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生物学的文明論 の商品レビュー

3.8

65件のお客様レビュー

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2023/02/08

生物学の専門家ということで全体に占める研究対象の話は多かったのですが、それが社会とどう結びつき、生物的な考え方を社会にどう活かすのか? という点がいくつかのセクタに分かれており考えされられました。

Posted byブクログ

2022/10/27

生物学の視点を通して現代社会に生きる人間のあり方を見つめ直す。なかなか良いことを仰っている。 サスティナブル社会を考えていくのに生物の知恵を知るのは重要。

Posted byブクログ

2022/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

例え話などをうまく使って、生物の性質をコミカルに説明する一方、時間や命など大きな観念を捉え直そうとする大胆さもあり、面白かった。 印象的だったのは、時間とエネルギーに関する記述。現代は、石油を燃やしてエネルギーを使い、恒常的な環境(温度も明るさも一定の環境)を作り出して生産性を高めている。しかし実はこの恒環境をひとつの環境問題と捉えるべきではないか(著者はこれを「時間を速める」と表現する)。私たちは、時間を速めることもゆっくりすることもできる。時間を意図的にデザインできる。私たちは時間というベルトコンベアに乗って運ばれているだけの存在ではなく、自らのエネルギーを使ってベルトコンベアを回す主体なのだ、と

Posted byブクログ

2022/08/30

本川達雄(1948年~)氏は、東大理学部生物学科卒、東大助手、琉球大学助教授、デューク大学客員助教授、東工大教授を経て、東工大名誉教授。専攻は動物生理学で、棘皮動物、特にナマコを主な研究対象にしている。「アロメトリー」(動物の各部分の大きさや機能を示す数値の間に成立する「べき乗」...

本川達雄(1948年~)氏は、東大理学部生物学科卒、東大助手、琉球大学助教授、デューク大学客員助教授、東工大教授を経て、東工大名誉教授。専攻は動物生理学で、棘皮動物、特にナマコを主な研究対象にしている。「アロメトリー」(動物の各部分の大きさや機能を示す数値の間に成立する「べき乗」の関係)という、日本でなじみの少ない学問分野を平易に解説した『ゾウの時間、ネズミの時間』(1992年)はベストセラーとなった。 本書は、著者が大学の一般教養科目で行ってきた生物学の講義をベースに、NHKラジオで連続講演を行った内容をまとめ、2011年に出版されたもの。著者の専門分野の研究内容を取り上げつつも、エッセイ風のとても読み易い文体・内容となっている。 目次は以下である。 第1章:サンゴ礁とリサイクル 第2章:サンゴ礁と共生 第3章:生物多様性と生態系 第4章:生物と水の関係 第5章:生物の形と意味 第6章:生物のデザインと技術 第7章:生物のサイズとエネルギー 第8章:生物の時間と絶対時間 第9章:「時間環境」という環境問題 第10章:ヒトの寿命と人間の寿命 第11章:ナマコの教訓 前半の共生、生物多様性、水資源、生物の形などの話も面白いのだが、私が特に興味深く読んだのは、後半の「スケーリング」(動物の、大きさが変わったら、体の各部分の大きさや機能がどのように変わるのかを調べる学問で、上記の「アロメトリー」とは、そこから導き出された一定の関係式のこと)を手掛かりにして、著者が展開した、以下のような生命観・文明論的な言説である。(私は『ゾウの時間、ネズミの時間』は既に読んでおり、そこにこそ本書の付加価値が見出せるし、著者が書名を「~文明論」とした意図もそこにあると思われる) ◆時間とエネルギー消費量の関係(エネルギー消費量に比例して時間が速くなる)から、生物は皆(ゾウもネズミもヒトも)、一生の間に心臓は15億回打ち、30億ジュール分のエネルギーを消費して死ぬ。それに基づけば「ヒト」の本来の寿命は40年で、事実、江戸時代の寿命は40歳代である。よって、ここ数十年で寿命は急激に伸びたが、それは技術が作り出した「人工生命体」とも言えるものである。 ◆上記の1サイクルは全ての動物に均しく、親→子→孫という世代交代の繰り返しの単位が寿命と見ることができ、それは真っ直ぐに流れ去っていく物理学の直線的時間とは別の、生物の「回る時間」と捉えられる。 ◆上記より、直接的生殖活動を終えた老後においては、広い意味での生殖活動、即ち、次世代のために活動をすることに意味を見出すべき。 ◆現代人は、社会活動において、エネルギーを使って(便利なものを作り、動かして)時間を速めているという意味で既に「超高速時間動物」となり、更に、エネルギーを使って環境条件を一定に保つ(クーラーや24時間営業のコンビニなど)という意味で恒温動物ならぬ「恒環境動物」となりつつある。 ◆現代人の大きなストレスの原因のひとつは、昔から変わらない体の時間と、桁違いに速くなっている社会生活の時間のギャップによるものと考えられる。社会的時間の考え方を見直すことができれば、精神的な健全性を取り戻すと同時に、温暖化・エネルギー問題の解決にもつながる。 生物とは如何なるものか、生物的に生きるとはどういうことかを、改めて考えさせてくれる良書と思う。 (2022年8月了)

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2020/12/12

18世紀に起こった産業革命から現代に至るまで、全ての「便利なモノ」、例えば機械や自動車・通信やコンピューター・さらには金融工学や貨幣経済までもが数学・物理学を背景とした「技術革新」による成果である事を認めつつも、その結果として人類が直面している環境破壊やエネルギー問題・高齢化社会...

18世紀に起こった産業革命から現代に至るまで、全ての「便利なモノ」、例えば機械や自動車・通信やコンピューター・さらには金融工学や貨幣経済までもが数学・物理学を背景とした「技術革新」による成果である事を認めつつも、その結果として人類が直面している環境破壊やエネルギー問題・高齢化社会や赤字国債などに対して、それらを生んだ数学・物理的な発想ではなく、生物学的に解決しようというユニークな講義。「生物は丸くて水っぽく、人工物は四角くて乾いている」・「生物はやわらかく、人工物は硬い」... あまりにも進歩した科学技術のために身動きが取れなくなった人類に、生物学的な処方箋を提言する。

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2020/08/14

生物からみた人間への視点、生物の多様性と偉大さ、リサイクル性、ゾウの時間とネズミの時間の進み方の違い、世のために働くとはどういうことかと色々なことが書かれている一冊であった。体重の3/4乗、時間は体重の1/4乗、生物学的時間、生物は円柱形、水の大切さ、食物連鎖、生物学的に考えると...

生物からみた人間への視点、生物の多様性と偉大さ、リサイクル性、ゾウの時間とネズミの時間の進み方の違い、世のために働くとはどういうことかと色々なことが書かれている一冊であった。体重の3/4乗、時間は体重の1/4乗、生物学的時間、生物は円柱形、水の大切さ、食物連鎖、生物学的に考えるとはどういうことか?3000万種の生物、水で化学反応、ATP、共生等我々が生物から見習うところは実に多くあると感じた。

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2020/07/06

スローライフという言葉は間違っていて、本当はそれこそが人間という動物が本来持っている「心地よい時間のスピード」と近いのだとしたら、スローライフこそライフである。

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2018/11/18

固いタイトルとは裏腹に、読みやすくて分かりやすい良著。 「生物学的発想で現代社会を批判的に見た」という著者の試みは成功していると思う。 後半は、著者が「説教じみてしまいました」と少し反省するほど批判に熱が帯びてきているけれど、まぁそれもアリ。

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2018/05/16

本川先生といえば!その親しみやすい文章以上に印象的なのが自作の歌ですね!! 今回の曲「ナマコ天国」は、けっこう長め。

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2018/03/26

数学・物理学的発想が、便利で豊かな社会を作り、同時に環境問題などの大問題をも生み出している。しかも、問題は解決されないばかりかどんどん深刻化していく一方である。しかし、生物学的発想をすれば解決の糸口がつかめるのではないか、という視点で考えが進んでいく。 技術と便利さを追求する数...

数学・物理学的発想が、便利で豊かな社会を作り、同時に環境問題などの大問題をも生み出している。しかも、問題は解決されないばかりかどんどん深刻化していく一方である。しかし、生物学的発想をすれば解決の糸口がつかめるのではないか、という視点で考えが進んでいく。 技術と便利さを追求する数学・物理学的発想よりも生物学的発想という提言や相対的な時間の考え方には納得させられる。やや哲学的ではあるが、生物の時間・寿命から、ヒトの人生に関する話には感心させられる。 生物の本質を理解し、生物学的発想で現代社会を見つめ直してみてはいかがだろうか。 (第2閲覧室 460.4||M)

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