赤紙と徴兵 の商品レビュー
まず感心したのが、赤紙・徴兵のシステムがここまで緻密で高度なものだったということである。ITが進化するたびに議論になる国家による監視・管理の体制強化は、ITなどなくてもここまで緻密にできるのだということだ。 技術ではなく、国家の強い意志、国民への煽動と相互監視がそれを可能にし...
まず感心したのが、赤紙・徴兵のシステムがここまで緻密で高度なものだったということである。ITが進化するたびに議論になる国家による監視・管理の体制強化は、ITなどなくてもここまで緻密にできるのだということだ。 技術ではなく、国家の強い意志、国民への煽動と相互監視がそれを可能にしているのは言うまでもない。 本書のように焼却処分に逆らった方がいらしたおかげで、今、こうやって過去から学び、後世による歴史の判断が可能になっているが、IT化のもとでの国民監視で、それは可能だろうか。
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今も住民基本台帳と保護者の情報を自衛隊に提供している自治体があるのか。驚愕だ。◆日中戦争のころはまだ国民はイケイケドンドンの雰囲気だったと一般的にいうけど、兵隊にとられる数の多い農村では、そんなことはなっかったようだ。◆◆南京大虐殺も強姦も平気であったんだな。
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一兵事係が密かに残した記録から実体を精査する一冊。村役人の兵事係は赤紙配達だけでなく、対象の資質・技能も平時から調査し、死後は戦死報告も。末端の苦悩から浮かび上がる恐るべき生-権力。決して過去の話ではない。 著者が取り上げる兵事係の西邑さん(105歳で逝去)。敗戦時、軍から資料の焼却命令が出ていたにもかかわらず処分を拒否。妻にもその事実を知らせることが出系無かった。百歳を向かえ公開。その貴重な資料を著者は丁寧に読み解き、現代への教訓として伝える。 赤紙は恣意的な抽選によって「選抜」されるわけではない。軍が周到な計画(だから平時からの調査がある)のもとで発行し、人々を戦地に送った。そして兵事係は、戦死公報の伝達だけでなく葬儀なども担っていた。余儀なくされた職員の苦悩は戦後もなお続く。 いったいどのような仕組みのもとに日本の民衆は日常の生活から切り離され戦場に送りこまれたのだろうか。本書の分析は、国民と地意識社会がどのように戦争へ組み込まれ、それが「日常」へと錯覚させられていったのか、克明に浮き彫りにする。おすすめです。了。
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赤紙とか徴兵ってこういう仕組みだったんだ・・・と初めて知った。 国を挙げてがんじがらめになってて、当時だって戦争に反対する人は庶民レベルでも絶対にいたと思うけれど、こういう時代こういう仕組みの中で反戦なんてもししたいと思ってもすごく難儀なことだったんだろうなあ。
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所謂『赤紙』を配った、軍に従った人『兵事係』の実話。 国民が怒りそうな事は全て伏せて、今でいう『情報操作』万歳の世界。 本当なら、マル秘な事項なので 『敗戦決定』と共に全て燃やしてしまわなければいけない とお達しが来ていたにもかかわらず、 『燃やしてはならない』とずっと保管していてくれたお陰で現在に残っている。 コレは非常に貴重な資料である。 兵事係とは、非常に重い任務であり、そして憎まれたのではないだろうか? 軍としては非常にありがたい存在だったろう。 そこに住む人の個人情報ダダ漏れ。今では考えられない、正反対の世界。 個人の氏名、年齢、人柄から、年収やら性格、評判等全て記載されている。 ただ、軍に従うだけで『選定はどうやってしているのか判らない』というのが微妙な表現だと思う。 TVドラマを放映していたのを見て、コレが原作だというので読んでみた。 原文のママというワケではないがそれに近いカタチで載っている。 それを現代表記しているので、ある意味二重に書かれているのがちょっと面倒。 資料としては本当に重要な本だと思う。 ちなみに、兵事係をした西邑仁平さんは2010年105歳で亡くなられた。 最後まで戦争を忘れなかったそうだ。
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