高台の家 の商品レビュー
中編が2つ入った本。表題作の方は現実にもそういう「サロン」がありそう気もしてきた。自分の手を使わない「殺人」としてもリアリティーがある。 主に中年女性が集まったアパートでの連続殺人を描いた後編はトリックよりも真犯人の造形がより際立っていたように思える。最後のページはゾクリとさせら...
中編が2つ入った本。表題作の方は現実にもそういう「サロン」がありそう気もしてきた。自分の手を使わない「殺人」としてもリアリティーがある。 主に中年女性が集まったアパートでの連続殺人を描いた後編はトリックよりも真犯人の造形がより際立っていたように思える。最後のページはゾクリとさせられた。
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「高台の家」「獄衣のない女囚」の中編二つ 再読、この前の時は「獄衣のない女囚」が面白しろかった記憶があり、今回は「高台の家」の方が興深かった。 解説者森村誠一氏の文章で「ストーリーに入る前の薀蓄が長いので、たどり着くときには脱力してしまうかも」と言ってらっしゃるようにプロロー...
「高台の家」「獄衣のない女囚」の中編二つ 再読、この前の時は「獄衣のない女囚」が面白しろかった記憶があり、今回は「高台の家」の方が興深かった。 解説者森村誠一氏の文章で「ストーリーに入る前の薀蓄が長いので、たどり着くときには脱力してしまうかも」と言ってらっしゃるようにプロローグが饒舌だ。主人公がその「高台の家」になぜ行くようになったかと「東洋史」の薀蓄、その家があるのは東京のどんな屋敷町か、そのお屋敷の形、周りの雰囲気等々、微に入り細に入りだ。しかし、清張好きにはその長い清張節が何ともたまらないということをあらためて思わされた。 それともうひとつは懐かしの昭和の風景に、昭和期を過ごしたものにとっては、どっぷりと浸かれるのもうれしい。 「高台の家」雑誌掲載は1972年、「獄衣のない女囚」雑誌掲載は1963年、ここがポイント。 「獄衣のない女囚」は女性専用のアパートメントが舞台。 古いアパートの部屋代が8千円、そこへいくとこの小説の女子公営集合住宅は6千円だから、3~40代のベテラン独身女性会社員の給料が3~4万円、電化商品や家具を揃えて優雅に暮らせるのだが、「女の楽園」ではなく「女の牢獄」かも、というストーリ展開。 などと数字を読むだけでも懐かしいのは、わたくしだけかな 笑 ***** 清張ミステリーの特色は、こんな悪いやつらが本当にいるのかとおもいながらも、等身大に描かれている登場人物に、ふと身の回りを見まわすような現実味があることである。 (中略) 現実は事実の中に噓がいっぱいはめ込まれているが、小説は虚構の中に、人間や人生の真実が鏤められている。 ***** 上はこの文庫の解説者森村誠一氏の文章、このPHP文芸文庫は1979年の文春文庫を底本に2011年に出されたが、その時に森村氏が書き下ろした解説。清張ファンを自認するだけあって素晴らしい読み取りだなあと、ご本人も大作家なのに失礼を顧みず言ってしまうよ。 「松本清張は戦後の昭和と共生したような作家であった。」 という森村氏の言葉、大いにうなづいた。
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かつて公営の独身アパートというものがあったということを初めて知った。 ストーリもいいけど、そういう昭和の匂いが感じられるからたまに清張を読みたくなるんだよね。
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最後まで油断ができない展開は、流石巨匠です。 時代設定が古いので、なんか道徳観念って変わったんだなぁと。
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なんだかね。 だらだら続く推理に、もういいよ。早く先に進んでよ。と思った。 こうかもしれない。ああなのかもしれない。そういえばこうであった。あのときはああであった。それを考えるとこうなのかもしれない。。。とエンドレス。。
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中編2作。どんでん返しを狙ったミステリーだが、さすがに時代がかっていて、今となっては驚きを覚える内容ではなかった。 当時としてはかなり先端的な風俗を描いたものと思われるが、今読むとかえって大仰な表現になってしまっていて、それがアンバランスで面白い。
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若く美しき未亡人が、張り巡らせた「罠」とは? 魅力ある「悪女」を描く中編2本!! 謎めいた家とミステリアスな女の秘密に迫る表題作と、 女だけのアパートで発生した殺人事件の真相を追う「獄衣のない女囚」を収録。 どちらともほぼ予想通りの展開だった。 このような事件は今となっては古い...
若く美しき未亡人が、張り巡らせた「罠」とは? 魅力ある「悪女」を描く中編2本!! 謎めいた家とミステリアスな女の秘密に迫る表題作と、 女だけのアパートで発生した殺人事件の真相を追う「獄衣のない女囚」を収録。 どちらともほぼ予想通りの展開だった。 このような事件は今となっては古いと思うが、構図の逆転のさせ方が上手い。 ミステリ:☆☆☆ ストーリー:☆☆☆ 人物:☆☆☆☆ 読みやすさ:☆☆☆
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12/08/25 森村誠一の解説にあるように、尾頭つきの小説は、それが楽し みの時もあるし冗漫になる場合もある。
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再読。 「高台の家」 老境にさしかかった夫婦と、早逝した息子の嫁が住む高台の家。その家では、青年たちが集まり、若く美しい未亡人を囲んで、夜な夜な芸術談義を交わされているようだ。 夫が亡くなって2年、嫁はなぜ婚家にとどまっているのか、老夫婦はなぜ嫁の行動を許しているのか。 設定の面...
再読。 「高台の家」 老境にさしかかった夫婦と、早逝した息子の嫁が住む高台の家。その家では、青年たちが集まり、若く美しい未亡人を囲んで、夜な夜な芸術談義を交わされているようだ。 夫が亡くなって2年、嫁はなぜ婚家にとどまっているのか、老夫婦はなぜ嫁の行動を許しているのか。 設定の面白さ。さすが松本清張氏。 「獄衣のない女因」 30〜40歳代で、独身というだけで、これほど人生に希望が無いように書かれなくてもと思うが、当時はそうだったのだろう。 当時のアパートの描写なども面白かった。 2012.8.24 「高台の家」「獄衣のない女因」収録。 女だけのアパートで発生した殺人事件「獄衣のない女因」、皆職業を持って自立して暮らしているのに、結婚をしてないというだけで、将来がないように思う、一昔前の考え方や設定が面白かった。
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