日本の魚は大丈夫か の商品レビュー
人柄と活動は評価するが、やはり漁業側の人間であることを割り引いて読まないとね。正しい情報を出し続けて、判断は消費者に任せてもらいたい。 漁業は若い人がきちんと考えて改革する必要がある。そうだね。
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正直あまり文章は面白くなかったが、言っていることはとても的を得ているな、と感じた本。この本のメッセージはとてもシンプルで「需要と供給のバランスを使って魚の価値を高めましょう」というもの。それによって魚の乱獲も防ぐことができ、漁師の方々の生活も守れるという。また海外の漁業事情や日...
正直あまり文章は面白くなかったが、言っていることはとても的を得ているな、と感じた本。この本のメッセージはとてもシンプルで「需要と供給のバランスを使って魚の価値を高めましょう」というもの。それによって魚の乱獲も防ぐことができ、漁師の方々の生活も守れるという。また海外の漁業事情や日本の漁業史については、知らないことが多かったのでとても興味深かった。 ノルウェーのサーモンが有名なのは、なんとなく知っていたが、ノルウェーが過去日本と同じように魚の乱獲を行ったために漁業が瀕死の状況まで追いやられていたことは知らなかった。そのときノルウェーの漁業を救うきっかけになったのが「個別漁業枠」という仕組みである。個別漁業枠の内容は「この地域でこの船が獲れる魚の数は○○だけで、値段も○○以上でなければならない」というものだ。これによって各漁師は獲る魚の数を制限し、魚を売ることによって得る利益も増えるという。また漁師がその仕事をやめたいと思った時、個別漁業枠を売ることで多額のお金を得ることができる(漁師の数が制限されているため漁業枠は高く売れる)ため、漁師を辞め、他の仕事を探す期間を得ることもできるという。漁協組合と行政が「地域漁業の復興」を目的としてきちんと議論して結論を出すことができれば、漁業枠というのは経済学的にも素晴らしい対策ではないか、と感じた。 また他に強く印象に残った内容が3つある。1つはトレーサビリティについてである。スーパーなどで売られている「○○産」という表示は、その魚が獲れた海がどの県に所属しているかではなく、水揚げを行った港が表示されているという。そのことに強い衝撃を受けた。たとえ福島の海で取れても、茨城まで運べば「茨城産」になるという。これは正確に見える仕組み作りが大事だと感じた。 次が復興特区についてである。復興特区は県外の民間企業が地域に入っていくのに有利な改革である、というイメージがあった。しかし実は違うようだ、ということが分かった。復興特区の目的は外の民間企業が入りやすいようにするのではなく、地元の人が復興活動をしやすくするための仕組み作りであった。まず以下に本にも載っていた現行の「漁業権の優先順位」を載せる。 (1)漁協 (2)地元漁民中心の法人 (3)地元漁民7人以上の法人 (4)漁業者・漁業従事者 (5)新規参入者 次に復興特区で採用したいと福島知事が述べる「漁業権の優先順位」を載せる。 (1)漁協・地元漁民中心の法人・地元漁民7人以上の法人 (2)漁業者・漁業従事者 (3)新規参入者 つまり元々の優先順位の1,2,3を同列にするということだ。それによって何が起きるかというと「漁協に入っていない地元漁民の方」が漁業関係で事業を起こしやすくなる。結果的に外の企業が入りやすくなる側面はあるかもしれないが、それが目的ではない。このことを知った時、復興特区をなんとなく、それも間違った風に認識してしまっていたな、と感じた。 最後に印象に残った内容が、「漁業」の話ではないが、政府の放射能に関する国民への説明の矛盾に関する話である。著者が述べるには、放射能の基準には大きく分けて3の考え方があるらしい。LNT(Linear Non Threshold)モデル、ECRR(European Comittee on Radiation Risk)モデル、そして閾値モデルである。1つ1つのモデルの内容をここで書くことはできないが、放射性物質に対して厳しい姿勢を取っている順に並べると、ECRR, LNT, 閾値 という順番になる。日本が国として採用しているモデルはLNTなのだが、実際に原発事故が起きた際に枝野さんが「○○mSv以下なので大丈夫です」という風に説明したのは完全に閾値モデルになるのだという。このように国のその時その時、説明する対象や現象によってモデルを使い分けて説明をしていたことが、国民と他国からの信用を失った原因だと述べている著者の主張は間違っていないと感じた。 これらの他にも勉強になったことをはあるが、大きくはこの4つがとても勉強になった。本の最初の方は少しつまらなかったが、だんだんと面白さが増していったような気がする。おすすめです^^
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日本漁業の問題点と、取るべき改善策がよく示されていてわかりやすい。 放射能について著者はプロでないのに(プロでないがゆえに?)非常にわかりやすく説得力がある。
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読み助2012年2月16日(木)参照のこと。 http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2012/02/nhk-e890.html
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震災・津波以前から,日本の漁業はずっと崩潰への道を走っている。補助金漬けだった漁業を漁獲管理で再生させたノルウェー等の成功例に学ぶことが不可欠。説得力がある。 三陸の漁港が潰滅的な被害を受けた。これを復興するというのは並大抵でない。奪われたシェアを取り戻すには付加価値が必要。...
震災・津波以前から,日本の漁業はずっと崩潰への道を走っている。補助金漬けだった漁業を漁獲管理で再生させたノルウェー等の成功例に学ぶことが不可欠。説得力がある。 三陸の漁港が潰滅的な被害を受けた。これを復興するというのは並大抵でない。奪われたシェアを取り戻すには付加価値が必要。かわいそうだから元に戻すという安易な考えでなく,これを機に日本の漁業をゼロから作り直すくらいでなくては。戦後日本の漁業の歴史,漁業先進国の取組み等を踏まえて,提言。水産物の放射能汚染についての最後の一章を割いている。 国が主体となった適切な漁獲管理。これを日本は取り入れられていない。乱獲によって資源量が枯渇して,水揚げは未成魚ばかり。鯖なんかが典型で,日本のスーパーに並ぶのはほとんどノルウェー産。 日本では小さいうちに獲ってしまうため,魚粉用に買いたたかれてしまう。漁獲量を制限すれば,小さいのをとることは経済的に不合理になるからおのずとこの悪循環は回避できる。それがなぜ日本ではできないのか。補助金でやっている現状,変化を嫌う声が大きいこと,事なかれ主義の横溢だ。 漁業先進国はしたたか。自国での消費はそれほどでないことも多く,日本への輸出に力を入れていたり。寿司ネタの鮪が減っていくニッチを,サーモンで取りに行こうとノルウェーは国策として回転寿司チェーンとタイアップ。「子供は鮪よりサーモンが好き」と一大キャンペーンを張ったとか。 p.103「水産庁は、『日本の漁業者は意識が高く、乱獲をしないから、国が資源管理をする必要がない』とか『IQ方式はノルウェーのような、魚が少ない海域では機能するが、日本には適していない』といった、意味不明の理由を並べ」てるらしい。三陸漁業復興を錦旗に,改革が成らないものだろうか? ちなみに,この本,図書館で探してもらったんだけど,最初みつからずに手間取った。「にほんのさかなはだいじょうぶか」で検索してもノーヒット,奇怪に思ってると,「にほんのうおはだいじょうぶか」で見つかった。「魚」の訓読みは長らく「うお」しか認められてなかったとはいえ,これは…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いままでの水産物流通について、 これから必要な漁業復興について、 水産消費大国、日本の消費者だからこそ読んで欲しい本。 そして、 漁組・漁協の人たちにも 「自分の代で終わってもいい漁業」という意識を改革して欲しい。 漁業者さん達に「儲からないし、衰退する産業」 という印象を持ちながらも、背水の陣的に、働いて欲しくない。 どんな立場からも、どんな視点からも学びの多い 「震災後、漁業を考える」きっかけづくりの教科書だと思います。 非常に、勉強になりました。
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東日本大震災を目の当たりにして、「元に戻す」だけの復興支援で良いのか。 かつての国民生活を支える基幹産業から、現在の衰退を余儀なくされている日本漁業の歴史と構造を詳細に解説。EEZに締め出された遠洋漁業、漁船の大型化・漁具の高度化から漁獲量を落とすことが出来ずに未成魚を獲る沖合漁...
東日本大震災を目の当たりにして、「元に戻す」だけの復興支援で良いのか。 かつての国民生活を支える基幹産業から、現在の衰退を余儀なくされている日本漁業の歴史と構造を詳細に解説。EEZに締め出された遠洋漁業、漁船の大型化・漁具の高度化から漁獲量を落とすことが出来ずに未成魚を獲る沖合漁業、天然魚を獲り尽くした沿岸漁業、高い期待とうらはらにコスト高によりビジネスモデルとして破綻している養殖業(非摂餌養殖以外)、輸入も他の国に買い負けで前途多難。 しかし、著者は先進国の改革モデルに学び、儲かる漁業になる方程式があると述べる。 「持続的な漁獲のため、十分な親魚を獲り残す」「獲った魚を出来るだけ高く売る」 乱獲により危機的状況から漁業先進国となったノルウェーの例から、国の政策主導のもと個別漁業枠による資源管理、魚価と透明性を上げるシステム作り、最低価格制度で品質保証、企業化・大型化への養殖業について記述。 作り直すなら未来につながる漁業をと「被災地支援型の資源管理(キャッチシェア制度)」「経営統合による協業化・企業家」「加工流通業者を巻き込んだマーケティング」を提言。 最終章では水産物の放射能汚染について解説。 水産資源管理と資源解析を専門とする研究者が世界の水産現場を見て、日本の漁業を見つめ、三陸復興に向けて熱く述べられている姿勢に感動。
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漁業の問題と問題解決の示唆に富んだ良著。他の国でできているようなまともなお金の使い方ができない我が国はいったい何なのだろうと思わず言いたくなってしまった。
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日本の漁業の現状がよくわかった。 将来十分に育てれば大金がられるのに、個人の欲で乱獲し僅かな収入を得られないという、負のスパイラルにはいりこんでいる現状がよくわかった。この30年間の行政がなにもやってこなかった事のつけがこちらでも現れていると思った。 ノルウェーなどの漁業先進国を...
日本の漁業の現状がよくわかった。 将来十分に育てれば大金がられるのに、個人の欲で乱獲し僅かな収入を得られないという、負のスパイラルにはいりこんでいる現状がよくわかった。この30年間の行政がなにもやってこなかった事のつけがこちらでも現れていると思った。 ノルウェーなどの漁業先進国を見習いに本の漁業が蘇る事を願う。 「100倍の利子を捨てている日本漁業」という言葉が印象的だった。
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日本の漁業の状況に詳しい著者からの、東日本大震災の被害を受けた東北漁業復興への提言。 ・後継者が育つようなテコ入れをしないかぎり、被災前の状況に戻したとしても残るのは高齢者ばかり。その先に明るい未来はありません。 ・現在、漁業に従事しているお年寄りのことだけを考えるなら、産業政...
日本の漁業の状況に詳しい著者からの、東日本大震災の被害を受けた東北漁業復興への提言。 ・後継者が育つようなテコ入れをしないかぎり、被災前の状況に戻したとしても残るのは高齢者ばかり。その先に明るい未来はありません。 ・現在、漁業に従事しているお年寄りのことだけを考えるなら、産業政策ではなく、福祉政策で対応する方が妥当でしょう。 と鋭い。 漁業の補助金依存から脱却し、ニシン資源の回復にも成功したノルウェーの政策に、日本漁業復興のヒントがあるという意見には、納得しました。 最終章には、魚介類の放射能汚染や海中での拡散のしかたなどが書かれています。 チェルノブイリ原発の事故後、その年のうちに餌となる小魚のセシウム値が上昇しました。 その1年後、捕食魚の値が上昇しています。しかも、減衰は小魚よりもはるかに遅い。 このデータをみると、日本における汚染の問題は今後さらに深刻なものになるのでしょう。
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