ARAKURE あらくれ の商品レビュー
矢作&司城コンビの江戸時代ロードムービーみたいなお話。 グイグイ読まされるけど、こういう話は能天気な展開の前半の方が楽しかったりもする
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矢作と司城の名コンビといえども、時代小説はどうなのかな、と思う。というのはせっかくのレトリックに満ちた矢作エンターテインメントなのに、その肝心のレトリックが抜け落ちて、凡百の時代小説文体になってしまうのは、相当に興趣を削ぐ。 ただ彼らが書いてきた物語の世界が、もちろんそこに...
矢作と司城の名コンビといえども、時代小説はどうなのかな、と思う。というのはせっかくのレトリックに満ちた矢作エンターテインメントなのに、その肝心のレトリックが抜け落ちて、凡百の時代小説文体になってしまうのは、相当に興趣を削ぐ。 ただ彼らが書いてきた物語の世界が、もちろんそこにないわけではない。坂本竜馬や土方歳三と出会いつつ、義賊として駆け巡る男二人+女二人のコンビネーション、凶状持ちとして追跡され、追い詰められてゆく様などが、股旅版『明日に向かって撃て』となっているあたりは、転んでもたたでは起きない手練れたちの技であるのかもしれない。 あるいはレトリックに甘えずに王道から攻めてゆく自信のようなものなのか。彼らのかつての伝説の三部作という重みは最近の作品群にはないにせよ、体力勝負から技術主体へと転換を図った熟年ならではの味が滲み出てきているのっは確かである。 しかし、三人の幕末アウトローを描きながら、幕末という名の美化された政治闘争とその醜さのようなものを、新選組の拷問シーンなどに絡めて匂わせたりするあたりは、世界への矛盾に怒りを見せる矢作的側面か。 自分は在日日本人だ、と豪語する矢作は、維新以来の現代日本は、薩摩と長州に乗っ取られた被占領国であるとの意味を込めて、正義ではなく利害によって大政奉還が画策された歴史の裏に潜む真の醜さを暴いてゆく。そんな彼の、怒りの側面を感じさせる終盤が、何とはなしに文明への反骨を感じさせつつ、日本にしか属さない庶民である主人公たちの、個人的なもの悲しさを浮き彫りにして、ハードボイルドにつながる孤高の精神を語り継いでいる気がするのだった。
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矢作+司城コンビによる幕末クライムノベル! 装丁の イラスト...カッコいいよねぇ。様々過去の名作映画への オマージュが盛り込まれたという今作。もう随所に バリバリに映像化を想定したようなシーンや 台詞が盛りだくさん。エンタメ度高いです。 しがない渡世人「亮介」「欣蔵」がひょん...
矢作+司城コンビによる幕末クライムノベル! 装丁の イラスト...カッコいいよねぇ。様々過去の名作映画への オマージュが盛り込まれたという今作。もう随所に バリバリに映像化を想定したようなシーンや 台詞が盛りだくさん。エンタメ度高いです。 しがない渡世人「亮介」「欣蔵」がひょんな事で 手にする連射ライフルとピストル。人生の目標の ない2人がこの武器片手に始めたのが「股旅ギャング」 を名乗り、賭場ギャングから次第に義賊へと 変貌を遂げるクライムロードノベル。恐らく 読者は頭の中でシーンの構図や役者のキャスティングを しながら読んでいるんじゃないでしょうか? 作中の登場人物も坂本龍馬、清水の次郎長、 土方歳三、松平容保などが登場し、様々な 形で股旅ギャングに絡んできます。 前半はコメディタッチの渡世人情ものから 次第に「明日に向かって撃て」を経て、 ヒロインを巻き込んで「俺たちに明日はない」 へと流れていく、怒濤のエンタメ。 面白いんですが惜しむらくは、ページ数の 少なさと圧倒的な悪の対象の不在、そして もっと涙腺を崩壊されるような高揚感を あくまでも活字...で煽って欲しかった...かも。
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渡世人の亮助。侍にはなれない。近所の道場に通った。息子と剣ではいい勝負。事件に巻き込まれ、悪人を切り殺し逃げる。その晩、道場の娘と契る たまたま知り合った、喜蔵。賭場へ。勝つが負けた相手が中国人。 横浜で払う。ついて行く。暗がりで用心棒が切りかかってきた。 中国人から預り証と手紙をたくされる。港で受け取り人を探す。坂本竜馬が 偽名を使った。博打のかたの代わりに最新の鉄砲とライフルをもらう。 坂本に会いに千葉道場にいくと、同じ道場の男に会う。妹がきている。 婚約したことを知り、逃げ出した。 講釈師と知り合う。賭場GANGになる。最初はうまくいくが、人相書きが出回る。侍の人足にまぎれ逃げる。ついたのは妹の嫁ぎ先。見つかり泊まる。賭場GANGを探せと言われる。依頼は自分の夫の父を殺せ。 子供担当の女衒の元締めだった。長男の命の代わりに借用書を 預かり、子供たちを言えに戻した。GANGが危なくなったので悪商人から金を盗むことになった。喜蔵が犬をかまれる。廃業することに。最後の大仕事は財産を地元に戻す会津藩。ライフルで全員撃ち殺した。 喜蔵が撃たれて死んだ。実家を探し、金を置く。会津の追撃は厳しい 囲まれたのでライフルを撃ちながら馬で突破。腋を刺され、撃たれた。 気を失う。気がつくと寺。看病していのは妹。坂本が会いにくる。 芳之助(西郷)への密書をたくされる。京都で新撰組につかまる。 芳之助のアジトを見つけるために泳がせる、講釈師が機転をきかし釈放 新撰組からは逃れたが、会津に囲まれた。講釈師が説得に行ったがきられた。亮助と妹は一緒に飛び出す。会津の銃を浴びた。
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矢作俊彦、司城志朗のゴールデンコンビ復活第三作は、ちょっと虚を突いた時代物。 坂本龍馬やら、土方歳三が登場し、興を添える。 とは言え、物語の本質はいつもと同じよう。 うーん、この二人の合作ってどうなってるのだろう、どう分担しているのだろうってことばかりが気になって、いまいちスト...
矢作俊彦、司城志朗のゴールデンコンビ復活第三作は、ちょっと虚を突いた時代物。 坂本龍馬やら、土方歳三が登場し、興を添える。 とは言え、物語の本質はいつもと同じよう。 うーん、この二人の合作ってどうなってるのだろう、どう分担しているのだろうってことばかりが気になって、いまいちストーリーに乗りきれない。 読み終わってみても、まあ確かに「明日に向って撃て!」の二番煎じだわなぁ、というのが一番の感想。 いやいや、凡百の作家に比べれば十分面白いんですけどね。
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幕末、明日に向って撃て!の名に違わない 坂本龍馬所縁の銃を手に、江戸から京都まで、盗賊をしながらやりくりしていく道中記。当然、京都では新撰組が待っています。 歴史上の人物の登場のさせ方は、お約束的に楽しめます。特に主筋を邪魔せず、良い感じです。盗賊団も噺家が入ったり、女性が入ったりと、なかなか豊富な面子です。 物足りないのは、主人公の魅力と折角の東海道の風景です。横浜辺りまではそれなりに描けているのに、由比や清水、尾張はあっという間に通り過ぎたような。いっそ、明日に向って撃て!を換骨奪胎して翻案した方が良かったような。 う~ん。三十年来好ましかった矢作印とも、少し距離を置いた方が良いのかなぁ、「犬なら普通のこと」も、「百発百中」も、「エンジン」も何か合わない。読み返したくならない。 購入、今野書店(2011/06/23)
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