チェルノブイリ診療記 の商品レビュー
菅谷昭『新版 チェルノブイリ診療記 福島原発事故への黙示』新潮文庫。 東日本大震災の前まで日本人の多くは、まさか日本で原発事故が発生するとは考えずに原発が産み出す電力の恩恵に預かっていたのではなかろうか。未だに原発事故の直接的な原因については地震や津浪や、人為的なミスなど様々な...
菅谷昭『新版 チェルノブイリ診療記 福島原発事故への黙示』新潮文庫。 東日本大震災の前まで日本人の多くは、まさか日本で原発事故が発生するとは考えずに原発が産み出す電力の恩恵に預かっていたのではなかろうか。未だに原発事故の直接的な原因については地震や津浪や、人為的なミスなど様々な推測が飛び交うだけで、何らの決着を見ていない。さらには事故直後から現在に至るまで政府や原子力関係組織は原発事故による健康被害など無かったかのような対応に終始するという有り様。同じレベル7のチェルノブイリ原発事故という反面教師を知っていながらだ。 本書は医師で甲状腺の専門家である菅谷昭さんがチェルノブイリ原発事故の医療支援をきっかけに、ベラルーシのミンスクで甲状腺治療にあたった際の記録である。 チェルノブイリ原発事故当初、事故の事実は住民に隠蔽され、ヨウ素剤の配布が遅れたため、5年目から重度汚染地域で子供の甲状腺異常が目立ち始める。そして、10年目には甲状腺異常値が通常の100倍にまでなったようだ。 これまでの日本の動きを見る限り、福島やその近隣地域で同様の事態が起きるのではあるまいかと非常に気掛かりである。
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チェルノブイリ原子力発電所事故後、ベラルーシに甲状腺被害の治療のため赴いた医師の体験談。フクシマ事故以後に出された新版で、新章が付加されている。ロシアの医療設備・人材教育・技能などの問題点を述べつつも、甲状腺がんなどで倒れていく同地の人々(特に貧困層)に涙する著者に心打たれる。被爆と甲状腺がん発症のメカニズムにも触れられており、著者の医師らしい目線が光る一書である。
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2011年、福島第一原子力発電所の衝撃的な事故が発生した時、対句のやうに語られたのが、その丁度25年前に起きた「チェルノブイリ」の事故。 いくつかの出版物も復刊されたのですが、かういふ便乗商法は嫌だなあと、手に取ることはありませんでした。しかしなぜか本書は家に有りまして、例外的に...
2011年、福島第一原子力発電所の衝撃的な事故が発生した時、対句のやうに語られたのが、その丁度25年前に起きた「チェルノブイリ」の事故。 いくつかの出版物も復刊されたのですが、かういふ便乗商法は嫌だなあと、手に取ることはありませんでした。しかしなぜか本書は家に有りまして、例外的に一気に読んだ一冊であります。 著者の菅谷昭氏は、チェルノブイリ事故が起きた当時、信州大学に籍を置く外科医でした。氏は、何故だかはつきりしないが、自分は外科医として本来の道筋から外れ、あらぬ方向へ進んでゐるのではと考へてゐたさうです。これをいかに修正し、自分は何をすることによつて満たされた生に浸れるのかを、多分悶悶としながら模索してゐたのでせう。 そこへ、チェルノブイリの事故が起きます。氏は、放射能汚染による健康障害について思ひを馳せました。「この事故は今後おそらく甲状腺障害の著しい増加をもたらすだろう」(P35)と。そしてそれは氏の専門分野であります。 自分の専門知識が役立つかも知れぬと考へた時、もう氏はチェルノブイリの救援活動に参加せんと決意してゐたのでした。悶悶としてゐた自分に、「これだ!」と託宣でも受けたやうに感じたのでせうか。 ウクライナの隣国ベラルーシで数回にわたる検診の後、遂に氏は現地での滞在を決意します。約25年間勤めた信州大学を後にし、極寒のベラルーシの首都・ミンスクへ。 原発事故発生の事実がしばらく隠蔽されてゐたため、汚染地域の人々は普段と何ら変らぬ生活を続けてしまつた。結果、甲状腺がんを発病した子供たちが続出したと。 一番の犠牲になつたのは、やはり弱い立場の子供たち。手術を前に気丈に涙を堪へる子、恐怖から泣き出す子、親から離れやうとしない子......しかも不十分な施設での手術。日本でならば一度で済んでしまふ手術が、ここでは二度三度とくり返される。いっそう子供たちの身体への負担は大きく伸しかかるのであります。 ベラルーシでの医療現場の実態は充実したものとは言へず、衛生上も問題があり、医療器具についても切れないメスや鋏を無理やり使つてゐました。日本ならば、とつくに捨てられる道具類であります。 看護師たちスタッフの待遇も悪いので、ほとんどが他でアルバイトなんかをして、医療に専念できる状態ではないと。時間が来たら即帰るので、緊急の手術なんかは出来ませんな。病院側の都合で、突如手術を中止することもあるさうです。すべては予算がないためだからとか。 ところがその一方で、国立のバレエやオペラの劇場は贅を尽くした作りで、まことに金をかけてゐるのを見て、菅谷氏は憤りを感じてゐます。文化芸術を重視するお国柄なのか、経済不況に喘いでゐる国の施設とは思へなかつたとか。 五年半に亘るミンスク滞在を終へて、2001年に著者は日本に帰国します。本書はあくまでも外科医としての視点から医療現場を語つてゐますが、控へ目ながら日本の原発政策についても提言がなされてゐます。本人が言うふやうに、本当にすぐにでも取りかかれることばかりなのですが、政府はお金にならないことはしませんからね。財界が喜ばないことはしないのです。 それはそれとして、現地での医療チームとの交流や患者との触れ合ひ、非番時の街巡りなど、ほつとする話題の記述もありまして、深刻一辺倒の書物ではありません。万人向けの一冊と申せませう。 なほ、著者は現在、長野県松本市の市長(三期目)を勤めてゐるさうです。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-563.html
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日本人甲状腺外科医師が単身ベラルーシに渡り、医療活動をしたときの記録が書かれています。 タイトルだけだと、とても重苦しい内容のように思われるかもしれませんが、著者のユニーク且アイロニカルな文章が連なって読みやすいです。
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日本では起こらない事故。 そう、思っていたチェルノブイリ。 結局、同じくレベル7の事故が起き、その対応の真っ最中なのが、今。 この本の中で語られていることが、すべて日本に起こることだとは思えない。 ただ、少なからず、あの7年後にはでているかもしれない。 それには、まず、何が起きて...
日本では起こらない事故。 そう、思っていたチェルノブイリ。 結局、同じくレベル7の事故が起き、その対応の真っ最中なのが、今。 この本の中で語られていることが、すべて日本に起こることだとは思えない。 ただ、少なからず、あの7年後にはでているかもしれない。 それには、まず、何が起きているのか?今の段階はどんななのか?を怖がらずに知るべきだと思う。 ベラルーシの病院の状態は、読んでいて「うそでしょ?」と、思わずにいられないような部分もあった。 今現在は、もう少し進歩しているとよいのだが。。
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表題どおり、チェルノブイリの被ばくした子供たちに関する診療記録と、著者のセカンドキャリアへ踏み出すにいたった経緯から、その後のベラルーシでの日常生活記録など、短いながらも内容の濃い本だった。 恵まれている日本と、貧困のベラルーシ。両国を比較することや、両国で社会貢献している人々の...
表題どおり、チェルノブイリの被ばくした子供たちに関する診療記録と、著者のセカンドキャリアへ踏み出すにいたった経緯から、その後のベラルーシでの日常生活記録など、短いながらも内容の濃い本だった。 恵まれている日本と、貧困のベラルーシ。両国を比較することや、両国で社会貢献している人々の活動を知ることで、今後自分はどのように社会に貢献していくべきなのか考えるきっかけになった。
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真摯に、でも生き生きと楽しそうに。 社会への貢献、そして伝えること。 セカンドキャリアを、深く意識させられました。
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医師であり甲状腺の専門家であった著者が、チェルノブイリ原発事故での医療支援をきっかけに、勤務していた病院をやめ、ベラルーシのミンスクで甲状腺治療にあたった診療記。チェルノブイリ事故では事故発生が当初住民に隠され、ヨウ素剤の配布も遅れたため、重度の汚染地域では5年目から子供の甲状腺異常が目立ち始め、10年目をピークに甲状腺異常値は通常の100倍になったらしい。放射線の特に内部被曝は長期にわたり影響が出るのが怖い。 著者は現松本市長で、本書は福島原発事故を受けて新版で文庫化。
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(「BOOK」データベースより) チェルノブイリ原発事故の影響で甲状腺ガンになった子どもを助けたい―外科医菅谷昭は、ベラルーシに5年半にわたって滞在。貧弱な医療体制の中で数多くの子どもを救い、その手技は「奇跡のメス」と賞賛された。事故後、子どもたちの身に何が起きたのか。現地で綴っ...
(「BOOK」データベースより) チェルノブイリ原発事故の影響で甲状腺ガンになった子どもを助けたい―外科医菅谷昭は、ベラルーシに5年半にわたって滞在。貧弱な医療体制の中で数多くの子どもを救い、その手技は「奇跡のメス」と賞賛された。事故後、子どもたちの身に何が起きたのか。現地で綴った貴重な診療記に福島第一原発事故を受けての警告を加筆した、原発禍を最も深く知る医師による真実のレポート。 内容紹介 甲状腺外科医は、原発事故の放射能汚染地域で多くの子どもを救った――「レベル7」事故の悲劇を知る医師による貴重な記録と警告。
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旧ソ連時代のチェルノブイリ原子力発電所で起こった事故は、 子供たちに取り返しのつかないものを残した。 ソ連崩壊後に独立したベラルーシのミンスク。そこにある甲状腺 ガンセンターへ医療支援の為に渡った著者の見聞と、子供たちへの 思いがいっぱいに詰まっている。 国のシステムが異なる...
旧ソ連時代のチェルノブイリ原子力発電所で起こった事故は、 子供たちに取り返しのつかないものを残した。 ソ連崩壊後に独立したベラルーシのミンスク。そこにある甲状腺 ガンセンターへ医療支援の為に渡った著者の見聞と、子供たちへの 思いがいっぱいに詰まっている。 国のシステムが異なることもあるが、経済状況が悪化していたミンスク での医療の実態には唖然とした。 メスは切れない。手術中に下がってしまう手術台。手術数で評価される 為にベルトコンベア式に行われる多くの手術。消耗品の不足。看護師の 都合によって急遽中止される手術。そして、生活するには十分とは言え ない給料の為、医師でさえもアルバイトを余儀なくされる現実。 何よりも哀しいのは自分の運命を受け入れているのか、淡々と手術を 受ける子供たちの姿だ。 7歳の少年は手術台に乗ってから泣きじゃくり、「1回だけだよ」と 言って涙をこらえ点滴を受ける。しかし、彼は術後、目覚めることは なかった。 チェルノブイリのハート。原発事故の影響で甲状腺に異常が発見された 子供たちの首筋に残された手術痕。それは旧式の手術法。甲状腺手術 のスペシャリストである著者の手法では傷跡はほとんど目立たぬらしい。 医療行為については勿論だが、本書では支援の在り方や現地の人々との 交流も綴られている。 昨年の福島原発事故を受けての文庫化なのだが、チェルノブイリでの 事故が起こった時、「日本ではありえない事故」という見方が大半 だった。私たちはそんな考え方を反省しなくてはいけない。
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