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“わたし"を生きる の商品レビュー

4.4

7件のお客様レビュー

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2017/06/03

ジェンダーの視点をもったインタビューの名手が、綾戸智恵、上野千鶴子、宇津木妙子、木皿泉、北原みのり、北村明子、北村道子、澤田知子、長与千種、夏木マリ、野田聖子、萩尾望都、林文子、風神ライカ、本谷有希子、山田詠美といった女たちを書いている。著者の真骨頂らしいが周囲の人物、しかも幼な...

ジェンダーの視点をもったインタビューの名手が、綾戸智恵、上野千鶴子、宇津木妙子、木皿泉、北原みのり、北村明子、北村道子、澤田知子、長与千種、夏木マリ、野田聖子、萩尾望都、林文子、風神ライカ、本谷有希子、山田詠美といった女たちを書いている。著者の真骨頂らしいが周囲の人物、しかも幼なじみや家族、行きつけの店など、その人の「それ以前」や「それ以外」を知っていそうな人の話も聞いているところが素晴らしい。 登場する人々は2つに大別できると思う。女であることを意識しながらやってきた人と、意識しないでやってきた(と話す)人。でも、いずれにしても自分で自分の道を拓いてきた人たち。それも今となってはこともなげに、やりたいことをやってきた、道の開けるままにやってきたという。でも、著者の文章からは葛藤したりぶつかったり、岩や茨の道を拓いてきたのだと思わせる。 かなり偏見まじりの見方だが、男だったらこうだったろうか――と思う。もっとティピカルに自分のやりたいことをできる道への進み方が先人たちによる既得権益としてできているのではないだろうか。 これは、本書を読んだ直後に生演奏のジャズバーに行って思ったこと。ジャズマンたちは見事にジャズ“マン”だけだった。会社勤めじゃない、趣味が高じて仕事になっているような職業でも、それなりに食べていける道が男たちにはできているような気がしたのだ。対して、生活のための仕事をしながら稼げない好きなことを大切にしている女たちがけっこういる気がする。それどころか、好きなことをする余裕がない人すらも。

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2013/10/27

281.04 上野千鶴子(のみ婦人公論掲載)、写真家澤田知子、元ダイエーCEO林文子、長与千種、萩尾望都、木皿泉、北原みのり、山田詠美、本谷有希子…AERA「現代の肖像」に掲載されたもの

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2013/06/19

いやもう熱い。ページから熱気が立ちのぼってくるようだ。先行作に当たる「この国で女であるということ」を読んだときの、強烈なパンチをうけたような感じが長く残っていて、これはなかなか読めなかったのだ。好きだとは言えないのにずっと忘れられない希有なシリーズ。 島崎さんのインタビューは、...

いやもう熱い。ページから熱気が立ちのぼってくるようだ。先行作に当たる「この国で女であるということ」を読んだときの、強烈なパンチをうけたような感じが長く残っていて、これはなかなか読めなかったのだ。好きだとは言えないのにずっと忘れられない希有なシリーズ。 島崎さんのインタビューは、本人だけでなく周辺にも徹底的に取材することで知られているが、いったい対象一人にどれだけの時間と労力が注ぎ込まれているのかと思う。こういうのを読むと、通り一遍の取材記事なんか読んでられなくなる。 山田詠美、夏木マリ、綾戸智恵、萩尾望都、上野千鶴子…、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。有名人ゆえ知っているような気になっていた人が、生身の体で、声で、迫ってくるようだ。誰にだって、その人が生きてきた上での悩み苦しみがあるのは当たり前だが、突出した才能を持ち、人並み外れた努力をしてきた人たちというのは、その陰影が濃いものだなあと思う。空恐ろしくすらある。どの人も、何かが過剰であり、何かが足りない。 それでもやはり心うたれるのは、「女」として生まれたことでぶつかる葛藤に、世代が違っても共通したものがあって、そこに共感するからだろう。みんな戦っていて、みんなどこか痛々しい。凡人はとてもこの人たちのように戦えないが、その「戦意」は共有できる。読みとばすことのできない重さは、そこあたりから来るのだろう。

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2020/07/13

主にAERAの「現代の肖像」に書かれたものをまとめた本。取材時から10年ほど経っているものも多いが、そういう時間の経過はあまり気にならない。 取り上げられているのは、作家、俳優、ジャズシンガー、漫画家、CEO、演劇プロデューサー、議員、学者、プロレスラー、スタイリスト、脚本家...

主にAERAの「現代の肖像」に書かれたものをまとめた本。取材時から10年ほど経っているものも多いが、そういう時間の経過はあまり気にならない。 取り上げられているのは、作家、俳優、ジャズシンガー、漫画家、CEO、演劇プロデューサー、議員、学者、プロレスラー、スタイリスト、脚本家、写真家、プロボクサー、劇作家…等々。 本を読んだことがあったり(これが一番多い)、ライブへ行ったことがあったり、作品展を見たことがあったり、講演を聞いたことがあったり… 登場する人たちのことを全く知らないわけではないものの、ご本人がどう「〈わたし〉を生き」てきたかは、ほとんど知らない。 その知らないところが、ぐぐっと書いてある。 萩尾望都のことばが、いまの私には残った。「自分で女の子はこうであらねばと縛っていたと、指が教えてくれました。作品を描くことは考えること、考え続けることで解放されてゆきます」(p.60)とか、「創作とは、古い世界や古い自分を壊し続けることです」(p.63)とか。 ▼結婚をせず、子供を産まず、漫画を描いて生きてきた。現実社会でも少しは楽に呼吸できるようになったが、自分がこの世界の中心から外れた場所にいるという淋しさが消えることはない。 「でもね、異端のしんどさは時に武器になる。みんな、そのしんどさを胸に掲げて生きればいい。世界は変わります」(p.63) むかーし読んだ、同じ著者の『女学者丁々発止!』を久しぶりに読みなおしたくなった。 (5/31了)

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2013/03/02

朝日新聞でメディアについてのコラムを書いている方の書籍。特に女性評論が多いようだが、書籍としては寡作の人のようだ。朝日のコラムは短い文章で、うならせる一言が多いが、これは主に「アエラ」に掲載されていたものらしく、抑えた筆致の文章が目立つ。ただ個性的な女性を個性的に表現している文章...

朝日新聞でメディアについてのコラムを書いている方の書籍。特に女性評論が多いようだが、書籍としては寡作の人のようだ。朝日のコラムは短い文章で、うならせる一言が多いが、これは主に「アエラ」に掲載されていたものらしく、抑えた筆致の文章が目立つ。ただ個性的な女性を個性的に表現している文章は好ましい。

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2011/09/14

山田詠美、萩尾望都、木皿泉の三者に興味があり、この部分のみを読了。いずれも家族を含めた他者との「関係性」の持ち方が特徴的というルポになっている。八方美人的な上手い世渡りとは縁のなさそうな方々とは思っていたが、やはり。生み出すものに奥行き感を感じさせる作者の感性は、この世では生き難...

山田詠美、萩尾望都、木皿泉の三者に興味があり、この部分のみを読了。いずれも家族を含めた他者との「関係性」の持ち方が特徴的というルポになっている。八方美人的な上手い世渡りとは縁のなさそうな方々とは思っていたが、やはり。生み出すものに奥行き感を感じさせる作者の感性は、この世では生き難くなるのが必定なのでしょうか。

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2011/07/11

山田詠美、夏木マリ、長与千草、・・・「前例」なんて関係ない、自分が生きたいように生きる!を貫いてきた女性たちへのインタビュー。自分の道を切り拓いてきたということは、当然それだけの傷も負っている。そしてだからこその美しさ、言葉の重さ。大部分がAERAの記事であり、古いものは10年以...

山田詠美、夏木マリ、長与千草、・・・「前例」なんて関係ない、自分が生きたいように生きる!を貫いてきた女性たちへのインタビュー。自分の道を切り拓いてきたということは、当然それだけの傷も負っている。そしてだからこその美しさ、言葉の重さ。大部分がAERAの記事であり、古いものは10年以上も前のものだったりする。巻末に彼女たちの「2011年現在」が添えられているのも興味深い。読み始めたら止まらなくなり、一気読み。

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