さらに解決方法について前向きな提案がなされている。さらに、最後の章は水産物の放射能汚染について、わかりやすくまとめられている。(自分は、「細かいことを気にしない派」かな) わが国の漁業は、他の産業に比べていろいろな点でとても遅れている。このままでは確実に衰退する。解決しなければならないことがたくさんあるけれど、解決方法の種類は、それほど多くない。若い人を中心に据える、漁獲高の制限、もっと儲かるビジネスモデルの構築など。 ITを利用した漁業なんていうのはどうだろう。ノルウェーではかなり進んでいるらしい。とてもおもしろいと思う。
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漁業について初めて本で読んだかもしれない それだけに、目からうろこのことばかり 加えて、震災からの復興、今後の漁業のあり方など いずれも分かりやすく的を得ていて良書だ 漁業はお年寄りばかり、体にもきつい、もうからない、など 負の要素ばかりのイメージがあるが実際は異なる 古い体...
漁業について初めて本で読んだかもしれない それだけに、目からうろこのことばかり 加えて、震災からの復興、今後の漁業のあり方など いずれも分かりやすく的を得ていて良書だ 漁業はお年寄りばかり、体にもきつい、もうからない、など 負の要素ばかりのイメージがあるが実際は異なる 古い体質、補助金漬け、非効率な戦略など なるべくして今の事態を招いているようだ 一方で、同じようにピンチに陥ったノルウェーは 立派に再建しているらしい 漁業、これから目が離せない
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漁業問題はいままで殆ど関心がなかったが、この本で危機的な状況にあることがよくわかった。 日本の漁業は稚魚や親魚まで乱獲することで、毎年の漁獲高が減っている。このような旧態依然とした漁業を政府は放置してきた。もしくはでたらめな理屈で乱獲を放置してきた。今のでたらめさは次の文章によく...
漁業問題はいままで殆ど関心がなかったが、この本で危機的な状況にあることがよくわかった。 日本の漁業は稚魚や親魚まで乱獲することで、毎年の漁獲高が減っている。このような旧態依然とした漁業を政府は放置してきた。もしくはでたらめな理屈で乱獲を放置してきた。今のでたらめさは次の文章によく表れている。 「自国のサバ資源は未成魚のうちに乱獲して、二束三文でたたき売りしておきながら、自分たちの食べるサバはノルウェーから輸入しているのです。」 ノルウェーも昔は日本同様の焼き畑漁業をしてきたわけですが、漁獲量を制限する改革により売り上げを伸ばすことを成功し、漁業は成長産業となっている。ノルウェーやニュージーランドのような漁業先進国に見習い日本も抜本的に漁業を改革する必要がある。そうしなければ、漁業どころか、魚を食べるという食文化すら維持することができなくなるであろう。
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IQ 制度の導入によって親を残すと。 少なくとも今のままでは漁業は衰退の一途。小さい魚をとらずにすむようにしたい。漁業を儲かる産業にして、若い人も参加できるようにしたい。 だけどこの本は具体的なことはない。学者だからそれを期待するのはいけないか。行政がこういう本を読んで、見慣れた当たり前の状況から一歩引いて。客観的に漁業を捉えて。しっかり状況を把握して、不退転の決意で望むべし。 IQ は導入の道を探りたい。
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震災で打被害を受けた三陸の漁業をどう再生するのかという極めて困難な設問に対する書。とは言え漁獲は減り魚価は低迷し、超高齢化した漁業従事者が中心である日本の漁業は既に崩壊しているので、元に戻すだけでは意味が無いというのもまた事実。また船だけ持ってきても水産加工が戻らなければ消費地へ...
震災で打被害を受けた三陸の漁業をどう再生するのかという極めて困難な設問に対する書。とは言え漁獲は減り魚価は低迷し、超高齢化した漁業従事者が中心である日本の漁業は既に崩壊しているので、元に戻すだけでは意味が無いというのもまた事実。また船だけ持ってきても水産加工が戻らなければ消費地へ魚は届かないという指摘はもっとも。結局は意味のある漁獲高制限による漁業資源の回復と過当競争の排除が重要という提言なのだが、日銭が何より求められているこのタイミングでそれが出来るのか所得補償・減船・漁港復旧・水産加工産業復旧とトータルな政策に纏める力が政治にあるのだろうか。
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