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武田遺領をめぐる動乱と秀吉の野望 の商品レビュー

4.1

7件のお客様レビュー

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2021/11/22

天正壬午の乱を導入として小田原合戦までの期間を対象とした、旧武田領を中心とする諸勢力の興亡が詳述される。あまり馴染みのなかった中小勢力の動向が興味深く、戦国末期の社会転換について理解が深まったように思う。

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2020/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 織田信長によって武田が滅ぼされた後の武田の遺領は、織田信長がその後まもなく本能寺で倒れたことで、混乱した。甲斐、信濃、上野といった広大な地域である。  主役は、それらの周囲の徳川、北条、上杉であるが、真田などの国衆たち、そして秀吉が絡んできて目まぐるしく状況は変化する。これらが伏線となって北条滅亡につながり、それで混乱は収束するのだ。 戦国時代最後の戦国模様が繰り広げられたのだ。  この複雑な状況を細かく丹念に何が起きてどうなったかを紐解いたのが本書である。さぞ多くの古文書を読み、それらを関連づけ解釈したのだろうと思う。  まさに副題どおり、天正壬午の乱から小田原合戦まで、を記した決定版である。もう、新発見がない限り、これ以上の書はないと思う。

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2020/04/30

天正壬午の乱の混乱が北条氏滅亡にかけて収斂されていく様を描いている。武田氏時代から一変した信濃国の容貌に、戦国時代の終焉を感じる。

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2019/09/02

武田氏滅亡後、甲斐争奪戦の様相を呈した天正壬午の乱以降の関東の動きを具に追った労作。その中で、徳川を第一次上田合戦で打ち破った真田昌幸の名声と「卑怯の者」としての悪名が高いが、本書を読むと、だいたいどの豪族も、上杉徳川北条をいったりきたりしていたのだな、と思う。その中で滅ぶもの栄...

武田氏滅亡後、甲斐争奪戦の様相を呈した天正壬午の乱以降の関東の動きを具に追った労作。その中で、徳川を第一次上田合戦で打ち破った真田昌幸の名声と「卑怯の者」としての悪名が高いが、本書を読むと、だいたいどの豪族も、上杉徳川北条をいったりきたりしていたのだな、と思う。その中で滅ぶもの栄達するもの、何が幸いするのかわからない、大変な世の中だったのだろう、と、この詳細な地方史を見て、思いを深くする。

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2016/03/18

武田氏滅亡そして本能寺の変と多方面へ影響が多かった天正10年。そして信濃、甲斐、上野をめぐる上杉、徳川、北条の争い。徳川と北条が得をしたかと思いきや、その後の趨勢としては最終的には秀吉が一番得をして天下人。つくづく北条と秀吉とは天下に対する認識の温度差があったと感じざるを得ません...

武田氏滅亡そして本能寺の変と多方面へ影響が多かった天正10年。そして信濃、甲斐、上野をめぐる上杉、徳川、北条の争い。徳川と北条が得をしたかと思いきや、その後の趨勢としては最終的には秀吉が一番得をして天下人。つくづく北条と秀吉とは天下に対する認識の温度差があったと感じざるを得ません。しかし、秀吉死亡後は関東移封された徳川氏が天下を取るから歴史は面白い。真田の存在感もすごいですね。

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2015/08/29

武田氏滅亡から北条氏滅亡に至るまでの信濃の国人領主の動静について、丁寧にまとめた本。武田氏滅亡後の信濃は、織田氏(羽柴氏)・徳川氏・北条氏・上杉氏の4大勢力に囲まれた境界地であり、国人領主たちは目まぐるしく去就を変遷させながら必死に生き残りを図っていた。「小牧・長久手の戦い」と並...

武田氏滅亡から北条氏滅亡に至るまでの信濃の国人領主の動静について、丁寧にまとめた本。武田氏滅亡後の信濃は、織田氏(羽柴氏)・徳川氏・北条氏・上杉氏の4大勢力に囲まれた境界地であり、国人領主たちは目まぐるしく去就を変遷させながら必死に生き残りを図っていた。「小牧・長久手の戦い」と並行して、信濃でも大規模な代理戦争(小笠原氏 vs 上杉方北信濃衆)が行われていた事実は興味深い。 【川崎市立川崎図書館 210.4】

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2012/08/16

天正壬午の乱から小田原合戦まで(戎光祥出版 平山優著)を読む。 「天正壬午の乱」を経て、初めて全貌が明かされる。 秀吉・家康・北条・上杉の代理戦争。真田昌幸ら信濃国衆の活躍と、「天下統一」への道。2011年の刊。  序 章 波乱の天正十年 戦国史の転換点  第一章 天正...

天正壬午の乱から小田原合戦まで(戎光祥出版 平山優著)を読む。 「天正壬午の乱」を経て、初めて全貌が明かされる。 秀吉・家康・北条・上杉の代理戦争。真田昌幸ら信濃国衆の活躍と、「天下統一」への道。2011年の刊。  序 章 波乱の天正十年 戦国史の転換点  第一章 天正壬午の乱後の東西情勢  第二章 「織田政権」の崩壊と信濃の情勢  第三章 秀吉の影  終 章 残照記 昨年7月に購入したもののなかなか、読む気が起きず1年遅れで読了。 なかなかの力作であり、読むのも骨が折れたが期待通り面白い。前著の「天正壬午の乱」の方は未読であり、読む順番を間違えた。(まあ、本書を買うまで存在を知らなかったのだが) 従来は、本能寺の変のどさくさに、徳川家康が甲信を掠め取ったという見方(神君家康素晴らしいという肯定的な感じで語られるが)であったと思う。ところが、本書では、家康は信長亡き後の織田政権の承認を得たうえで、甲信へ侵攻したこと。信濃全域を制圧した訳ではなく中南信のみであったこと。知行宛行約諾の不履行に対する処理を誤り、相次いで信濃国衆に背かれたことが解る。(織田家の家督は信雄にいっていたというのも知りませんでした。) それにしても、大国の代理戦争が成立したのは何故だろうか。本書を読むと、秀吉・家康・北条・上杉の4者ともに圧倒的強者という訳ではなく、弱みを抱えていたことがわかる。最終的には、秀吉による天下統一に収れんされていくのであるが、そこに至るまでの間においては、国衆が自己の才知により付け入る隙があった。長野県人としては、大国を手玉にとる信濃国衆の活躍を知ることが出来て面白い。 また、あとがきも熱い。著者は「極めて杜撰でいい加減な歴史書が書店に氾濫することや、史料とまともに格闘せず、地道な基礎研究を行うこともなく、先人の業績に敬意も注意も払わず、思いつきと勝手な想像だけで物を書いて恬として恥じることのない作者たちの存在」に危機感を抱いているが、この状況を変化させるためには、「私たち自身がしっかりとした基礎研究を行い、それを踏まえて地に足のついた歴史像を提起するしかない」としている。今後の著作にも期待したい。 本書は、天下統一の過程を知る上で必読の書である。齊藤慎一著の「戦国時代の終焉」と併せておススメしたい。 備考 先日、読了した小和田哲男著「歴史探索入門」に取り上げられていた「屋代家文書」が本書でも取り上げられていた。史料が発掘され研究に生かされているのをみると、歴史学の醍醐味を知る事が出来た。

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