上林曉傑作小説集 星を撒いた街 の商品レビュー
日々の暮らしを題材にした作風で、表現が詩的で美しかった。特に、花の精、病める魂、星を撒いた街、この3作品が好き。
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表題作の他に「花の精」・「和日庵」・「青春自画像」・「病める魂」・「晩春日記」・「諷詠詩人」を収録。 いずれも妻の闘病・己や周囲の生活苦・文学界における交遊を素材とした私小説。劇的なエンターテイメント要素や社会に訴えるテーマといった“華”は無いが、ずっと読んでいたい、終わって...
表題作の他に「花の精」・「和日庵」・「青春自画像」・「病める魂」・「晩春日記」・「諷詠詩人」を収録。 いずれも妻の闘病・己や周囲の生活苦・文学界における交遊を素材とした私小説。劇的なエンターテイメント要素や社会に訴えるテーマといった“華”は無いが、ずっと読んでいたい、終わってほしくないと思わせる何かを湛えている。ささやかだが、夢中にさせ感嘆させる美しさ、とでも言うべきものか。 上林曉という作家だけでなく撰者の山本善行さんや、素敵な装釘で世に送り出してくれた夏葉社さんまでも一気に好きになった。純粋に小説を読みたい、文学を味わいたいという願望が形になった一冊。
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日常を描いた私小説。読んでいてとても心地の良い、温かさを感じた。作者は本当に人が好きなんだろうなという印象。人に興味を持ち、交流するシーン、そのやりとりがとても微笑ましくて好き。なので『和日庵』『諷詠詩人』『星を撒いた街』が心に残る。そして情景を描く表現がとても美しい。また読み直...
日常を描いた私小説。読んでいてとても心地の良い、温かさを感じた。作者は本当に人が好きなんだろうなという印象。人に興味を持ち、交流するシーン、そのやりとりがとても微笑ましくて好き。なので『和日庵』『諷詠詩人』『星を撒いた街』が心に残る。そして情景を描く表現がとても美しい。また読み直したい。
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装丁がすごく素敵な本。 上林暁、実はこの本を読むまでは詳しく知らなかった方でした。 淡々とした文章の中に感情の機微が見え隠れする素敵な文章を書く方でした。 特に心に残ったのは「病める魂」と「晩春日記」。 妻を想い、さまざまな思いを巡らす流れがすごく沁みました。
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作者の周囲に暮らし、あるいは通り過ぎていった、とうの昔にこの世を去っている人々の街での暮らしぶりが、夜空の星々を慈しむような文体で描かれています。
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久々に私小説を読みました。文章が本当に美しい。 上林さん初めて読んだのですが、読みやすくてすらすら進むんですけど表現の美しさに立ち止まることも多くて、独特の空気感がありますよね。 タイトルにもなっている「星を撒いた街」の、時間とともに表情を変える富士山の描写がとても好きです。風景...
久々に私小説を読みました。文章が本当に美しい。 上林さん初めて読んだのですが、読みやすくてすらすら進むんですけど表現の美しさに立ち止まることも多くて、独特の空気感がありますよね。 タイトルにもなっている「星を撒いた街」の、時間とともに表情を変える富士山の描写がとても好きです。風景をこんなふうに切り取って文章にできるんだ、って、美しさにびっくりしてしまった。 他の本も読みたくなってしまったので、手に取れそうなものから読んでいきたいなと思います。
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上林暁の作品は初めてだったけれど、曲線のように柔らかで繊細な文章は、ゆっくりとゆっくりと心に染みいる。とくに巻頭の作品「花の精」での景色の描写はたまらなく美しかった。
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石段の下で白河は叫んだ。 「抛って下さい。」 「抛るわよ。」妻君は力まかせにステッキを抛った。ステッキは一旦石段の途中で引っかかり、それからがらがらと音を立てて辷り落ちて来た。 「御免なさい。」と妻君はおどけて叫んだ。 「ありがとう。」白河は拾い上げて、埃を払った。 「また、いら...
石段の下で白河は叫んだ。 「抛って下さい。」 「抛るわよ。」妻君は力まかせにステッキを抛った。ステッキは一旦石段の途中で引っかかり、それからがらがらと音を立てて辷り落ちて来た。 「御免なさい。」と妻君はおどけて叫んだ。 「ありがとう。」白河は拾い上げて、埃を払った。 「また、いらっしゃいね。」 「また来ます。左様なら。」 「左様なら。」 白河は手で「失敬」の真似をしてから、坂を降りはじめた。坂の途中で振り返ると、妻君はまだ立っていた。 「左様なら。」白河は大きく叫んで、手を挙げた。 「左様なら。」向こうでも手を挙げた。 白河は涙が出そうになり、酒に酔ったような気持ちで、少し足許をふらふらさせながら、ポストのある角を曲がった。そこでは、夜業の印刷機の音があちらからもこちらからも湧き起っていた。 『星を撒いた街』
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上林暁(かんばやしあかつき)さんの作品は初めて読みました。昭和初期の小説家さんです。7編の作品が収録されています。特にご自身の奥様の病を取り上げた「病妻もの」と呼ばれる私小説は淡々と語られる中にも、妻への愛情がとても繊細に描かれています。個人的には「花の精」と表題作でもある「星を...
上林暁(かんばやしあかつき)さんの作品は初めて読みました。昭和初期の小説家さんです。7編の作品が収録されています。特にご自身の奥様の病を取り上げた「病妻もの」と呼ばれる私小説は淡々と語られる中にも、妻への愛情がとても繊細に描かれています。個人的には「花の精」と表題作でもある「星を撒いた街」の2作が心地良いため息が漏れるような読後感を味わえました。
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恭子ちゃんの本棚で発見。タイトルと装丁に魅せられて「読みたい」リストに入れていたもの。 とある小説を読了後、ふんわり考え事をしていたらこのタイトルがふと思い浮かんで読み出すことに。 (直接的な関連性は全然なかったんだけど、描かれている光景がどことなく被るっていう不思議さはあったん...
恭子ちゃんの本棚で発見。タイトルと装丁に魅せられて「読みたい」リストに入れていたもの。 とある小説を読了後、ふんわり考え事をしていたらこのタイトルがふと思い浮かんで読み出すことに。 (直接的な関連性は全然なかったんだけど、描かれている光景がどことなく被るっていう不思議さはあったんだよね。それがなんだかちょっとうれしい。) 文学少女でもなんでもなかったので、上林暁氏は知らず、もちろん初めて読んだ。 純文学っぽい? とてもおだやかでやさしい感じを受ける。 普段手に取らないようなジャンルで、読み続けるのは困難かなと思えたのに、するりと進んで、すっかりこの世界観が心地よくなっていた。 タイトルになっている「星を撒いた街」以外は、本人の目線の内容。「星を撒いた街」もどこかご自身に関連するものなのかもね。 全体的に細かな描写が、特に感情面で記述されている。その描写がするっと入ってくる。だから引き込まれるのだろうね。 月見草が咲き乱れる光景の部分が特にすごかった。読みつつ思い描くけど、本当にその光景を見てみたいなぁと思った。あの沸き立つ感情の記述はすごいね。激しく書いているわけではないのに、ちゃんと読み手に残る。 タイトルの光景も気になるけど、こっちがイチバンかな。 #「星を撒いた街」のあとがきなるものをいつか読みたい。
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