香港の甘い豆腐 の商品レビュー
女子高生の主人公には生まれたときから父親がおらず、 思春期に突入し、「父親がいないこと」を全ての理由にして投げやりに生きている。 学校をサボっていることを知った母親が主人公を香港へ連れて行き、そこで父親と再会することに。 主人公の香港での日々と出会いを描いた青春旅情小説。 ...
女子高生の主人公には生まれたときから父親がおらず、 思春期に突入し、「父親がいないこと」を全ての理由にして投げやりに生きている。 学校をサボっていることを知った母親が主人公を香港へ連れて行き、そこで父親と再会することに。 主人公の香港での日々と出会いを描いた青春旅情小説。 環境を理由に甘ったれていることを主人公自身がよく分かっているのが伝わってきて、 なんだかほどよい苦さと甘さのある物語だった。 説教臭くないのもいい。 香港という土地のチョイスがすばらしいのだとも思う。 すごく香港に行きたくなった。 猥雑な空気にまみれたい。
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海外で生活することで今まで見えなかったものが見えるようになる、考えたこともなかったようなことを考える、単純に言ってしまえば成長するということだが、海外で生活したことのある人には共感して頂けるのではないだろうか。 本書の主人公「彩美」もその一人で、高校2年の夏に母親から連れられて...
海外で生活することで今まで見えなかったものが見えるようになる、考えたこともなかったようなことを考える、単純に言ってしまえば成長するということだが、海外で生活したことのある人には共感して頂けるのではないだろうか。 本書の主人公「彩美」もその一人で、高校2年の夏に母親から連れられて香港へ行くことになる。目的は今までいないと教えられてきたはずの実の父親に会うためであった。それまで、人付き合いが下手なのも、自分に自信がないのも、頭が悪いのも、溌剌としていないのも、夢がないのも、希望がないのも、全部父親がいないことのせいにしてきた彩美。学校をサボってることが母にバレて、そのことでグチグチ言われた時つい「どうせ父親も知らない私ですから」と言ってしまう。本文に直接は書いていないが、この時の母の心情を察するに、かなり傷ついたろうし、しかし同時に覚悟を決めることにもなったのだと思う。その証拠に普段休みなんて滅多に取らない母が急にエアチケットを握らせてきて香港に行くと言うのだから。 香港行きが決定した時も、飛行機に乗ってるときも父親に会える喜び、ワクワク感でいっぱいだった訳ではない。むしろ、まだ見ぬ父親に会う不安、香港という町に対する不安、そして香港に行ったら自分はどうなるんだろうという不安が感じられる。「ガッツよ、ガッツ。」 当初は4日間の旅程だったのだが、彩美は日本には帰らない、もっと香港にいたいと母に告げる。母の友人であるマリイの家に泊まることになり、マリイ、マリイの姪であるエミリー、エミリーの友人のテツヤ、そして彩美の奇妙な共同生活(といっても4人が顔を合わせるのは滅多にない)が始まる。最初こそ、香港という町の性質、そこに住む人々のことを理解するのが難しく感じる彩美であったが、徐々に順応していく様子が見て取れる。どこで会ったかわからない人から「おはよう」と言われても、「おはよう」と返すとか、「オレンジジュース!」と怒ってるように(実際に怒ってるわけではなく、広東語がそのように聞こえるだけらしい)ジューススタンドのおじさんに注文したりだとか、すっかり「香港人」になってるのだ。 父である「ロイ」と会うことで、そしてルームメイトであるマリイ、エミリー、テツヤと生活することで、彩美が何を感じたか、僕ら読者は短いながらもしかし濃密な一夏で人が成長していく様を追いかけることができる。そして、自分の人生なのに、自分がどこにいるのかさえわからない、そう思ってる人たちに自分を受け入れてくれる場所は必ずある、自分が自分らしく輝ける場所が必ずある、そんな希望を与えてくれる内容だ。 『虹色天気雨』、『ビターシュガー』では女性の友情を描いているが、本書『香港の甘い豆腐』では上述したように女性の成長を描いている。ただ、共通していることは周囲の人間を巻き込んでいて、「その輪の中に入りたい!」と読者を思わせてくれるような魅力的なキャラクターが溢れているということだ。本書では最後の方で、ちょこっと書いてあるだけだが、エミリーが日本留学を果たしたり、エミリーが帰省するときに祖母(この人がまた素敵!)が香港へ一緒に行ったり、そこで意気投合したマリイやテツヤが日本へ遊びに来たり、エミリーのパパやママや従兄弟や友達も来たっていうのだから、なんかこう賑やかさが伝わってきます。本書に書いてないけど、このノリでいくと、彩美もいつかはロイの両親がいるカナダに行くんだろうなと勝手に物語の続きを想像しています。 ちょっと余談ですけど、僕が大島さんの作品を好む理由の一つは「距離感」です。女性同士の友情を描くにしても、ベタベタしすぎないし、本書のような人と関わって成長していく物語でも、マリイたちが彩美になんでもかんでも手を差し伸べてはいない、その距離感。近すぎず、遠すぎずというような感じ。読んでいてとても気持ちがいい。
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人生をけだるく生きていた17歳の女子高校生が、お父さんのいる香港に無理やり連れて行かれ、香港の雑多な、エネルギッシュな雰囲気を好きになって、徐々に心を開いていく。香港のスターフェリーの夜景を最後に見て、タイムマシンのようだと言った。なんとなくわかる気がする。香港は、人を見ているよ...
人生をけだるく生きていた17歳の女子高校生が、お父さんのいる香港に無理やり連れて行かれ、香港の雑多な、エネルギッシュな雰囲気を好きになって、徐々に心を開いていく。香港のスターフェリーの夜景を最後に見て、タイムマシンのようだと言った。なんとなくわかる気がする。香港は、人を見ているようで見ていなくて、やさしそうで、冷たくて、二面性が常に共存する世界なのかも。
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(★★★より上の ★★★+ ) 香港の喧騒が彩美さんの価値観の素 ( みたいなもの ) を刺激したようだ。 下を向かず、ひたすら前だけを見つめて歩いてきた麻也子さんの強さと弱さと悲しみと大変さを少し感じたのかもしれない。
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僕はいま香港にいる。日本が嫌いで飛び出した訳では無いけど、香港で僕と同じように感じ、文にしてくれたような気がした。より人間臭い社会が香港にはある。
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こういう思春期の子がいろいろ悩んだり成長する話がすごく好き これも最初から最後まで爽やかな感じですーっと読めて良かった 都合よく進みすぎ、と思う人もいるかもしれないけど、これはこれでいいと思う 香港行きたいなー
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ずっと、女子高生が主人公かー、と敬遠していたのだが、まったく違和感なくおもしろく読めた。年齢とか立場とか関係なく、主人公の屈託にすごく理解できる感じで。読後感もさわやかで、月並みな言い方だけど、ほんと、元気がでる。香港に行きたくなった〜。わたし自身は旅行ってあまりしないし、たぶん...
ずっと、女子高生が主人公かー、と敬遠していたのだが、まったく違和感なくおもしろく読めた。年齢とか立場とか関係なく、主人公の屈託にすごく理解できる感じで。読後感もさわやかで、月並みな言い方だけど、ほんと、元気がでる。香港に行きたくなった〜。わたし自身は旅行ってあまりしないし、たぶん苦手だけど、旅とか外国の話が好きかもしれない〜。
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17歳女子高生。なんとなくいろんなことがうまくいかない。学校にも行かなくなってしまった彩美。全ての根源は父親がいないこと、と言ってしまったばっかりに父親に会いに香港に連れて行かれ…香港の猥雑な街角と、傍若無人なのに優しい人々と、美味しい食べ物に囲まれているうちにこんがらがった心が...
17歳女子高生。なんとなくいろんなことがうまくいかない。学校にも行かなくなってしまった彩美。全ての根源は父親がいないこと、と言ってしまったばっかりに父親に会いに香港に連れて行かれ…香港の猥雑な街角と、傍若無人なのに優しい人々と、美味しい食べ物に囲まれているうちにこんがらがった心がほぐれていく過程が優しく綴られる。17歳の頃、感じていたやるせなさのようなよるべなさのような言葉にできないもやもやがここにぎゅっと詰まっている。しかし彩美のおばあちゃんのステキなことといったら!
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香港に行きたくなった。“やる気のない思春期の少女”というところまでは共感できるのだけれど、お父さんが香港人で香港に連れて行ってもらえて、そこでの楽しい出会いが人生を変える・・・というところが、羨ましすぎて、現実には起こりえないこと過ぎて興醒めしてしまう。自分の気持ちの持って行き場...
香港に行きたくなった。“やる気のない思春期の少女”というところまでは共感できるのだけれど、お父さんが香港人で香港に連れて行ってもらえて、そこでの楽しい出会いが人生を変える・・・というところが、羨ましすぎて、現実には起こりえないこと過ぎて興醒めしてしまう。自分の気持ちの持って行き場がなくなってしまう。
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