五つの箱の死 の商品レビュー
歴史的名作『ユダの窓』の次作は、HM卿の登場の仕方でもわかるように、波乱に満ちた怪作。カーは、怪奇や密室が無くとも、一度読んだら忘れられない鮮烈で異様な不可能状況を構築してくれている。とはいえ、真の見どころは「五つの箱」や挿話をとっぱらって曝け出される、白眉のトリックと驚愕の犯人...
歴史的名作『ユダの窓』の次作は、HM卿の登場の仕方でもわかるように、波乱に満ちた怪作。カーは、怪奇や密室が無くとも、一度読んだら忘れられない鮮烈で異様な不可能状況を構築してくれている。とはいえ、真の見どころは「五つの箱」や挿話をとっぱらって曝け出される、白眉のトリックと驚愕の犯人。これだけで本書を読む価値はあるというもの。一方で、トリックとサプライズに振り切った分、抜けが多いのはご愛嬌。このバカらしさこそ、カーのうま味なのかもしれない。
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毒殺のトリックもちょっと考えれば見当がつく。犯行の動機が入り組んでいて分かりにくい上に、どれもこれも取って付けた感が否めず、意外な犯人ではあるが、意外なら良いというものではない。HM卿も、初期の作品だからか、あまりふざけたことはせず、おとなしい。 何より訳の古さ、固さに閉口した。...
毒殺のトリックもちょっと考えれば見当がつく。犯行の動機が入り組んでいて分かりにくい上に、どれもこれも取って付けた感が否めず、意外な犯人ではあるが、意外なら良いというものではない。HM卿も、初期の作品だからか、あまりふざけたことはせず、おとなしい。 何より訳の古さ、固さに閉口した。 文庫化されていないし 改訳もされていない理由がよくわかる作品。HM卿ものではCクラス。
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被害者のとある秘密が 犯人解決への鍵ともなる作品。 しかしその秘密はまあ 「異常趣味」としか言いようがありませんな。 トリックは単純明快なのです。 だけれども文章でそのほうへの嫌疑が かからないように見事に誘導されており 結局は当初示唆された手順で 推理せざるを得ないという巧妙...
被害者のとある秘密が 犯人解決への鍵ともなる作品。 しかしその秘密はまあ 「異常趣味」としか言いようがありませんな。 トリックは単純明快なのです。 だけれども文章でそのほうへの嫌疑が かからないように見事に誘導されており 結局は当初示唆された手順で 推理せざるを得ないという巧妙さ。 そして犯人のほうも 推理が困難という 見事してやられる構成。 この手の事件だからたぶん…という 常識はこの作品ではあきらめましょう。 裏切られます。 しかしH・M卿は今回は 割とおとなしい、かと思ったら ある場所でひと暴れしてますし(苦笑)
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H・M卿シリーズ 研究室を出たサンダース博士が呼びとめられたのは見知らぬ女性マーシア。父親を探す手伝いを頼まれるサンダース。フェリックス・ヘイの部屋。毒を盛られた4人。殺害されたは1人フェリックス・ヘイ。毒を盛られ意識を失っていた3人ブライストン卿、シンクレア夫人、シューマン。3人のポケットに入れられた時計、石灰、目覚ましの部品などの秘密。消えたファーグスンという男。殺害されたヘイはは5人の人間の犯した犯罪の証拠を握っていた。弁護士であるチャールズ・ドレイクに預けられた五つの箱。消えた箱。シンクレア夫人の死んだはずの夫の正体。H・Mとサンダース、マーシアの目の前で殺害されたファーグスン。ファーグスンの正体。毒はいつ盛られたのか?それぞれの犯した犯罪とは?エジプトで起きた火事の秘密、貴族の盗癖、保険金詐欺。強請られていたと思われる「ジュディス・アダムス」の正体。 2011年2月28日読了
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