女猟師 わたしが猟師になったワケ の商品レビュー
これは驚いた本。ハンティングする女性達のルポ、狩猟免許取り立ての新人から、全国でも珍しいプロの女ハンターまで、男の世界と思われがちな狩猟の世界にしっかりと位置を占めている元気な5人の女性たちの姿はすがすがしい。 中でも石川県の小松の山奥で、自分が獲ってきた獲物を中心とした郷土料理...
これは驚いた本。ハンティングする女性達のルポ、狩猟免許取り立ての新人から、全国でも珍しいプロの女ハンターまで、男の世界と思われがちな狩猟の世界にしっかりと位置を占めている元気な5人の女性たちの姿はすがすがしい。 中でも石川県の小松の山奥で、自分が獲ってきた獲物を中心とした郷土料理の店「狐狸庵」を経営しているおばあさんはすごい。この店はぜひ訪れてみたいものだなぁ
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本を購入する際に、どこの本屋で選ぶかというのは、非常に重要な問題である。なかでも大型の本屋を定期的にチェックするようになると、その面白みも増してくる。一方で腐れ縁のように切っても切れない存在なのが、自分の行動半径内にある小型店舗の存在である。わりと気のきいたフィルタリングをかけて...
本を購入する際に、どこの本屋で選ぶかというのは、非常に重要な問題である。なかでも大型の本屋を定期的にチェックするようになると、その面白みも増してくる。一方で腐れ縁のように切っても切れない存在なのが、自分の行動半径内にある小型店舗の存在である。わりと気のきいたフィルタリングをかけてくれる店舗が見つかると、大型店舗でうっかり見落とした本が、待ってましたといわんばかりに陳列されている状態に巡りあえる。 本書『女猟師』は、そんな小型店舗でばったり出会った一冊。それほど大きくもないスペースなのに、著者の前著『マタギ』と番いのように置いてあった。『女猟師』を手に取りレジの方へ向かいかけ、また戻って旧作『マタギ』にも手を伸ばす。本屋の罠に、はまった瞬間だ。決してタイトルを『女教師』と見間違えて買ったわけではない。 狩猟の世界は、伝統的に男社会である。それは狩猟という行為が肉体的にもかなり厳しく、常に危険と隣り合わせであるからだ。そのような現場において、一人で熊を追い、猪を撃ち、鹿を解体する女性たちもいる。本書に登場するのは、30代から60代までの女猟師たち。その実態を綴ったルポルタージュだ。ベテランからビギナーまで、そこに至るまでの動機やその生活もさまざまである。 あらかじめ申しておくが、本書は万人の人におススメできる本ではない。なにしろ写真がグロい。鹿の皮を剥いでいるところ、皮を剥ぎきって脂身の量まではっきりわかる猪、仕留めたばかりのカモの内臓など、血の飛び交った写真が盛りだくさん。購入にあたっては、写真をよく確認されてから検討されるのが賢明だろう。 しかし、この写真から目を背けて、肉を食べることだけに専念するということが、果たして誠実な行為なのだろうかとも思う。彼女たちが日々突きつけられている葛藤も、この問題に端を発する。「なぜ野生動物を殺すのか」、この問いは狩猟者が必ず受ける質問であるという。しかし、ある女猟師ははっきりとこう言う。 「食肉用で飼育される豚や牛と、山の中を歩き回る猪や鹿。どちらも同じ命なんです。その命を頂くことで私たちは自分の命をつないでいる。肉を単なる栄養としかみなさないで、パック詰めの向うにある命に感謝の念も抱かない。自分の手で命を奪い、解体し、感謝して食べる猟師のほうが命の尊さを知っていると思います。」 銃をかまえて獲物を狙うシーン、仕留めた獲物を掲げるシーン、そのような記述を目にすると、登場人物が女性であることを強く意識させられる。しかし、本書に込められた猟師の慈しみの心が、より魅力的に映るのは、女性を通しているからこそという印象も受ける。 きれいごとだけで済まされないのが、世の常だ。そして、描かれているのはどこまでもリアルな猟師たちの現実。「肉を食うのも楽じゃない」、そんな台詞が思わず口から飛び出るような読後感だ。
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