消費するアジア の商品レビュー
中国やインドをはじめとするアジア経済圏の発達がどのような状況なのか。また、それに伴う社会課題について深く理解できました。
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拡大するアジア新興国の消費市場の実態を分析し、今後の課題につき考察している。 本書では、中国、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドを「アジア新興国」と呼んでおり、分析・考察の概要は以下である。 ◆アジア新興国の消費が伸びているのは、「メガ都市」の国際競争力...
拡大するアジア新興国の消費市場の実態を分析し、今後の課題につき考察している。 本書では、中国、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドを「アジア新興国」と呼んでおり、分析・考察の概要は以下である。 ◆アジア新興国の消費が伸びているのは、「メガ都市」の国際競争力の向上によるところが大きく、持続的な繁栄の条件は、「メガ都市」の競争力を強化し、その繁栄を「メガリージョン」に広げ、更にその成果を地方・農村に浸透させることである。 ◆途上国型大都市は、雇用、食料、住居の供給能力に対して人口が過剰な「過剰都市」と言われるが、アジア新興国の大都市は、外国企業の進出により資本と市場を手にし、「過剰都市」を脱却して、先進国型大都市に移行する過程の「メガ都市」と呼ばれる段階にある。産業構造も、輸出品の加工地から産業クラスターへ変化した。 ◆世界で40ある「メガリージョン」のひとつである中国の長江デルタ経済圏(上海地域)はその典型で、中国の対外開放政策を受けて海外からの投資が進み、域内外での工業分担、コア地域での脱工業化が進んでいる。 ◆アジア全体の貧困率は低下しているが、所得の地域間格差はむしろ拡大している。これまで都市の発展を支えてきた地方から都市への人口移動と、今後アジアでも進むと考えられる少子高齢化を考慮すると、地域間格差の縮小は容易ではない。 ◆「天然資源の活用や外資企業の誘致により中所得国へと成長してきた途上国が、それまでの成長路線に固執し、産業構造転換の努力を怠れば、成長力は次第に鈍化し、先進国にたどり着くことは困難になる」という「中所得国のワナ」を乗り越えるのは容易ではない。それは、政治力が不安定であること、国際競争力の強化と同時に地方の底上げを図らなければならないことによる。 ◆アジア新興国の発展は、地球レベルでの資源と環境への負荷を高めつつある。アジアの持続的な成長のためには、「アジア版・成長の限界」を克服することが不可欠であり、その協力体制の中で日本の技術・産業が果たすべき役割は大きい。 アジア地域の成長について、中長期的な視点を与えてくれる。 (2012年1月了)
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国や行政区分などにとらわれずに、アジアの輝かしい発展と、その裏で拡大し続ける貧富の格差についてを主とした分析がなされている。 アジアと大きな括りのタイトルがつけられているが、アジアの中でも経済の中心となる都市・メガリージョン(都市を中心として広域的に結びついた経済圏)とその周辺、...
国や行政区分などにとらわれずに、アジアの輝かしい発展と、その裏で拡大し続ける貧富の格差についてを主とした分析がなされている。 アジアと大きな括りのタイトルがつけられているが、アジアの中でも経済の中心となる都市・メガリージョン(都市を中心として広域的に結びついた経済圏)とその周辺、というとらえ方で論じられている。
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http://www.chuko.co.jp/shinsho/2011/05/102111.html
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日本でも大都市圏とそれ以外の地方都市では、人々のライフスタイルが全く異なるため、マーケティング手法も異なると感じていたが、この本はその問題をアジアの新興国や成長国でみた場合、メガ都市を中心とするメガリージョンと、それ以外の地方(農村)がどれほど生活水準が異なり、国単位で捉えること...
日本でも大都市圏とそれ以外の地方都市では、人々のライフスタイルが全く異なるため、マーケティング手法も異なると感じていたが、この本はその問題をアジアの新興国や成長国でみた場合、メガ都市を中心とするメガリージョンと、それ以外の地方(農村)がどれほど生活水準が異なり、国単位で捉えることが難しいか(無意味)であるかを記した本。 NIES=20世紀以降に大きく成長した国/都市のこと。アジアでは、韓国・台湾・上海・シンガポールがこれにあたる。タイもバンコクに限ってはここに分類することが可能なレベル。 後進国のベースは、農村都市にある。その国が成長をする恒例の流れは、農村社会から都市社会への以降にある。都市社会の課題は大都市とそれ以外(地方都市)との各社社会である。 また、大都市が成長すると共に生じる人口比率の変化も格差を生む要因。日本でも人口減の流れや過疎化する地方都市がある一方で、東京の人口は増え続けている。 グローバル化が進む中で、国の成長は国単位ではなく、地域単位での競争力を強化させるべき。道州制の導入も、メガリージョン視点の延長線上にある。中国は、上海をグローバルシティ、世界の金融の中心にしようと目論み、例えば世界一の地下鉄網といったインフラ整備や、グローバル人材の誘致を進めている。 大都市の人口ボーナスと地方の人口オーナスの視点も重要。大都市圏の成長→人口流出、成長。反対に地方の若年層人材流出→生産力の低下が格差のベースにある。 日本の高齢化と生産人口ピラミッドの変化は、アジアの新興国でも必ずおこること。日本は「後退先進国」として何をアジアにも足らせられるのか、また、アジアを市場として捉えた際に、その国でのマーケティングは、メガ都市と地方を分断して捉えることを教えてくれる。 また、メガ都市と地方の農村の格差が南北問題に発展しうること、タイの近年の政治不安がこの格差から生じていること、政治の不安定な場所で経済成長は難しいことを覚えておきたい。 最後に、日本が「課題先進国」として、今後NIES含めアジアの新興国が必ず抱える(既に抱えている)課題に対する解を持てたら、それが日本ができる貢献であり、成長のチャンス。他国は日本ほど裕福になる前に頭打ちと課題が発生するという予想にアジア安定への不安させ感じた。 また、今後のアジアで起こることを、大都市圏が出来上がる流れとともに解説する良書。
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筆者の大泉氏は、とある銀行のセミナーに講師として招かれて、バンコクで講演をされた。その時に、僕もたまたまセミナーに参加しており、講演を聞く機会があった。その時の講演がなかなか面白く、それで買ってみた本。 大泉氏は民間の方で(学者ではないという意味)、本書は、やや雑で強引だな、と...
筆者の大泉氏は、とある銀行のセミナーに講師として招かれて、バンコクで講演をされた。その時に、僕もたまたまセミナーに参加しており、講演を聞く機会があった。その時の講演がなかなか面白く、それで買ってみた本。 大泉氏は民間の方で(学者ではないという意味)、本書は、やや雑で強引だな、という印象があるが、それは発想の発展にもつながっていて、良い面もある。 アジア各国で経済成長が進み、それぞれの国での消費者層も厚くなりつつある。アジア各「国」とは言うが、実際にその中でも大きな成長を遂げているのは、上海やバンコクといったメガ「都市」であり、最近では、それらメガ都市を中心とした、メガ「リージョン」とでも呼ぶべき成長地域が構成されるようになってきた。成長は国単位と言うよりは、これらリージョンが中心に起こっており、これらリージョンでの成長力がその国の他の地域、特に農村地域に届くようになるのか、が国単位で見た時の経済の一つの課題となる。一国内での成長地域と非成長地域の格差は、階層間の利害対立、ひいては政治不安を引き起こすタネともなり得るし、実際にタイでの騒乱はそういう側面が大きい。 強引に要約すると、こういうことになるだろうか。 本書内に、タイの県別の一人当たりGDPの統計がグラフの形で示されている。棒グラフで示されているだけなので、正確な数値は分からないのだけれども、最も一人当たりGDPの高い県と、最も低い県の格差は20倍近くありそうなように見える(それが、そのまま「所得」の格差になるのかどうかは別の問題だけれども)。僕の住んでいるバンコク、および、工場がありよく訪問するラヨン県、あるいは、ゴルフ等で行くことの多いチョンブリ県はタイの中では豊かな地域に属しており、実際にタイの中の貧しい地域に出かけてみた経験はない。経験はないけれども、バンコクにいるだけでも、それが非常に大きなものだろうな、ということは想像できる。それは、例えばバンコクの中でも、スラム的(と言えば言いすぎだけれども)な場所を見かけることが出来るからだ。こういった格差は、政治的に「緩和」することは可能だろうけれども、「解決」することは難しいだろう。結局は、その地域の産業が繁栄しているかどうかで決まってしまうことなのだから。格差の度合いは全く違うけれども、構造は日本も同じこと、とも考えられる。 とまぁ、ここまで考えて、こういったことに実は興味をなくしてしまった。 僕は政治家でもなく、また、そういった格差に対して何らかの有効なアクションを起こすことが出来ないことに気がついたからだ。話としては面白いのだけれども、本当には興味の持てない話、というのが結論で、面白く読んだ割りに評価が低いのはそういう理由だ。
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アジア「メガ都市」の「日本化」は、近い将来か、もしくは進行中。課題先進国としてのソフトパワー発信地としての日本の重要性が力説されていたのが印象的。
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アジアマーケットを消費市場としてどう捉えていくかを統計・経済学的に分析している本。 綺麗にまとまっており非常に勉強になるのだが、具体的な参入アプローチではなく、あくまでデモグラ情報レベルの分析のため、表紙買をしてしまうと少し残念な気分になるかも。
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大泉啓一著「消費するアジア」中公新書(2011) * 日本経済にとって重要な新興国とはいうまでもなくアジア諸国である。名目GDPの規模でみると、日本を含めたアジアが世界に占める割合は2000年の24.8%から2010年には25.7%に上昇している。 * 国内市場が...
大泉啓一著「消費するアジア」中公新書(2011) * 日本経済にとって重要な新興国とはいうまでもなくアジア諸国である。名目GDPの規模でみると、日本を含めたアジアが世界に占める割合は2000年の24.8%から2010年には25.7%に上昇している。 * 国内市場が人口減少と少子高齢化を背景に拡大が困難だという閉鎖間が強く、これがアジアへの押し出し要因として作用している。 * VISTAはベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンを新興国グループとみなしたものである。 * 中国において地域による所得間格差が大きいことが平均数値で考えると誤ってしまう決断にいたる。そのことは他のアジア諸国にも当てはまる。1人あたりGDPが4000ドルのタイにあってバンコク周辺のそれは1万ドルを越えている。1人あたりGDPが8000ドルのマレーシアの場合にはクアラルンプールのそれは15000万ドルと台湾の水準に匹敵するのだ。 * バンコクの人口は国全体の10%を超え、都市人口の4割を占めた。このように極端に集中した第一位の都市は首位都市と呼ばれる。タイは90年代には政府の規制緩和と優遇措置をうけて、自動車メーカーはタイを戦略的な輸出拠点と位置づけた。他方、政府は自動車産業育成の中心地として工業地域の整備を進めていく。その家庭で1990年代半ばにはタイ国内の自動車販売台数は年間50万台を声、東南アジア最大の市場となったこともあり二次加工メーカー、三次加工メーカーが相次いで進出。集積が集積を生み出し、自動車産業の規模の経済が働くようになったのである。 * 1人あたりGDPが高いタイの地域は、バンコクを中心にして東北に拡大している。バンコク、ラヨーン県、サムットサーコン県、アユタヤ県などである。 * コンビニエンスストアの急増は目を見張るものがある。2009年時点で全国のコンビニエンスストアの数は9918店を数える。その中で圧倒的に多いのはセブンイレブンであり、5270店。セブンイレブンとしては日本、アメリカに次いで多い3番目の国がタイである。全体の50%のセブンイレブンの店舗がバンコク周辺にある。 * アジアはかつて世界でもっとも人口増加の著しい地域であった。しかし現在ではそう遠くない将来、人口減少に向かうことが確実視されている。中国も、タイも2015年には生産年齢人口の最高点に達し、その後は減少していく。ベトナムが2015~20年、マレーシアが2030~35年、インドが2030~35年。 * 出生率の低下が即座に高齢化につながるわけではない。30~40年間、その国はその子供と高齢者の人口比率が低い社会を経験する。このように人口構成の変化が経済成長を後押しする効果は、「人口ボーナス」と呼ばれる。生産の拡大には、生産年齢人口(16~64歳)の比率の上昇が寄与する。 * 地方、農村の開発や社会保障制度の整備にはいま以上の財源が必要で、「増税」がキーワードになるのに対して、メガ都市の発展のためには「減税」がキーワードになる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
輸出中心で成長してきたアジアがどうやって、社会保障や消費にカネをまわして更なる成長を出来るか。その解は特にはないが、海外企業が入るのはローカライゼーション、ブランド、コネ、コスト競争力をうまくやらないとダメというのは当たり前の話。
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