実存と構造 の商品レビュー
人生とは何かという難問を解明するための思考モデルとして、実存と構造という概念を紹介した本。生きづらい時代にも関わらず、人生航路の指針となる思考モデルが用意されていない。現代の若者こそ知的ツールとしての思考モデルが必要ではないか、と述べられている。 二つの世界大戦、社会主義革命や...
人生とは何かという難問を解明するための思考モデルとして、実存と構造という概念を紹介した本。生きづらい時代にも関わらず、人生航路の指針となる思考モデルが用意されていない。現代の若者こそ知的ツールとしての思考モデルが必要ではないか、と述べられている。 二つの世界大戦、社会主義革命や軍事政権による独裁体制によって、素朴に国家や社会体制が信じられなくなった時代にわたしたちは生きている。あるいは、急速な産業の発達、都市の拡大により、共同体の崩壊が起こり、生きて行く為に必要な親族社会や郷土を失った多くの人々が、自ら異邦人と感じ、虫けらのように生きていると感じずにはいられなくなった。それが20世紀という時代だった。 だからこそ、『実存』という思考モデルが生まれ、やがてその裏返しとして『構造』という思考モデルが生まれた。 『実存』は近代の産物であるが、『構造』は神話や伝説と現代とを結びつける魔法のような装置であり、包み込む効果を持つ。 『すべての孤独な魂に、実存という言葉が与えられた時、同時にその魂たちは、構造というパッケージの中に封じ込まれる。孤立し、傷ついた魂は、いやされることになる。悩んでいるのは自分一人ではない…。』 ☆作者のおすすめ 中上健次「枯木灘」 神話的な構造を大胆に描いた物語。中上自身が複雑な家庭環境に育ち、そのことが色濃く反映されている。 ☆実存と構造という言葉の意味をあまり知らなかったので、小説や哲学を例に解説してくれて分り易かった。内容は、他のレビューにもあるように哲学というよりも本の紹介にややよっているので、適切なタイトルは「文学作品を通した実存と構造」であろうか。
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実存と構造はコインの裏表。 神に替わる指針を求め続けてきた近代西洋哲学の歴史を 非常にわかりやすくダイジェストしている。 難解と思っていた実存主義と構造主義の大枠を理解するのに 最適なテキスト。 日本においての構造主義的な文学の担い手として 大江健三郎と中上健次が紹介されてい...
実存と構造はコインの裏表。 神に替わる指針を求め続けてきた近代西洋哲学の歴史を 非常にわかりやすくダイジェストしている。 難解と思っていた実存主義と構造主義の大枠を理解するのに 最適なテキスト。 日本においての構造主義的な文学の担い手として 大江健三郎と中上健次が紹介されている。 読書を通して思考を深めるための手引きのひとつとして役立つだけでなく、 単純に読み物としても楽しめた。
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