春を恨んだりはしない の商品レビュー
東日本大震災と津波から11年めの3月。つい先日も東北で震度6の地震かあり、被害が報告されている そんな折、図書館でこの本を手に取った。 池澤さんご自身、理工学分野に造詣が深い芥川賞作家。かねてから原発には否定的な立場でエッセイを書かれていることは知っていたが、その内容も入れながら...
東日本大震災と津波から11年めの3月。つい先日も東北で震度6の地震かあり、被害が報告されている そんな折、図書館でこの本を手に取った。 池澤さんご自身、理工学分野に造詣が深い芥川賞作家。かねてから原発には否定的な立場でエッセイを書かれていることは知っていたが、その内容も入れながら、震災直後から被災地を巡り、体験されたことをベースに多面的な見方で思いを綴っている。 日本人は自然を人格化してとらえるところがあるが、この震災から見ても、自然にはいかなる意思もない。これに我々は耐えられないのだ。 ただ昔から日本人は、数々の災害に遭ってきており、忘れることや諦めるという特性も持っている。 被災者には、何年経っても忘れることは出来ないことだろうが、忘れる能力も大事だろう。 地震と津波には責任の問いようがないのだから。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB06729198
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タイトルがよい。 そして、以下の引用句がよかった。 祈るとは、自分は何をすべきなのか、それを伝える神の声を聴こうと耳を澄ますことである。 僕もそう思う。 気仙沼の死者たちは、恐ろしくなかった。 死者や自然といった、声なきものたちとの対話ができるかが、ポイントだ。
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東日本大震災の全体像を捉えたいと、報道や現地取材を通じて筆者が「起き(てしまっ)たこと」と「そのあとに続いていること」に向き合おうとしたモノローグ。自分の生きている時代に起きたとてつもなく大きな天災と人災を機に、漫然と時を過ごすのではなくより良い社会にするために各人が出来る範囲で...
東日本大震災の全体像を捉えたいと、報道や現地取材を通じて筆者が「起き(てしまっ)たこと」と「そのあとに続いていること」に向き合おうとしたモノローグ。自分の生きている時代に起きたとてつもなく大きな天災と人災を機に、漫然と時を過ごすのではなくより良い社会にするために各人が出来る範囲でそれぞれに物事を突き詰めて考えて社会に働きかけるようにしたいのだ、ということを改めて提示しているようでした。震災のわずか半年後に発行された本ですが自分は読むのに9年もかかってしまいました。遅くなってしまったけれど、読んで良かったです。
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◯あの時、日本人は戦争の災禍を一種の天災と受け止めたのではないか。(61p) ★災害の多い日本の風土が、日本人の気質を育てた。
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読メイベントにお誘いいただいたのをきっかけに震災の関連本を改めて読んでみよう企画第一弾は池澤さんをチョイス。 とてつもなく広い範囲から物事を見詰めることの出来る論客だけに薄っぺらい本ながらその内容はどこまでも深い。 出版されたのはあの日の半年後、書かれていることにもほとんどの人が...
読メイベントにお誘いいただいたのをきっかけに震災の関連本を改めて読んでみよう企画第一弾は池澤さんをチョイス。 とてつもなく広い範囲から物事を見詰めることの出来る論客だけに薄っぺらい本ながらその内容はどこまでも深い。 出版されたのはあの日の半年後、書かれていることにもほとんどの人が共感し被災地のそしてこの国行く先を案じたものだ。 それが今はどうだろう…復興の労働力を奪う東京オリンピックに浮かれバラマキ銭が目当ての自治体は原発再稼働にまっしぐら、忘れる文化は忘れ去る軽挙さにすり替えられてしまっているではないか。 様々な思いの中また何もなかったように5度目の春がやって来る
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読みながら、時折目を閉じてあの日のことを思い出した。 「薄れさせてはいけないと繰り返し記憶に刷り込む。 あの時に感じたことが本物である。風化した後の今の印象でものを考えてはならない。(本書 p.9)」 やなぎさんのBluesを聴いた。 作者は、東日本大震災の当事者ではない。 あ...
読みながら、時折目を閉じてあの日のことを思い出した。 「薄れさせてはいけないと繰り返し記憶に刷り込む。 あの時に感じたことが本物である。風化した後の今の印象でものを考えてはならない。(本書 p.9)」 やなぎさんのBluesを聴いた。 作者は、東日本大震災の当事者ではない。 あの日、作者は四国吉野川にいた。 震災が発生し、取材旅行を切り上げた彼は、東北を飛び越して、北海道の自宅に戻る。 しかし、その後彼は、取材者兼ボランティアとして、被災地に入る。 取材者であるから、自分の力で被災地の中まで入り込む。しかし、職業的報道者ではない彼は、同時にボランティアとして、被災者の元に必要な物資を届ける。 現地をみて、話を聞いて、そして立ち止まって考える。 そして、考えたことを、彼の言葉として伝えた。 私も震災のあと、ボランティアとして現地に向かった。 私は、そのことを言葉に残さなかったが、作者が織り出した言葉の中に、その時のことを思い出した。 日本は地表プレートが衝突する場所に位置する。言い換えれば、衝突によって作られた地形が日本列島になっている。 その狭い土地に多くの火山を抱え、多くの地震乗り越え、多くの津波に洗われた。 自然の猛威に晒された日本人は、しかし、その自然を怨み、敵対することによって解放はされない。 自然の営み、時には猛威に対しては、受け入れ、そして、忘れようと試みる。 そして、また春が巡ってきても、その春を恨んだりはしない。 日本人の考え方の根源に、この言葉があるような気がする。 その、自然に洗われることが前提の国土に、人間がコントロールできない脅威(原子力)を解き放つことの異常さについて、きちんと向き合う。 2011年3月11日。その日、そして、その日に連なる日々に考えたことをを忘れたくないから、私はこの本を読む。
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ぼくは,宮城県宮城郡に住んでいます。生まれ育ったのは石巻市。 ということで,被災地の人間と言うことになるのだと思います。 個人的には家族も全員無事,家も大きな被害はなし。でも職場にいた時に地震が来て,そこが避難所になり,ザブンとは来なかったもののじわじわと津波の水が来て,でもギリ...
ぼくは,宮城県宮城郡に住んでいます。生まれ育ったのは石巻市。 ということで,被災地の人間と言うことになるのだと思います。 個人的には家族も全員無事,家も大きな被害はなし。でも職場にいた時に地震が来て,そこが避難所になり,ザブンとは来なかったもののじわじわと津波の水が来て,でもギリセーフで…。その後は被災者支援に多少なりとも関わった者としては,大好きな作家さんが震災後間もなく近くに来ていたことを知り,私たちのことを想い続けていると知るだけで勇気づけられました。 数千万人の人が,大なり小なりの影響を受けたであろうあの震災。被災地にいればいろいろなことを聞きました。よいことも,そうでないことも。 それでも希望を持って生きて行きたいと,当たり前ですが,思っています。気持ちに変化はありつつ,当たり前に生きて行けるぼくは,被災者の中では,まだ恵まれている方だと思っています。 早く,みんなが,「当たり前」に生活できる日がやってくることを願っています。
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帯表 あの日の衝撃を記憶に刻み 震災の現実と日本のこれから 生き残った者の責務を考える 被災地の肉声・災害と国民性・ボランティアの基本原理・原発からの脱却とエネルギーの未来図 帯裏 ぼくは震災の全体像を描きたかった。 自然の脅威、社会の非力、一人一人の 被災者の悲嘆、支援に奔...
帯表 あの日の衝撃を記憶に刻み 震災の現実と日本のこれから 生き残った者の責務を考える 被災地の肉声・災害と国民性・ボランティアの基本原理・原発からの脱却とエネルギーの未来図 帯裏 ぼくは震災の全体像を描きたかった。 自然の脅威、社会の非力、一人一人の 被災者の悲嘆、支援に奔走する人たちの 努力などの全部を書きたかった。 (本分より)
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武田鉄也さんのラジオで紹介されていて興味を持ち読んでみました。 大船渡の医師が患者から「どうして俺だけこんな目に遭わなければならないのか」という恨み言をついに聞くことはなかったという。同じ日本人でとても誇らしく感じた。東北の人の強さに関心した。 大学で物理を学んだ池澤さんの原発の...
武田鉄也さんのラジオで紹介されていて興味を持ち読んでみました。 大船渡の医師が患者から「どうして俺だけこんな目に遭わなければならないのか」という恨み言をついに聞くことはなかったという。同じ日本人でとても誇らしく感じた。東北の人の強さに関心した。 大学で物理を学んだ池澤さんの原発の話は、感情的でなく説得力があった。原子力は人間の手に負えないモノ。 電力の偏りをなくすスマートグリッドに未来を感じた。余剰のあるエネルギーを不足する所に送電できる仕組みがあればいいだけなの・・・。西日本に住む私は東日本の電力不足を歯がゆく思った。西日本で節電しても意味がない仕組みを恨んだものだ。それが解消できる方法があるのに。 未来のあるエネルギー利用の話が現実になって欲しい。
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