黒揚羽の夏 の商品レビュー
Amazonの紹介より ピュアフル小説賞「大賞」受賞作! 離婚協議中の両親の都合で、祖父のいる東北の田舎に預けられた千秋、美和、颯太。 町に台風が訪れた日、美和は水たまりに映る不気味な女の姿を見る。 それが不可解な事件の始まりだった。 押入れから出てきた六十年前の日記、相次ぐ少...
Amazonの紹介より ピュアフル小説賞「大賞」受賞作! 離婚協議中の両親の都合で、祖父のいる東北の田舎に預けられた千秋、美和、颯太。 町に台風が訪れた日、美和は水たまりに映る不気味な女の姿を見る。 それが不可解な事件の始まりだった。 押入れから出てきた六十年前の日記、相次ぐ少女の失踪、奇妙な映画のフィルム…… 交錯する現在と過去に翻弄されながらも、千秋たちは真相に迫る。 圧倒的な世界観で全選考委員を魅了したピュアフル小説賞「大賞」受賞作。 妖しくも美しいひと夏のミステリー。 ミステリー?ファンタジー?ホラー?など色んなジャンルが混ざり合って、良い意味で不気味さの残る作品でした。 冷静に考えると、ヤバイ町でしたが、町に関する様々な謎を解いていく少年少女達の活躍が面白かったです。 小中学生とは思えない推理力に圧倒されました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「ジュブナイルだから…」と勝手に決めつけていた予想よりもずっとダークな内容でビックリ。あまりにもいろんなモチーフやネタを盛り込みすぎた欲張りな作品。土地特有のカミ?が出てくるところとか、千秋がカッツンの誘いを拒みこの世界に留まることを伝える場面(p244〜)とかは、先日読んだ梨木香歩『家守綺譚』『冬虫夏草』も思い出した。ところでササキはいったい何年生まれの何歳だったのかちょっと混乱(最初20代半ばに見えると書いてあったはずだが1975年の事件当時6歳とある)というか、そもそもこの物語の現在はいつだったのか…意図的なものかもしれないがさまざまな不可解を満載したまま閉じられる物語。
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ジャンルというものにハマりきらないというのはその通りだと思う。文章にも苦が無い。でも大事なところで中途半端に空想が混じって割り切れないので、どうせなら全編その割り切れなさで押し切って欲しかった。
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とにかく変な感情になる小説でした。ポプラ文庫ピュアフルってウソでしょう。読後、違和感や気持ち悪さがあるけど、シリーズがまだあるなら読んでみようかなと思う変な気分が不思議です。 内容は、夏に東京から田舎にあずけられた兄弟が不思議な出来事や事件に遭遇し、町の人と探検する話です。(こう...
とにかく変な感情になる小説でした。ポプラ文庫ピュアフルってウソでしょう。読後、違和感や気持ち悪さがあるけど、シリーズがまだあるなら読んでみようかなと思う変な気分が不思議です。 内容は、夏に東京から田舎にあずけられた兄弟が不思議な出来事や事件に遭遇し、町の人と探検する話です。(こう書くとポプラっぽい)
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SFマガジン2021年6月号「異常論文特集」で倉数茂の「樋口一葉の多声的エクリチュール――その方法と起源」という、文学論にしか見えない怪奇小説に魅せられて、著者のデビュー作であるこちらの作品を読んでみた。 すごく好きだった。 七重町という東北の田舎を舞台に、三きょうだいが事件...
SFマガジン2021年6月号「異常論文特集」で倉数茂の「樋口一葉の多声的エクリチュール――その方法と起源」という、文学論にしか見えない怪奇小説に魅せられて、著者のデビュー作であるこちらの作品を読んでみた。 すごく好きだった。 七重町という東北の田舎を舞台に、三きょうだいが事件に遭遇する物語。美和にはどうやらこの世ならぬものを感知する力があるらしく、それを起点にして60年前から相次いできた少女失踪事件や、鉱山の町だったこの土地の悲しい歴史が掘りおこされていく。 ありありとしたリアル感のなかに、怪異やファンタジーが忍び込んでくる。その手ざわりがとても好み。七重町シリーズを順番に読んでみるつもり。つぎは「魔術師たちの秋」。
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離婚協議中の両親の都合で、母の田舎に来た千秋たち三人のきょうだい。水たまりに映る女の姿、拾った携帯電話に掛かって来た不気味な内容。そして携帯電話の持ち主の少女が死体となって発見される。それは押し入れから見付かった60年前の少女の日記によく似た状況だった。 様々な要素がこれでもか...
離婚協議中の両親の都合で、母の田舎に来た千秋たち三人のきょうだい。水たまりに映る女の姿、拾った携帯電話に掛かって来た不気味な内容。そして携帯電話の持ち主の少女が死体となって発見される。それは押し入れから見付かった60年前の少女の日記によく似た状況だった。 様々な要素がこれでもかと詰め込まれた作品です。 長男千秋とその妹美和には他人に知られたくない心の内があり、両親は離婚間近。これだけでもひとつのYA作品として成り立つでしょうが、そこに古い日記の内容と酷似した少女失踪殺人事件が起こり、怪奇的現象も起こり、車泥棒やら、それを調べる姉妹やら、奇妙な映画フィルムやら、千秋と友人とのやり取りやら、町の権力者やら、なんやらかんやら。 この要素は必要なのか?と思うほどに、詰め込めるだけ詰め込まれています。それが最終的にそれぞれが絡み合うことでしか成し得なかった、ひとつの作品として形成されているのです。 なんて贅沢な作品。なんて贅沢な読書。 切り取り方で見えてくるものは変わりますが、どの側面もこの作品を支えるものとなっている。この構成力に感服しました。 YAという切り口は、あらゆる作品を俯瞰して行なうことができるのでしょう。だから面白い。 もちろん元々10代の読者を想定されて書かれているものも多くあります。しかしそれだけに留まらないYAという括り。これを求めてあらゆる本に接していくのです。
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圧倒的な情景を見せてくれるミステリ。 なんだこれ。どうしてこんなに情景描写がうまいのだ。 家庭の事情により、子供たちが田舎にやってくる。そこで出会う不思議な出来事と不気味な事件。子供たちはそれに興味を持ち、謎を解こうとするのだが……というミステリ。ミステリなのかジュブナイ...
圧倒的な情景を見せてくれるミステリ。 なんだこれ。どうしてこんなに情景描写がうまいのだ。 家庭の事情により、子供たちが田舎にやってくる。そこで出会う不思議な出来事と不気味な事件。子供たちはそれに興味を持ち、謎を解こうとするのだが……というミステリ。ミステリなのかジュブナイルなのかわからない。いやどちらでもいい。幻想小説かもしれない。 ストーリーや構成を楽しむというより、読んでいて楽しいという本だった。逆に言えば文章に魅力がありすぎて、他の要素に目が行きにくいのかもしれない。
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両親の不和の為に田舎の祖父の元へやって来た三人と最強の武闘派少女ペアの、水死体の発見等が絡む一夏の出来事。六十年前の日記に引き込まれた。たっぷりの水が滑らかに流れ込むようで、暗さよりも瑞々しく、自然体で無理のない、独特の幻想的な雰囲気が心地好い。錯綜する物語をしっかりと掴む為には...
両親の不和の為に田舎の祖父の元へやって来た三人と最強の武闘派少女ペアの、水死体の発見等が絡む一夏の出来事。六十年前の日記に引き込まれた。たっぷりの水が滑らかに流れ込むようで、暗さよりも瑞々しく、自然体で無理のない、独特の幻想的な雰囲気が心地好い。錯綜する物語をしっかりと掴む為には読み返しが必要そう。
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著者のデビュー作。 『名もなき王国』が良かったので慌てて既刊を買ったのだが、どうも入手困難になりつつあるようだ。在庫があるうちで良かった。 ピュアフル小説賞はジュブナイルの賞だったようだが、余りジュブナイルっぽくはない。どちらかというと若さを追求したのは多少無理があったのではない...
著者のデビュー作。 『名もなき王国』が良かったので慌てて既刊を買ったのだが、どうも入手困難になりつつあるようだ。在庫があるうちで良かった。 ピュアフル小説賞はジュブナイルの賞だったようだが、余りジュブナイルっぽくはない。どちらかというと若さを追求したのは多少無理があったのではないか、とは感じるのだが、内容は面白かった。
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離婚で揉める両親の話し合いのため、 田舎の祖父の家に預けられた子供達。 何もない何の変哲もない町で起こる誘拐事件に、 子供達は巻き込まれていく。 最初のくだりが少し冗長だけど読み進めると 夏の田舎独特のけだるさと閉塞感。 現れる奇妙な住人達が結構癖になっていた。 現在起きて...
離婚で揉める両親の話し合いのため、 田舎の祖父の家に預けられた子供達。 何もない何の変哲もない町で起こる誘拐事件に、 子供達は巻き込まれていく。 最初のくだりが少し冗長だけど読み進めると 夏の田舎独特のけだるさと閉塞感。 現れる奇妙な住人達が結構癖になっていた。 現在起きている事件を町の歴史から調べたり ある意味地に足の着いた捜査をするので、 俗に言う少年探偵団モノとしてもイライラせずに読める。 主人公の妹がスピリチュアルらしく色々な夢を見るせいで 「これミステリと見せかけたホラーかな?」と 思ってたら、ちゃんとミステリでした。 子供の好奇心と、よくわからない物に怯える恐怖感、 そして閉塞感の中にある冒険を読みたい方は是非。
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