明るいニヒリズム の商品レビュー
題名からニーチェの解説本かと思って借りたがこれはちょっと違う。過去は存在しないということを、カント、フッサールなどの引用などから論じていく、当たり前のことを細かく論じていて、哲学するとはこういうことだ。永井均の本が好きな人には共感できるだろう。ただし、哲学の知識や考え方に慣れてな...
題名からニーチェの解説本かと思って借りたがこれはちょっと違う。過去は存在しないということを、カント、フッサールなどの引用などから論じていく、当たり前のことを細かく論じていて、哲学するとはこういうことだ。永井均の本が好きな人には共感できるだろう。ただし、哲学の知識や考え方に慣れてないと戸惑うのは必至。中島の師、大森荘蔵の考えまでもでてくる。こういう論議はよく読んでいた時期があり、懐かしく戦慄を覚えながら楽しめた。「過去」の性質について、個人的に感じていたところがあり、ヒントになった。購入する予定。
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過去・現在・未来という時間の経過を疑い、いかなる瞬間にも「今」しかないのである、ということを延々と述べている本。そりゃそうだ。私は「今を乗り切れればいい」というスタンスで生きていることが多いので、書いてあることはよく分かる。とはいっても、過去があって未来がある、という物語のメッセ...
過去・現在・未来という時間の経過を疑い、いかなる瞬間にも「今」しかないのである、ということを延々と述べている本。そりゃそうだ。私は「今を乗り切れればいい」というスタンスで生きていることが多いので、書いてあることはよく分かる。とはいっても、過去があって未来がある、という物語のメッセージ性は強力だし、完全に排除することは難しいと思うけど。(この物語を信じないと、将来のリスクに備える行動がとれなくなってしまう)
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「不確かさ、不思議さ、疑いの中に居続けられる能力」が哲学する能力であるという。 不確かさ・不思議さに立つとは針の先に立つことでもある。ただし、それはバランスをとって立つヤジロベエの状態では無い。あっちこっちに揺らぎながら、いっそのこと落ちた方が楽であることを知りながらも、な...
「不確かさ、不思議さ、疑いの中に居続けられる能力」が哲学する能力であるという。 不確かさ・不思議さに立つとは針の先に立つことでもある。ただし、それはバランスをとって立つヤジロベエの状態では無い。あっちこっちに揺らぎながら、いっそのこと落ちた方が楽であることを知りながらも、なおそこにとどまろうとする意思である。
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"じつに、一瞬一瞬、宇宙の総体は消え続けているのであり、持続してあるかのようなものはただの観念の集合であって、人間が言語によって拵えげた架空物なのである。"
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77点。ニーチェやニヒリズムって書いとけば売れんのかな、てくらいニーチェ人気高いね。 エニウェイ本棚に中島義道の本が並んでる人はビレッジバンガードなヤツだ。次点は内田樹。 著者は常にその時点での「到達点」を本にする。哲学を研究している人というよりは、人生を哲学してる人だ。 パス...
77点。ニーチェやニヒリズムって書いとけば売れんのかな、てくらいニーチェ人気高いね。 エニウェイ本棚に中島義道の本が並んでる人はビレッジバンガードなヤツだ。次点は内田樹。 著者は常にその時点での「到達点」を本にする。哲学を研究している人というよりは、人生を哲学してる人だ。 パスカルは『パンセ』で〈人間は人生が悲惨であることを知ったので、幸福になるためにそれを考えないようにした〉と書いた。これはこれでナイスな言葉だが著者にはどうしても「考えないようにする」ことはできなかった。 「明るいニヒリズム」とはなんだろう、「あらゆることには意味がない」と言った舌の根も乾かないうちに、新たな意味・価値・目的を求める卑屈な態度を捨てなければならない。そして「あらゆることには意味がない」という真理にたえず身を焼かれながら生きるしかない。じゃあ何故何も意味がない人生をいかによく生きるか、なんて言うんだ。自己矛盾じゃないか。どんな答えも自己欺瞞じゃないか。著者はそのニヒリズムを支えるのは徹底的懐疑だという。徹底的懐疑に身を浸すとき、わからないことだらけであることがわかる。無になるという意味を実は何も知らないじゃないか。永遠の無の長さとはなんだ。明るいニヒリズムは時間に突っ込みをいれる。 かくして本書はカントの超越論的観念論と大森荘蔵の理論やフッサール、ベルクソンなどを引きながら時間という爆薬で客観的世界を解体する。関連文献読んだことないとちょっとわかりにくい。 無意味さを実感したという著者が著わした著書を経由し、それがわかったと言うのは有意味かつ無意味だ。「考えないようにする」ことができない人はせめて「悲惨である」ことを自覚するトコから始めるしかない。無理に悲惨な人生を「愛さ」なくていい。そこに端的な救いはないから。
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この本は読者を選びます。最初に同じ問題意識を持つかどうか、次に問題の考え方に合意できるかどうか。 問題意識には合意できていても考え方には合意できませんでした。 時間について科学的な考え方を取り入れてはいますが、ニュートン力学のレベルまでで、量子力学による確率にとりつかれた世界や宇...
この本は読者を選びます。最初に同じ問題意識を持つかどうか、次に問題の考え方に合意できるかどうか。 問題意識には合意できていても考え方には合意できませんでした。 時間について科学的な考え方を取り入れてはいますが、ニュートン力学のレベルまでで、量子力学による確率にとりつかれた世界や宇宙論での時間と空間の観測などまでは反映されていません、また、考えることを考えていながら、心理学や脳生理学まで及んでいないところも物足りなさを感じるところであります。 とはいえ、そこまで広くとりこんだものはまだ見たことがありませんが。
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