1,800円以上の注文で送料無料

戦前日本の「グローバリズム」 の商品レビュー

3.8

6件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2018/04/12

1930年代のグローバリズムに日本がどう対応したのかについて,独自の視点を提供している。 各国がブロック経済で反自由貿易的な政策を採る中,日本は2国間交渉で地道に自由貿易の道を探る。日印会商や日蘭会商もそうした文脈で再解釈されている。国際連盟の問題も同様。 戦前期の日本がギリ...

1930年代のグローバリズムに日本がどう対応したのかについて,独自の視点を提供している。 各国がブロック経済で反自由貿易的な政策を採る中,日本は2国間交渉で地道に自由貿易の道を探る。日印会商や日蘭会商もそうした文脈で再解釈されている。国際連盟の問題も同様。 戦前期の日本がギリギリのところまで自由主義貿易を追求していったことはもっと強調されるべきだろう。

Posted byブクログ

2014/09/02

満州事変から太平洋戦争まで戦争への道をひた走ったのではなく、外交や経済でのグローバリズムが存在していたことを克明に明らかにした内容。 これが、マスコミと国民の戦勝ムードによって判断を誤らせたことが指摘されていて、まさに現在の安倍政権肯定の風潮と重なり、危機感を覚えます。

Posted byブクログ

2012/12/04

第3章の「国内体制の模範を求めて」のドイツ(第三帝国のほう)に対するスタンスの違いと距離感の変化に関する記述がとても面白かった。 受験ストーリー的にキャッチフレーズで既成事実化させて整理しているような部分に対しての「視点を変える」作業を行うのにとてもいいテーマ設定と本の構成だっ...

第3章の「国内体制の模範を求めて」のドイツ(第三帝国のほう)に対するスタンスの違いと距離感の変化に関する記述がとても面白かった。 受験ストーリー的にキャッチフレーズで既成事実化させて整理しているような部分に対しての「視点を変える」作業を行うのにとてもいいテーマ設定と本の構成だったと思います。章ごとの結論部分のまとめがあるのも良かった。

Posted byブクログ

2012/08/24

1930年代の日本は満州事変と国際連盟脱退によって国際的に孤立し、それが後の太平洋戦争に至るという従来の考え方を修正する。第一は経済外交、第二は対外認識、第三は国内体制の国際的な連動であり、協調と平和を意図しながら、結果は戦争に至ったと論じている。だが、何故意図したことと違う方向...

1930年代の日本は満州事変と国際連盟脱退によって国際的に孤立し、それが後の太平洋戦争に至るという従来の考え方を修正する。第一は経済外交、第二は対外認識、第三は国内体制の国際的な連動であり、協調と平和を意図しながら、結果は戦争に至ったと論じている。だが、何故意図したことと違う方向に進んだのかが、「歴史の逆説の力学」という言葉で片付けられ、本書を読む限りでは、あまり詳しく述べられていない。私が知りたいのはその「何故」であったのだが。

Posted byブクログ

2012/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歴史の逆説を追跡する一冊。ただし「回帰」志向に「流用」はされたくはない。  戦前日本の通俗的なイメージはたくさんあるし、教科書的に生成されたイメージそのものが完全な誤りであるわけでもない。しかし、通俗的なイメージの拡大は「実際のところ……」という側面を簡単にかき消してしまうこともある。  結果としてみれば、確かに軍部独裁によって破産してしまうのが戦前日本の行き着くところだし、軍人が政治に口を挟むようになったのは問題の一つだ。しかしその襞をかきわけてみると、デモクラシーがファシズムに打倒されたわけでもない。政党内閣瓦解後のデモクラシー側の課題は、新しい政党政治の確立だが、その中で、ファシズム国家に範を見て改革を模索する人々も現れてくる。デモクラシー擁護の試みがファシズム受容につながってしまうというわけだ。  また第二次世界大戦といえば、持たざる国日本、ドイツ、イタリアの同盟だが、同盟が形成されるまで、日本とドイツは仲がよかったわけでもない。古くは日清戦争後の三国干渉やドイツ肯定の黄禍論、そして第一次世界大戦では敵味方に別れて闘った。日独親善は実は至難の連携だったのだ。  そう、歴史は単純じゃない。  本書に一貫するのは歴史の逆説を追跡することだ。  興味深いのは1930年代の日本は、内向的というよりもどちらかといえばグローバリズムの展開を模索していたということ。その文脈で満州国の成立や国際連盟の脱退という筋道がでてくる。著者によれば、国際連盟から脱退することで、アメリカによる対日経済制裁を回避でき、脱退後、アメリカによる牽制は沈静化に向かい、欧州各国との外交関係も再設定が可能になったという。たしかに結果としては手を挙げるという暴挙に出てしまうことは事実だし、それは問題であろう。しかしそれを目指したわけでないというのはまさに「歴史の逆説」でもある。  著者が注目するのは1930年代。この時代は満州事変に始まり、満州国建国、国際連盟脱退を経て、日中戦争に至る時代である。確かに軍国主義日本が国際的に孤立し、ファシズムへの道をひた走る……というのがお約束な理解だ。それは決して否定できないことだ。しかしその限定的認識の枠外には膨大な道筋があったということを無視する必要もなかろう。  単純なものの見方を通底から揺るがす興味深い一冊であり、歴史の教訓から学ぶことは大いにある。ただ、付言するならば、こうした新しい試みが、何か「回帰的」なるものを志向する人間たちには「利用」されたくもないのも偽らざる読後感でもある。  そして危惧すべきは、積極的な「回帰」派のひとびとよりも、語らぬ「予備軍」としてのマジョリティへ自負を与えるような読み方は敬遠すべきだろう。そのことは副題となっている「一九三〇年代の教訓」に泥を塗ることになってしまうからだ。

Posted byブクログ

2011/10/28

1933年の国際連盟脱退後1940年の日独伊軍事同盟成立の間,日本は国際貿易を推進するため英米と密接な関係を構築していた事実.教科書では習わなかったなあ.意外な事実に驚嘆した.

Posted byブクログ