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贈答の日本文化 の商品レビュー

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2012/12/09

結婚当初、妻の実家で驚いたことがある。 とにかく物をくれるの。「いらない」って言っているのに、無理やり渡す。 最近では僕が本当に嫌がっているのをわかってくれたみたいでそんなことはないのだけどね。 で、本書の前半に、日本の贈答の具体例が載っていて、そこが妻の実家の地域だったのでびっ...

結婚当初、妻の実家で驚いたことがある。 とにかく物をくれるの。「いらない」って言っているのに、無理やり渡す。 最近では僕が本当に嫌がっているのをわかってくれたみたいでそんなことはないのだけどね。 で、本書の前半に、日本の贈答の具体例が載っていて、そこが妻の実家の地域だったのでびっくり。そうか、この地域は、典型的な贈答文化が根付くところだったのか、とちょっと納得した。 本書はそういった日本の歴史の概観を縦糸とし、文化人類学の見地から世界の贈答文化を横糸とし、双方から贈答文化一般の記述を織りなしている、という構成。いろんな分類の仕方はすっきりとわかりやすく、説得力があった。 ま、これを読むと、「互酬性」ってのはもう人間の本能と言っちゃっていいのかもしれないな。 ただちょっと不満なのが、互酬性がなぜあるのか、という考察が(僕の求める次元で)なかったということ。なんで人間って、だれかに物をあげたいとこんなに思うのだろう。そして物をもらったら、返礼したいとこんなに思うのだろう。 ここで僕の想像、というか妄想なのだけど、それは「自分の世界を拡張したい」という欲望があるから、ではないのかな。 かつて「自分の世界」にあったものが、「他人の世界」に行く。それはすなわち、自分の世界が拡張したことを意味する。だから物をあげたい。いや、物に限らず、「自分の意見」もあげたい。 僕は「自分の世界を拡張したい」、言い換えれば「もっと成長したい・もっと先に行きたい」ってのは人間の本能だと思うし、だから「互酬性」はその本能のバリエーションだという発想なのだけど、どうなんだろうね。 ま、いろいろ考えさせてくれる良書でした。

Posted byブクログ

2011/10/18

我が家には、贈答をめぐり、大きな戦いがあった。贈答は、負担になるからやめるべきだという主張と、人間の交流を深めるものだから、続けるべきだというものだ。どっちもどっちと思っていたら、どうやら、贈答は古くからの民俗文化、それに対し、明治維新や戦後という境目において、贈答に縛られないよ...

我が家には、贈答をめぐり、大きな戦いがあった。贈答は、負担になるからやめるべきだという主張と、人間の交流を深めるものだから、続けるべきだというものだ。どっちもどっちと思っていたら、どうやら、贈答は古くからの民俗文化、それに対し、明治維新や戦後という境目において、贈答に縛られないように、贈答をやめようという活動がされていたという。これらは生活改善運動と呼ばれ、明治時代は、たとえば、板垣退助、西郷従道らが、推進していたという。とにかく、我が家の戦いも、明治維新のころからのテーマであり、どちらが正しいとも決められないが、贈答は日本の民俗文化であり、そのエッセンスは大切にしたいと思った。

Posted byブクログ