原始仏典 の商品レビュー

中村元(著者)

2012/10/11

スッタニパータやダンマパダなどを一冊にまとめたもの。
釈迦の教えは時代を経ることでずいぶんと変容してしまっているが、その根本となる部分はいつ読んでも鮮烈だ。
有名なミリンダ王の問いなどは、理解し難いことで知られる縁起の思想や空を理解するのにうってつけ。
全ては関係性によって生じる現象にすぎない、という教えは、科学の進歩によってその正しさが証明されている。
悟りを開くことによって心の痛みはなくなるが、身体の痛みが消えるわけではないという万能でない現実に即したところが仏教のほろ苦さだ。