ローマ人の物語(43) の商品レビュー
ついに読み終わってしまった。東西ローマに分裂した時から、その前にキリスト教が定着した時から、ローマ帝国は以前のローマ帝国ではなかったのだろう。長い歴史の中で傑出したリーダーに率いられる時もあれば、私利私欲に走るリーダーに翻弄される時も、蛮族にこっぴどく蹂躙される時も。もし、リーダ...
ついに読み終わってしまった。東西ローマに分裂した時から、その前にキリスト教が定着した時から、ローマ帝国は以前のローマ帝国ではなかったのだろう。長い歴史の中で傑出したリーダーに率いられる時もあれば、私利私欲に走るリーダーに翻弄される時も、蛮族にこっぴどく蹂躙される時も。もし、リーダーの資質にそれほどの差がないとすれば、幸不幸の差は時代によるのだろうか。43巻という相当なボリュームだったが、とても楽しめた。読んでよかった。
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遂にローマ帝国を看取りました。読み切りました。盛者必衰、諸行無常を感じました。長い物語の中で忘れられないハンニバル、カエサル、アウグストゥス、五賢帝、ネロ、カラカラ帝etc。 物語なら面白過ぎて、教科書や便覧を見返すこともなく終わりまで来てしまったので、これからゆっくりと便覧など...
遂にローマ帝国を看取りました。読み切りました。盛者必衰、諸行無常を感じました。長い物語の中で忘れられないハンニバル、カエサル、アウグストゥス、五賢帝、ネロ、カラカラ帝etc。 物語なら面白過ぎて、教科書や便覧を見返すこともなく終わりまで来てしまったので、これからゆっくりと便覧なども見たい。
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全巻読了。 ローマの誕生から終わりまでとても楽しく読めました。 ヨーロッパの成り立ちの基礎を知った気分です。 また読み返したい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
30年前に途中で中断してしまったローマ人の物語。 今回は1から43まで完結することが出来ました。 30年の積み増し人生経験も手伝って、共感しながら、塩野七生にリードしてもらいながら、ローマ時代を駆け抜ける。 勢いありキラキラ男子オンパレードな勃興期。 まるで大企業の3代目のような安定期。 そして今の日本の国会や国民を見ているような衰退期。 歴史を読んでいるのに、まさに元老院に座っているかのような、 自分がイチ商人として治安のいいローマ帝国内を商売してるかのような錯覚に陥ります。 フェアでオープンマインドかつ合理的、そして誠実で何よりルールを重視するローマ市民と先ほどまで一緒にいました。 こんな素晴らしい経験をさせてくれる塩野七生と書籍というメディアに感謝。
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43巻通しての評価。満点のシリーズだった。 最後の巻では、ペリサリウスの悲哀を感じた。 無能なトップの下で苦しむペリサリウスは、現代の中間管理職が味わっている姿とまったく同じ。 ローマの滅亡の原因のひとつが、国・民族という旗印が、いつの間にか宗教、しかも違う解釈を許さない狭量な旗...
43巻通しての評価。満点のシリーズだった。 最後の巻では、ペリサリウスの悲哀を感じた。 無能なトップの下で苦しむペリサリウスは、現代の中間管理職が味わっている姿とまったく同じ。 ローマの滅亡の原因のひとつが、国・民族という旗印が、いつの間にか宗教、しかも違う解釈を許さない狭量な旗印に変わってしまったことだ。蛮族と蔑んだフランクやロンゴバルトと東ローマが手を組み、ローマを取り戻しても、圧政で国民を苦しめる。蛮族のゴートの方が、よほど良い政治をひいたのは、現場を知らない腐った東ローマのトップの盲目さ故。悲しいかなローマ帝国は内から腐っていった証。 ローマの遺跡は「強者どもが夢の跡」
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西ローマ帝国の皇帝を退位させた後、皇帝の地位に誰も就けないまま西ローマ帝国の「イタリア王」と称してオドアケルが統治し始めました。 「パクス・バルバリカ」(蛮族による平和)は、ゲルマン人とローマ人を勝者と敗者として棲み分けさせ「共生」したものでした。このような状態を知るにつけ、かつ...
西ローマ帝国の皇帝を退位させた後、皇帝の地位に誰も就けないまま西ローマ帝国の「イタリア王」と称してオドアケルが統治し始めました。 「パクス・バルバリカ」(蛮族による平和)は、ゲルマン人とローマ人を勝者と敗者として棲み分けさせ「共生」したものでした。このような状態を知るにつけ、かつての帝国の凋落ぶりが実感させられます。 この後も「ゴート人」のテオドリックなどが「東ゴート王国」王としてイタリア半島を統治していきます。一方、東ローマ帝国ないしビザンチン帝国を伯父のユステイヌスから継いだユステイアヌスは「ローマ法大全」を編纂した功績はあるのですが、ペルシャとの戦争やバルカン地方やオリエントでの各民族の侵攻で疲弊し、その甥の治世では起つ人も力も残っていませんでした。そして、紀元613年マホメッドが布教を始めたイスラム教が勢いを増し北アフリカ、イタリア半島を席巻していきます。 世界史をちょっとはまともに学ぼうとこのローマ人の物語に取り組んだのは もう6年前です。終盤、自分の読書ペースが鈍ったのが原因ですがようやく最後まで読み終えてほっとしました。 それにしてもこれを執筆した作者の塩野七生さんには頭が下がります。あまたの古来の登場人物すなわち実際の歴史上の人物の足跡、人物像、その関係性だけでも膨大な情報ですから、名前を覚えるのさえ四苦八苦している私のような輩には到底理解不能の作業だったと思えるからです。 1千年以上も強大な帝国が何故存続したのか?彼女はその興隆の方に興味を持ったようです。確かにこれほど広い領土を長年に渡って維持した「パクス(平和)・ロマーナ」=「ローマによる国際秩序」という理念の継続がもたらしたものがいかに貴重なものなのか、現代の国際情勢を比較してみれば一目瞭然です。
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輝かしいローマ帝国の終わり。それはなんともあっけなく、有り体に言えば、「しょーもない」終わり方である。 しかしこれこそが老衰した一国の最後なのだろう。ドラマチックなエンディングなど、用意されていない。ローマは静かに息を引き取ったのだ。 読み終えた後は寂寥感でいっぱいになった...
輝かしいローマ帝国の終わり。それはなんともあっけなく、有り体に言えば、「しょーもない」終わり方である。 しかしこれこそが老衰した一国の最後なのだろう。ドラマチックなエンディングなど、用意されていない。ローマは静かに息を引き取ったのだ。 読み終えた後は寂寥感でいっぱいになった。 圧倒的な強者と未開の部族という、ローマ帝国>ゲルマン民族のパワーバランスが、帝国の衰退と諸民族の成熟によって水平に近づいたことが、ローマ帝国の崩壊の一因と感じる。 そしてキリスト教はローマの統治力に代わって、国を纏め、パクスをもたらす新たな拘束力として必要とされた。 コンスタンティヌス大帝の功績も大きいが、この背景には、それまでの混迷の時代を経て、世の中をまとめる超越した大きな力を求めていたこともある。一神教で排他的なキリスト教はまさにうってつけであった。 それにしても、ゲルマン民族とローマが合理的に共生したが融和はしなかったのは、興味深い。それはお互いの利権を認めつつ、民族的には最後まで融和しないという点で、白人と有色人種文化のそれに似ている。 古代ローマ帝国の一生を、二千年後の日本人にまでシンパシーを感じさせ、文庫にして43巻、夢中で読ませてくれた塩野七生氏の文章力は、比類なき才能だ。 この後のビザンチン帝国の滅亡や、その後のイタリア支配もぜひ書いてほしい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
長い長いローマ人の物語も、ついに最後の巻となってしまった。 が、しかし、一体私は何を読まされていたのか。 舞台こそ現在のイタリア半島だけれど、そこで争っているのはローマ人ではない。 蛮族に奪われた土地を取り返し、虐げられているカトリック教徒を救うという名目で東ローマ帝国から送り込まれた軍隊は、イタリアの土地を荒廃させ、ローマの人々なけなしの財産すら吸い上げ、喪われた命は道端に置き捨てられ、文化は蹂躙され、道路も水道も建築物も打ち壊され…。 ローマ人はただのモブでしかない。 残ったのはただ、ローマ人が作った法律のみっていうのが、いかにもローマ人らしくて笑ってしまうが、現代にも残るローマの法の精神は、もしかするとローマ帝国の熾火なのかもしれない。 無能な皇帝が続いたり、蛮族に侵攻されたり、帝国が滅んだ理由はいくつもあるけれど、やっぱり一番の引き金になったのは、キリスト教を国の中心に置いてしまったことだと思う。 人間が人間に対して決定する皇帝ではなく、神が認めた皇帝となった時点で、皇帝としての自負というものが失われていったのではないか。 何をやってもやらなくても、神が認めたことになるのだから、責任感のもちようが変わっていっても仕方のないことなのかもしれない。 他者への寛容を捨て去った時点で、私の中のローマ帝国は終わったのだけれど、著者も東ローマ帝国のことはローマ人の物語とは別物と思っているのがあからさまで、心の中でがっちりと握手する。 ただ、今までギリシャ正教の立ち位置がわからなかったけれど、東ローマ帝国からの流れだと気づいたので、今後はそれを念頭に置いてギリシャ正教について読むことにしよう。
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西ローマ帝国が滅亡した後のローマの状況が描かれる。ローマを陥落させた西ゴート族のオドアケルは、イタリア半島の統治のため、かつてのローマ人との共生を目指し、ローマは帝国滅亡後も蛮族による平和を享受する。 オドアケルの死後も東ゴート族のテオドリックに統治者が変わるなどの変遷はあるが、...
西ローマ帝国が滅亡した後のローマの状況が描かれる。ローマを陥落させた西ゴート族のオドアケルは、イタリア半島の統治のため、かつてのローマ人との共生を目指し、ローマは帝国滅亡後も蛮族による平和を享受する。 オドアケルの死後も東ゴート族のテオドリックに統治者が変わるなどの変遷はあるが、都市ローマの滅亡を決定的にしたのは、東ローマ帝国のイタリア半島の再統治であった。 東ローマ帝国はベリサリウスを将軍としてローマに攻め上り、確保するが、皇帝と将軍の間の連携が取れず、再統治に時間がかかる。その間、イタリア半島は回復不可能な傷を負い、滅亡する。
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最終43巻まで読了。 紀元前753年のローマ建国から、王政、共和制、現主制、専制君主制を経て、紀元後476年の西ローマ帝国滅亡、紀元後565年の東ローマ(ビザンチン)帝国ユスティニアヌスの死までを描く歴史小説。 西ローマ帝国が滅ぶ最後の1世紀は、1200年もの長さを追ってきて辿り着く場所だけに、読んでいて寂しさや虚しさ、諸行の無常を感じさせられた。 しかし、それぞれの時代の人間、組織、思想、宗教が生き生きと、分かりやすく、詳細に描かれていて、加えてそこに、後世から当時を裁くという態度だけは取らずにいようという筆者の姿勢が文にも行間にも滲み、読んでいて心地良かった。長大な分量に比例するような、贅沢な読書体験を与えてくれる歴史小説だったと感じる。
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