法とは何か の商品レビュー
本書は3部からなり,国家・法およびその結びつきについて解題する。法哲学という分野を一通り知るのに読みやすい本。
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かなり優しい言葉で各種主要な文献をテーマごとに説明してくれているのはありがたい。この本を元に、ホッブズ・ロック・ルソーの原著に当たるのもありかもしれない。 法哲学を学ぶ人のガイドになりうる。 著者のいうことで、そりゃそうだと思えるのが、 法律があって、どのようなケースでも一辺倒...
かなり優しい言葉で各種主要な文献をテーマごとに説明してくれているのはありがたい。この本を元に、ホッブズ・ロック・ルソーの原著に当たるのもありかもしれない。 法哲学を学ぶ人のガイドになりうる。 著者のいうことで、そりゃそうだと思えるのが、 法律があって、どのようなケースでも一辺倒に適用していいわけではないし、実務上でそのようになされているわけでもない。 ということ。それは、色んな人が法について様々な議論を重ね、突き詰めればどれも直観としておかしな結論に至ることを鑑みて、改めてそう思わされる。 裁判が裁判官という人間によって行われる理由も、システマティックに法適用を行い難いから、という点にあるのだろう。 道路は左車線走行というのは調整問題で、殺人を犯したものは刑法にて処罰されるというのは禁止を定めている。 道徳と法は、必ずしも一致せず。 法の論理から、法の正統性まで、捉え方の視点が広がる良書だった。
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西洋に起源を持つ、法と国家、道徳をめぐる学説の整理。喩えが分かりやすく、学説の整理もこんな簡単でいいの?というぐらいさらりとしている。法思想史入門の副題通りの内容。 ・カントの『永久平和論』に先立って、ルソーは『社会契約論』で同様の議論をしていた。人民武装、国家間同盟、国家解消...
西洋に起源を持つ、法と国家、道徳をめぐる学説の整理。喩えが分かりやすく、学説の整理もこんな簡単でいいの?というぐらいさらりとしている。法思想史入門の副題通りの内容。 ・カントの『永久平和論』に先立って、ルソーは『社会契約論』で同様の議論をしていた。人民武装、国家間同盟、国家解消。 ・立憲主義は、憲法を通じて国家を設立すると同時に、その権限を限定する。限定することがなぜ必要かと言えば、多様な世界観を抱く人びとの公平な共存を可能にするために、公私を区分し、国家の活動範囲を公の事柄に限定するため。 ・プレコミットメント:憲法、結婚 ・個々の政策の実現よりもマニフェストを掲げて闘う方が効果的。 ・直接民主制よりも間接民主制の方が賛成率が低くて良い。
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著者は、本業が憲法学で、法哲学、法思想史は専門外でありながら「自分が読みたい内容の本を専門家に書いてもらえないので自分で書いた」と豪語されていて、まさに長谷部節、全開。いつもながら自信にあふれて中身の濃い本です。 http://d.hatena.ne.jp/yasu-san/20...
著者は、本業が憲法学で、法哲学、法思想史は専門外でありながら「自分が読みたい内容の本を専門家に書いてもらえないので自分で書いた」と豪語されていて、まさに長谷部節、全開。いつもながら自信にあふれて中身の濃い本です。 http://d.hatena.ne.jp/yasu-san/20111012
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・法を権威authorityとして扱う実践的理由 …よりよい知識/調整問題/囚人のジレンマ状況 →比較不能の価値のなかでは強制する客観法秩序が必要(カント) ・政治的決定の限界…公私の区分論(立憲主義) →権力分立/違憲審査制度/硬性憲法(プレコミットメント) ・ケルゼンや...
・法を権威authorityとして扱う実践的理由 …よりよい知識/調整問題/囚人のジレンマ状況 →比較不能の価値のなかでは強制する客観法秩序が必要(カント) ・政治的決定の限界…公私の区分論(立憲主義) →権力分立/違憲審査制度/硬性憲法(プレコミットメント) ・ケルゼンやハートは事実として従っていることを指摘しているだけ →なぜ従うかを問うていない…よりよい知識/調整問題 →一般的な法律の妥当性は論じえない…適用違憲 ※ドゥオーキンでは弱すぎるが、カントでは強すぎる
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帯の、「こんな国の法にどうして従うのか?」という文に惹かれて購入。 法について、国家の成り立ちから民主政まで広く述べられています。節々にドキリとする引用や解説があって、面白かったです。とはいえ文章が少し難しい気がしました。法について考える最初の一冊として良書だとは思うのですが、...
帯の、「こんな国の法にどうして従うのか?」という文に惹かれて購入。 法について、国家の成り立ちから民主政まで広く述べられています。節々にドキリとする引用や解説があって、面白かったです。とはいえ文章が少し難しい気がしました。法について考える最初の一冊として良書だとは思うのですが、本当に初心者の自分が最後まで読み終えるのは結構大変でした。哲学や思想を扱っているのしょうがないのでしょうけど。
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法思想史入門とあるが、法哲学・政治哲学の分野も含む入門書であって、この本の後に、法哲学、法思想などを読むべきかなと思います。 1部では、国家とはどのようなものか、理由や価値があるものとして、ホッブス、ロック、ルソー、カントなどの社会契約の思想についての解説。 2部では、国家と...
法思想史入門とあるが、法哲学・政治哲学の分野も含む入門書であって、この本の後に、法哲学、法思想などを読むべきかなと思います。 1部では、国家とはどのようなものか、理由や価値があるものとして、ホッブス、ロック、ルソー、カントなどの社会契約の思想についての解説。 2部では、国家と法の結びつきとして、法と道徳、法の支配、法と国家などの問題などを、ケルゼル、ハート、ドゥーオーキンなどの解説。 3部では法の仕組みとしての民主制や多数決などについての解説。 それぞれは、法哲学の領域、①法の一般理論(法システム)、②法価値論、③法律学的方方法論 にあたるので、思想史とともに哲学ともに関連があると思う。哲学なのか歴史(思想史)なのかの分類の違いなのではないかと思う。 とりあえずとっかかりの入門書としては、具体例などもふくめて読みやすいと思う。著者は憲法学者だそうだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「実は適用違憲についての本っすよ。」などと,某試験で多分憲法が1位のヤツに言われたので,若干意識しながら読んだ。 確かにポツリポツリと伏線を張っているように思った。憲法が得意じゃないので,深いところはさておき,「いい本である」ことは間違いないと思う。 ザインとゾルレンの記述の部分なんかは,某試験の答案でよく見かけるダメ原因のヒントだと思う。
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自分の進むべき道を考えていて、行政という選択について改めて考えてみようと思った時に書店で見つけた本。 政治哲学(国家の役割)→法哲学(法の意義)という構成で、法哲学は理解が不十分ですが、政治哲学の方は新たな発見もありました。 著者は、国家の役割として、①優れた知識により正しい判断...
自分の進むべき道を考えていて、行政という選択について改めて考えてみようと思った時に書店で見つけた本。 政治哲学(国家の役割)→法哲学(法の意義)という構成で、法哲学は理解が不十分ですが、政治哲学の方は新たな発見もありました。 著者は、国家の役割として、①優れた知識により正しい判断を導くこと、②国民の意見が分かれているがどちらかの結論に決まりさえすればよい場合にそれを調整すること(調整問題:車の走行車線など)の二つであるとし、後者が主とします。しかし、行政は、対立し各当事者が主張を譲れないような事柄を、憲法をはじめとする価値や長期的な視点に基づいて調整するのでは?とまず思いました。本書で引用されている著者の『憲法の理性』を立ち読みしたところ、国家の3つ目の役割として、囚人のジレンマ状況の調整が書いてあり、実感としてはこれが大きいのではと思ったのが1つ。本書ではわかりやすくするためにこれも調整問題に含めているのかもしれません。なお、税額の決定も調整問題とされていますが、これは囚人のジレンマや上記の①ともいえ、公平性や適正な税収の観点から国家が決める側面があると思います。 2つ目は、ルソーが一般意思は天才が出現しないと到達できないと考えていたこと。しかし、カントも「人間性というねじ曲がった素材から完全にまっすぐなものを作り出すことはできない」といいつつも、だからこそ社会契約のもとで理想を追求すべき(するしかない)と考えていて、そこで国家の意義を再確認できたような気がしました。
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新書として気軽に読むには少し難しいし、入門書として読むには易しい。憲法制定権力の説明が特徴的で、法技術を駆使して、煙に巻く憲法の基本書にあるような説明とは異なり、誤魔化しがなく面白かった。
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