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未曾有と想定外 の商品レビュー

3.9

30件のお客様レビュー

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2019/12/31

「未曾有と想定外」。畑村洋太郎。2011年講談社現代新書。 # 2011年の3月に、311が発生。恐らく出版社編集者と畑村さんで、急いで作り上げた一冊ではないでしょうが。 (畑村洋太郎さんは、数え切れない本を世に出していて、その中に一般向けのこうした新書本も星の数ほどあるの...

「未曾有と想定外」。畑村洋太郎。2011年講談社現代新書。 # 2011年の3月に、311が発生。恐らく出版社編集者と畑村さんで、急いで作り上げた一冊ではないでしょうが。 (畑村洋太郎さんは、数え切れない本を世に出していて、その中に一般向けのこうした新書本も星の数ほどあるのですが、ご本人が 「編集者がこういう本を作りたいって言ってきて、ライターさんの前で色々おしゃべりをするんだよ。そうするとね、そのライターさんと編集者で本を作って、「これでいいですか」って持ってくるんだ。俺は、本なんて一冊も書いたことないんだよ。はっはっは」 と、大らかに仰られています。こういうところが、なんというか、脱帽。) # 2019年4月に読んだ本。 震災が起こって、「未曾有の」「想定外」という言葉が、原発の事故についてもいっぱい使われます。 「そういう使い方は極めて責任逃れ。想定外に備えるつもりがあれば、大事故を防げた。みんな、騙されてはいけない」 というのが本書の趣旨ですね。 畑村さんは311以前から、三陸などの津波の歴史や危険については、確かに着目していたんですね。それなりに知ってる人は知ってる話ですが、貞観の津波まで視野に入れておけば、あの津波は想定できたんです。そして、備えておけば、原発であれだけの事故には、ならなかった。 つまりは、「まあ、誰も言わないから良いだろう」「そういうことになってるんだから良いだろう」「マニュアルに違反してないからいいだろう」 そういうことでは、原発みたいなものは扱ってはイカン、という。 311が起こってしまった後となっては、畑村さんの意見に反対するのは難しいですね。 そしてそんな安易なお役所仕事と思考放棄の中で「絶対安全ですから」という言葉が地元の人たちに語られたわけで。地元の人たちは、「未曾有も想定外も、全て視野に入れて、プロが考えた結果としての、絶対に安全」なんだと、当然思います。 でもそれが、そうぢゃなかった。 ということを、日本が、世界中の人々が目撃しました。 # 畑村洋太郎さんは、確か2011年5月からは政府事故調の委員長に就任しているはずなので、慌ただしくその前にこの本を作ったんでしょうね。 ↓この記事は、割と良く出来ています。↓ https://www.asahi.com/articles/DA3S14221896.html

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2019/09/07

「未曾有」と「想定外」、二つの言葉に隠れてしまった本質的な問題とは? 3月11日から原発事故調査委員会・委員長に就任するまでに、失敗学の視点から考えた大津波と原発事故。

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2018/10/12

いつの間にか人間は「力で自然に対抗できる」と考えるようになった。しかしそれは大きな誤解であり、自然の力は想像以上に強大で、人間が力で同じように対抗できるようなものでない。そのことを私たちは今回の津波から学ばなければならない。

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2018/12/31

「失敗学」の人、と思っていたけど、本書(震災の直後に発刊)に関しては、エッセイというか、地震津波についての小話集か。 防潮堤高のこと(6m位がいいとか)や、ボックス型の避難ボックスを400mおきに海岸に設けるとか(※海岸景観への配慮まるでなし)、あるいはスーパー堤防や大ダムの必...

「失敗学」の人、と思っていたけど、本書(震災の直後に発刊)に関しては、エッセイというか、地震津波についての小話集か。 防潮堤高のこと(6m位がいいとか)や、ボックス型の避難ボックスを400mおきに海岸に設けるとか(※海岸景観への配慮まるでなし)、あるいはスーパー堤防や大ダムの必要性をゲリラ豪雨と結び付けて説こうとするなど、一部に科学的な意味での怪しさもみられる。 ただところどころ考えさせられる記述も多く、ハードが備わる故のひとびとの危機感の薄れのことや、コンプライアンスとは法令遵守ではないということ等、印象に残った。 個人的には、様々なリスクファクターについて横断的に考察してみたいとも思ったし、甚大なリスクがあるからといって必ず対策を事前にとるべきとも言い切れないんだよなぁとも思った。 なお、幸田文『崩れ』と、寺田寅彦『天災と国防』はぜひ読みたい!と思った。こういう、読みたい本を知れる本はいい。

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2018/01/02

未曽有と想定外。 この言葉は、原因をあいまい化し、分析する雰囲気をなまらせる。原因を分析していくには、冷静に事実のみを予断なく先入観を排除した心で行わねばならない。ということがよくわかる。ひざを打ちました。

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2018/10/31

津波は「高い波」というより「速い流れ」であり、速度は秒速30m、時速100km(「津波災害」河田惠昭)。人間の力は0.1馬力、馬は1馬力、建設機械は100馬力だが、自然に力で対抗するのはほとんど不可能。自然と闘うのではなく、自然と折り合うことが重要。 3年で個人が忘れる。30年...

津波は「高い波」というより「速い流れ」であり、速度は秒速30m、時速100km(「津波災害」河田惠昭)。人間の力は0.1馬力、馬は1馬力、建設機械は100馬力だが、自然に力で対抗するのはほとんど不可能。自然と闘うのではなく、自然と折り合うことが重要。 3年で個人が忘れる。30年で組織が忘れる。60年で社会が忘れる。 原発反対派の存在が原子力村の結びつきを強固にした面がある。その結果、内部で懸念を指摘する声は黙殺され、危ないことを想定して準備することができなくなる。共同体が独自の論理、文化で動いていることが根本の原因だった。 八ッ場ダムは1947年のカスリーン台風の被害の経験から、首都圏を水害から守るために計画されたもの。首都圏や近畿圏の6河川で整備するスーパー堤防は、外側の法面の勾配を緩やかにするものだが、全体の6%しか進んでいない。民主党の事業仕訳で「廃止」となったが、長期的な展望に欠ける。 利根川は江戸時代に東に流れるように付け替えたが、地形は水が南に流れるようになっている。2003年にアメリカを襲ったハリケーン「カトリーナ」と同規模の台風が関東を襲った場合、隅田川上流の北千住あたりで越流し、千代田線の入口から流れ込み、東京中の地下鉄をすべて水没させるおそれがある。 首都圏で大地震が発生した場合に心配されることとして、液状化現象によって地下鉄が地中に取り残されること、首都高速の一本足の橋脚が倒れること、地下自動車道の火災をあげている。

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2013/08/09

遅ればせながら、読みました。傾聴すべきことが多く書かれています。勉強になりますね。積ん読解消キャンペーン中です。

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2013/01/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

東日本大震災を「失敗学・危険学」という観点から考えている本です。タイトルにもある、「未曾有・想定外」という言葉は東日本大震災以降、頻繁に聞くことになった言葉です。 人はなぜ失敗をするのか、という問いに対し一つの解として、人間は忘れるということが挙げられます。もちろん忘れることは、悪いことではありません。すべてを覚えておくということは、不可能です。この「忘れる」ということに抗うように、昔の大災害を忘れぬようにと津波遡上高を刻んだ石碑等を先人たちは残してくれていました。確かに、この津波遡上高の値には意味がないのかもしれません。それより高い津波や低い津波が襲来した所もあるかもしれません。しかし、「このぐらいの高さの津波が来たことがある」というようなメッセージをしっかりと教訓として活かしきれていたかというと疑問が残ります。勿論、東北の方が津波の避難訓練やハード面などでも教訓を活かしきれた所も多いでしょう。しかし、東電はどうでしょうか。東電が頻りに使っている「未曾有・想定外」という言葉は、いろいろあったであろう教訓を活かしきれなかった、東電の言い訳のようにしか聞こえません。 東日本大震災発生から間もなく2年になろうとしています。(2013年1月現在)テレビでも、めっきり震災の報道が減ってきた気がします。起きてしまったものは、後戻りができません。「忘れる」ということを実感することができます。しかし、本文中に寺田寅彦の文章の引用として挙げられているように、「自然ほど伝統に忠実なものはないのである」とあるように、いつか大きな地震が再びやってくるはずなのです。その時に「未曾有」の災害とならないよう、我々がやるべきことはたくさんあるはずである、と感じさせられました。

Posted byブクログ

2012/11/15

著者は失敗から学ぶ「失敗学」の第一人者。 このたびの東日本大震災において、福島原発事故調査検証委員会の委員長に就任する直前に、それ以前に知りえた情報とそれに関する見解をまとめた一冊となっています。 タイトルの「未曽有」も「想定外」も、できるならば使いたくない言葉。 "...

著者は失敗から学ぶ「失敗学」の第一人者。 このたびの東日本大震災において、福島原発事故調査検証委員会の委員長に就任する直前に、それ以前に知りえた情報とそれに関する見解をまとめた一冊となっています。 タイトルの「未曽有」も「想定外」も、できるならば使いたくない言葉。 "今回の災害で、政府や東電が「未曽有」と「想定外」という言葉を頻用したのはよろしくない。それは責任放棄である。危機対策において想定外はありえない"とする氏の意見を、政府は今後の危機管理の参考にしてもらいたいものです。 三陸海岸のスーパー堤防など、災害に「備える」から「対抗する」に対策の中心が移っていったとの指摘にははっとしました。 自然の威力には、人はとうてい対抗できないものだということを、今回思い知った私たち。 方向の転換が必須です。 職業に徹して貴重な命を落とした被災者を、美談としてまとめることへの警鐘も鳴らしています。 そうした人たちをみすみす死なせてはいけないし、残酷なようながら、誰かのために「とも連れ」の形で犠牲者を出すのもいけないとのこと。 優しさと命が天秤にかけられます。 人を、命をさらした土壇場でそうした究極の選択に悩ませないような社会を作っていくことも肝心です。 過去何度となく大津波に襲われ、甚大な被害に見舞われながらも、それでもその土地を去ることなく住み続ける人々。 それだけ魅力ある三陸の海沿いで、命を落とすことなく安全に暮らしていくにはどうすればよいのか。 恐怖が薄まる前に考え、方向性を決めてしまうことが肝要でしょう。 そもそも回転ドア発祥のヨーロッパでは『軽い』ことが安全を担保する重要な用件ながら、日本に導入された時には、安全性よりも材質の立派さの方が重視され、ドアの重量は重くなり、センサー頼みになったと知りました。 そうして起こった六本木ヒルズでの回転ドア挟み込み事件。 優先事項を変えてしまったことによる悲劇だったということです。 東日本大震災で、福島麺須賀川市にある農業用ダム藤沼湖が決壊したことをこの本で知りました。 ダムが決壊したのは、日本で初めてだったとのこと。もっと大々的に取り上げられてもよい問題ではないかと思います。 頻発地震も最近では減少し、被災地以外の人々は通常生活に戻ったかのように思えますが、どんな形であれ東海地震も南海地震も必ずやってくると著者は言います。 規模がわからない来たるべき大地震に備えて、今回の恐怖が薄れないうちに、反省を生かしていくのが被害を抑える道でしょう。 想定外のことが起こってしまった今回の災害。 次回は、もう想定外の事態ではないよう、家でも職場でも社会でも今から対策を取っていくことが必要だと、改めて思いました。

Posted byブクログ

2012/07/06

津波や原発事故についてだが、中身は具体的な問題点よりも「いかに『減災』を実現するか?」「災害への危機感を持ち続けるには?」といった、幅の広い話が多かった印象。

Posted byブクログ