佐川君からの手紙 の商品レビュー
佐川君、というのは 1981年の猟奇殺人「パリ人肉事件」の犯人 佐川一政のことだ 白人女性を自宅に招き、猟銃で射殺して、その肉を食らった 身長151cmの小柄な男である 黄色い小男が、暴力と死でもって白い大女を支配する そんな物語を作品化するにあたり 会見に招いた新聞記者たちの...
佐川君、というのは 1981年の猟奇殺人「パリ人肉事件」の犯人 佐川一政のことだ 白人女性を自宅に招き、猟銃で射殺して、その肉を食らった 身長151cmの小柄な男である 黄色い小男が、暴力と死でもって白い大女を支配する そんな物語を作品化するにあたり 会見に招いた新聞記者たちの前で、劇作家の唐十郎は みずからの祖母の話ばかり語ったという 「長崎六神丸」という、かつて存在した居酒屋では 死体とサシで酒を飲ませるというサービスがおこなわれていたらしい そこで本物の死体に混じって 死んだフリをしていたのがうちのばあちゃんなんだよと 事実とも妄想ともつかない言い伝えであるが そのように生と死の区別が失われた母系的世界を 佐川君のドメスティックバイオレンスに対置することで なにかが清められるとでも思ったのだろうか? しかしそれは甘い考えだ 佐川君には佐川君の事情と意思があってそれをおこなったのだから 「それがどうした」と一笑に付されておしまいだろう なにより一番の問題は 佐川君の、独善的ながらも濃密な愛の世界に対して それが嫉妬、やっかみからのちょっかい出しに見えてしまうことである 1982年の芥川賞を受賞した
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日本人留学生がオランダ人女性を殺して遺体の一部を食べたっていうパリ人肉事件に着想を得た作品。普通だった。これといって感想も出ず。元になった事件にもそれほど興味が沸かず。 あとがきで表紙の絵についての補足が書かれていたのは良かった。
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正直、意味不明な小説だった。 結局、なんだったの、という感じ。 全体的に暗い感じで、大した盛り上がりもない。 小説なのか、ドキュメントなのかも、よくわからない中途半端な感じ。 まあ、そういう小説ではないと言われれば、そうかもしれないが、やっぱり意味不明。
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筆者と佐川一政との手紙のやりとりと、筆者自身の妄想が入り乱れて、現実味のない浮遊感が漂います。 佐川一政と紐付いたことによる筆者の物語であって、事件に興味をもって読むとだいぶあてが外れます。 カニバリスムを強調した帯に騙されました。 (あ、私にそんな癖はありませんよ?誤解な...
筆者と佐川一政との手紙のやりとりと、筆者自身の妄想が入り乱れて、現実味のない浮遊感が漂います。 佐川一政と紐付いたことによる筆者の物語であって、事件に興味をもって読むとだいぶあてが外れます。 カニバリスムを強調した帯に騙されました。 (あ、私にそんな癖はありませんよ?誤解なきように) テーマのインパクトから手に取ってみましたが、すこぶる読みにくい。 誰の台詞なのか、誰の描写なのか、それが狙いのか、とにかく迷う。 イシスとの結び付けは興味深いですが、私はこの文体を好きにはなれませんでした。
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1981年パリで実際に起こった日本人留学生佐川一政による“カニバリスム”事件。 この事件は当時日本を震撼させた。その猟奇性において。 オランダ人女性を殺害し、その肉を食するという犯行者に、 素朴な感心を抱き手紙を送った作者唐十郎(演出家でもある)。 そして犯行者から実際に届いた...
1981年パリで実際に起こった日本人留学生佐川一政による“カニバリスム”事件。 この事件は当時日本を震撼させた。その猟奇性において。 オランダ人女性を殺害し、その肉を食するという犯行者に、 素朴な感心を抱き手紙を送った作者唐十郎(演出家でもある)。 そして犯行者から実際に届いた返信文と、続くやりとり。 これはけして猟奇的な犯行を肯定している訳ではなく、 またカニバリスム人格を分析したお話ではない。 当時の私がこの本を手に取ったのは、こんな猟奇的な犯行を犯した人間が どんな返信を書いてきたのか、どんな文章なのか、手紙として成立しているのか、 狂人なのか、性格破綻なのか‥‥大いに興味を持ったから。 巻末に実際に獄中の佐川一政から届いた手紙文の写真も載っているので この小説が“虚構”でないことがわかる。 しかし作中、虚と実がないまぜになって幻想的な深みにはまっていくのはなぜなのか。 内容が特異なだけに味わったことのない読後感を得た記憶がある。 (佐川一政は後に日本に帰国し余生を送った) 納得の芥川賞受賞作品。
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