怪談和尚の京都怪奇譚 の商品レビュー
2019/9/4 読了 いつのまにか信じなくなった迷信、言い伝えを改めて見直すきっかけになる。昔は信じていたのに、何も思わなくなった。大人になったのか、感情がにぶくなったのか、、。
Posted by
現役のお坊さんが語り、記した怪談集だけあって、近所のお寺で怪談を聴いているような趣があり、他所の作品と比べて温かみがあり、恐怖感よりも親近感が持てる作品。 第一章の冒頭で【色即是空 空即是色】の話があります。『色』とは「物質(有るもの)」、『空』とは「空虚(無いもの)」のこ...
現役のお坊さんが語り、記した怪談集だけあって、近所のお寺で怪談を聴いているような趣があり、他所の作品と比べて温かみがあり、恐怖感よりも親近感が持てる作品。 第一章の冒頭で【色即是空 空即是色】の話があります。『色』とは「物質(有るもの)」、『空』とは「空虚(無いもの)」のこと。「有るものは無いもの 無いものは有るもの」つまり、「有るものと無いものは同じもの」という仏教用語です。 例えば「心」は物質(色)ではありません。では「心」は無いもの(空)かと問われれば、問われた者全員が「いいえ」と答えるでしょう。この時点でその人は「有るものと無いものは同じもの」、同等のものと認識していることになります。 「物質(有るもの)」を『目に見えるもの』、「空虚(無いもの)」を『目に見えないもの』に置き換えれば、「見えるものと見えないものは同じもの」ということになります。 例えば、『物質』は「元素の塊」ということを学校では教わります。更に元素は原子の塊で、原子は更に陽子、電子、中性子の塊、そして陽子と電子は素粒子の塊と教わります(中性子は寿命を迎えるとベータ崩壊を起こし陽子に変化します)。つまり、『物質』は「素粒子の塊」だということです。「物質」は目には見えますが、「素粒子」は目には見えません。ですが、素粒子は原子を形作り、原子は元素を形作り、元素は物質を形作る。正に「見えるものと見えないものは同じもの」です。「自分には見えない。だから存在していない。」という認識は誤っているということになります。 『見えるもの』は「自分が体験したこと」、『見えないもの』は「自分が体験していないこと」に置き換えることもできます。「自分は体験していない。だから心霊はない。」という認識は、決して悪いことではありませんが、こうした怪談集を読むことで、「自分には見えないもの」「自分は体験していないこと」を知り、感じ、認識し、大切にすることは、心に潤いを与え、視野を広くする。私は、そう思います。
Posted by
住職という立場でこのようなお話をするのはとてもプレッシャーがかかることだと思う。 しかしこの世の中には科学では解明できない不思議なことはまだまだたくさんありそれをすべて解明したところで解決だといくわけでもないと感じる。 だからこそ負の要素となりうる死をこのような物語で...
住職という立場でこのようなお話をするのはとてもプレッシャーがかかることだと思う。 しかしこの世の中には科学では解明できない不思議なことはまだまだたくさんありそれをすべて解明したところで解決だといくわけでもないと感じる。 だからこそ負の要素となりうる死をこのような物語で紡ぎながら人の心に訴えかけられる立場にいる住職は本当にうらやましい。
Posted by
怖い話を集めた怪談集に終わらず,死後の世界の在り方を教えてくれるところはさすが和尚!感動的な話もあり,何度も読み返したくなります。科学で証明できない世界を信じない方もぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
Posted by
全部がショートショートなので、もう少し長めのガッチリ怪談も読んで(聴いて)みたくなる。 が、話数は多く収められているし、よー出来た話やなあ、と感心させられることもしばしば。 住職でありながら、適度に世俗に塗れた感のある三木大雲氏の親しみやすい人柄がよく分かる語り口も面白い。
Posted by
- 1
- 2